「これは、俺にとって世界や人生の中のいろんな事について歌っているアルバムで、そこではたくさんの人々の顔に浮かんだいろんな表情を見て取れるはずだ。彼等は人間性を奪われてしまっている。通りで見かけるイカレちまった男達−−−彼等はウィスキー一杯の為ならなんだってする。狂った目をした男もいる。・・・いろんな出来事が人々から人間性を奪うんだ、あとに何も残らなくなるまで。」

「登場人物はキッズじゃない。もっと年上だ−−−へこまされ、傷付けられている。だけど、それでも希望がある、いつでも希望があるんだ。これまでの人生の間ずっと泥を投げつけられ、中にはその泥にあんまり深く埋まってしまって出て来れない人もいる。このアルバムは、自分がそれほど深く埋まってるって決して認めない人達の事を歌っているんだ。」

「俺にとって、『DARKNESS ON THE EDGE OF TOWN』の全ては、暗闇で光に向かって手を伸ばしている人達、外からの暴虐に直面しても信じるものにすがりつこうとする人達、ただそれだけだ。」

「ありのままを表現する事、ふと、ロックの歌詞の中じゃそういうのって余りないなと思った。俺にとっちゃ、ほら、まさに人生そのものなのにね。人生。これしかない、こいつを表現しよう。『Racing In The Street』はそういう気持ちもあって書いた。俺はビーチボーイズの曲は大好きなんだけどね、『Don't Worry,Baby』とかね。ピッタリの気分の時に聴けば最高だよ。だけど、そこで思った、『じゃあ、今はどんな感じがする?』。だからこそ『Racing In The Street』を書き、とてもいい気分になった。」

「どんな人生を送っていようとも自分の周りを取り囲む不完全さに向かい合いながら、あらゆる裏切りに向かい合いながら、その登場人物は自分の人間性を手放すのを、自分の信念を手放すのを拒絶する。それはある意味でイノセンスの喪失−−−他のアルバム以上にそういうところが多い。」

「それは夏の終りの頃だった。俺は古いコンパーチブルのカマロに乗っていた。夜、それに乗って、ドライブしたものだ。川の手前に小さな空き地があって、確か、ゴミの集積所だったと思う。町の人達はそこにやって来て、もういらなくなった物を捨てるんだ。そして、捨てられた物は錆び付くままになっていた・・・。
 ただ、そこはみんなが金曜と土曜日に集まる場所でもあって、そこで俺と彼女は始めて会ったんだ。
 そこはなんて言うか・・・、初めて誰かとデートしたり、何でも可笑しくてしょうがない時期に、誰かと一緒にいるにはいい場所だったんだ。
 だけど、それから時は流れて、どういうわけか、かつて彼女を幸せにしたものは、もう幸せには出来なくなっていたんだ。何が起こったのか、彼女を再び幸せにするにはどうすればいいのか、俺は考えた。そのうち彼女は話をしたがらなくなった。彼女は夜は家にいたがったんだ。彼女は俺の車のキーを取ってしまい、俺は車を運転出来なくなってしまった。
 彼女に分かってもらうのは難しかった。彼女にも分かっていたんだ。車を運転して、もしもレースに勝った時、俺が一番満足する気持ちになる事をね。だって、彼女だって昔はそれが好きだったんだ。 人はお互いに期待し過ぎるのかもしれない。よく分らないが、そんな気がする。でも、これだけはというもの、自分の人生にはこれしかないんだというもの、しかも、上手く出来て、自分が誇りを持てるたった一つのもの、それを手にする事は誰にとっても期待し過ぎなんかじゃないんだ。
〜Racing In The Street〜
 その晩俺達は旅立った。ただバック一つの荷物だけを持って。まだどこへ行くのかも分らない、でも、じきに分るだろう。この事を俺達はずっと忘れないだろう。ただ、時間だけがどんどん無くなっていきそうなんだ。そこでは多くを失い、やり残して来たが、探し続け、追い続ける程じゃない。いつまでも、しがみついて、いつまでも、いつまでも、しがみついて・・・」