「まぁ、あのタイプのキャラクター、ああいった想いを抱えてもがいている奴を初めて形にしたものではあるよね。自分と自分の家族、あるいは世界との接点を見つけていかないと、なんだか自分が消滅していくような、消えてしまうような気がするっていう、俺は本当に長い間、そんな気持ちをずっと抱えていたんだ。大人になりながら、俺はずっと自分が透明であるような気がしてならなかった。で、これって、多くの人にとって本当にとても大きな苦痛になってる心情なんだよ。自分の人生を実感するには、何も大掛かりな事をしなくてもいいわけで、場合によってはその答えは、自分の家族、あるいは仕事とか、自分が生きるごく基本的な所にあったりするものなんだ。そうしたものら自分が霞んでいくように思えて、自分でもどうしたらいいのか分らない人物を登場させるっていうね、その着眼は、俺がやってきた音楽の全ての核心にある問題なんだ。何かしらの衝撃を生み出したくてすったもんだして、自分自身の意味、そして、自分の表現が伝わる誰かにとっての意味を生み出すっていうね。
『Stolen Car』では、温かみのある人生、自分の人生にとって本質的な何かを埋めていく事、そういった事だって出来るんだという発想も歌い込まれてるんだよね。」

「ニューアルバムで『Out In The Street』という曲を書いた。まったく理想主義の曲だから、アルバムに入れないつもりだったんだけどね。人が一緒になって、喜びの感情を分け合う事についての歌なんだ。」

「ロックンロールは常に喜びと幸せ、つまりある意味では人生で最も美しいものであり続けてきた。でも、ロックは困難と冷酷さ、そして孤独でいる事についてのものでもあるんだ。『DARKNESS ON THE EDGE OF TOWN』ではこれらの事を共存させる事が俺には難しかった。どうやったら『Sherry Darling』のような幸せな歌を、『Point Blank』や『Darkness On The Edge Of Town』と共存させる事が出来た?その問題に立ち向かう事が出来なかったんだ。俺自身の内面でのなんらかの理由でそれらの事を意識する準備がなかったんだ。混乱し過ぎていたし、矛盾だらけだった。でもやっと分かったんだ。人生にはたくさんの矛盾があるし、それと付き合って生きて行かなくちゃいけないという事をね。」

「20代前半には大きな可能性を持っている。でも30代、それも後半になれば、世界は変わってしまう。少なくとも違った風に見える。以前と同じ期待は持てないだろう。選択が狭まれてしまうのさ。女房と子供がいて、仕事があるだろう。できる事と言ったら、それを守って行く事だけだ。可能性を見逃してしまう。多くの人々に起こるのは、最初の夢が壊れた時にそれに取って代わるものが何もないという事だ。重要な事は可能性を信じて屈せずに頑張り続ける事なんだ。誰も実際にはやり遂げないにしてもね。ノーマン・メイラーの文章に、人が最も求める一つの自由とは自分が持つ事の出来ないもの、恐れる事から自由になる事だ、というものがあった。その考えはニューアルバムの奥深い何処かにあるよ。」

「今回のアイデアの一つはみんなが抱いている感情に触れようというものなんだ。人間は仲間の一員になる事を望む反面で、自分自身を離れた所に置きたいんだな。その葛藤をささやかな所において毎日体験しているわけさ。今晩は友達と映画に行きたいかい?それとも家にいるかい?このレコードにはそんな部分を収めておきたかった−−−共同体への欲求、それが『Out In The Street』が歌っている事さ。『Ties That Bind』や『Two Hearts』もその事を扱っている。でも、その反面もある。一人になる事の欲求だ。」

「タイトル曲は関係を修復しようと努力する事について歌っている。あれは中で登場人物が結婚した最初のアルバムだった。」

「一度は繋がっていたのに、どういうわけか別れてしまった二人を歌った曲だ。この曲は誰かが聴いてくれるまでは駄目だった、そういう曲なんだ。独りぼっちでは分らないからね。人は誰かに触れ合いを求めなくてはならない。この歌はその力を失った人の歌なんだ。その力こそこの世界で一番力強く、自分の友達の人生に影響を与える事の出来る力だ。」POINT BLANK