7.複数のパソコンをLANでつないで使いこなす

 LAN(ローカルエリアネットワーク)とは、複数のパソコンで小規模なネットワークを組むことをいいます。従来LANは企業や大学での利用が中心でしたが、パソコンの普及に伴い、家庭内でもLANを組む機会が増えてきました。ここでは家庭内でLANを使う方法について解説致します。なお、複数のパソコンとは2台以上のことであり、パソコンが2台以上あればLANを組むことを考えても良いということができます。
 まずLANを組めば何ができるか、についてです。主に次の3つがLANの主要な目的となります。

 1,家庭内の複数のパソコンから同時にインターネット接続をする
 2,パソコン同士でデータのやりとりをする(ファイルのコピーなど)
 3,複数のパソコンで1台のプリンタを共有する


 以前LANと言えば、ケーブルを這わせてパソコン同士をつないでいましたが、近年では無線LANが普及し、面倒なケーブル敷設なく離れたパソコン同士を接続できるようになりました。


 1,必要なもの

  ここではLANを組み立てるのに必要なもを挙げます。

 まず、パソコンに必要なものはLANポート(LANの接続口)です。まず普通にケーブル(イーサーネットケーブル)で接続する場合から解説します。最近のパソコンならば、標準で装備されています(製品によってはブロードバンドポートとも呼ばれる)。
 LANポートのないパソコンならば、LANポートを増設する必要があります。まず一般的なのはPCカードのLANポート(LANカードと呼ばれる)を利用する方法です。PCカードならば脱着が可能になり、他のパソコンで使えたりします。ノートパソコンやスリムタワー型デスクトップパソコンならばPCカードスロットがついているので、LANカードが使えます。それではPCカードスロットのないデスクトップパソコンならばどうでしょうか?こちらはPCIカードスロットと呼ばれる、本体背面にある増設スロットを利用します。こちらはビスでパソコン本体固定となります。どちらもスロットに取り付けた後、LANケーブルを接続します。また、一部のLANルーターでは、USBケーブルを使えるものもありますので、USBポートもLANポート代わりに使えます。PCカードのLANカードは2500円くらいから、PCIバス用のLANボードならば1000円くらいからあります。
 無線LANを使うならば無線LANカード、またはUSBタイプの受信機をパソコンに取り付ける必要があります。ノートパソコンならばPCカードの無線LANが使えますが、PCカードスロットのないデスクトップパソコンの場合はUSBタイプの無線LAN受信機を使うか、PCカードアダプター(PCIバスに取り付ける)を使ってPCカード利用可能にするかのいずれかになります。最近の一部のノートパソコンでは無線LANを標準装備しております。

 つぎに、周辺機器で必要なものを解説します。まず有線接続の場合はLANケーブル(イーサーネットケーブル)が必要となります。LANケーブルには2種類あり、LAN用機器(ルーター・ハブ・ブロードバンドモデムなど)とパソコンを接続するストレートケーブルと、パソコンのLANポート同士を直結させるクロスケーブルがあります。ほとんどの場合はストレートケーブルを利用することになると思います。無線LANの場合はケーブルは必要ありません。
 また、2台のパソコンを直結させる場合は、USBポート同士やシリアルポート同士(デスクトップパソコンのみ)を直結させるケーブルもあります。こちらは手軽ですが、インターネット接続共有などで機能が制限されます。

 最後に周辺機器で必要なハブまたはルーターについて説明します。まずハブですが、これは複数のLANコネクタを備えた機械で、LANを振り分ける装置です。3台以上のパソコンでLANを作る場合や、さらにサーバーからの入力が必要な場合(大学や企業のLANからインターネット接続する場合のみ)には必須と言えます。ハブはようはLANのケーブルを分岐させる装置で、コンセントの増設プラグと同じ役割を果たします。
 ルーターとは、インターネットの接続を複数のパソコンに振り分ける装置で、家庭で一般に使う、ADSL・CATVや光ファイバーなどの接続を複数のパソコンで共有する場合に便利な装置です。ルーターにははじめからハブの機能が備わっています。また、無線LANを利用する場合、無線LANルーターが無線LANの親機役割を果たします。ルーターについては次節で詳しく解説します。
 2台のパソコンをダイレクトに接続させる場合はハブなどは必要ではありませんが、これについては最後にコラムで解説します。
 

 2,インターネット接続の共有

 ここではメインとなる複数のパソコンでインターネット接続を共有する場合について解説致します。ネット接続共有で便利なのはLANルーターの利用です。ルーターとは前節で解説したように、インターネット接続を複数のパソコンに振り分ける装置です。それでは、ルーターがないと複数のパソコンでネット接続が共有できないのかと言えば、そうではありません。しかしながら、ルーターを利用した方が圧倒的に便利になります。まずは下の図をご覧下さい。左の図はルーターを利用しない場合、右の図はルーターを使う場合です。図を簡略化するために省略していますが、実際はルーターはさらにTAやADSLモデムを経由してネット接続しています。パソコンを2台にしており、左図では2台のパソコンがダイレクト接続になっていますが、ハブを使って3台以上つなぐ場合も同じです。右図ではパソコンBを無線にしていますが、有線の場合も同じです。

   

 まず左図の方をご覧下さい。左図ではパソコンAがインターネットに接続され、さらにパソコンAとパソコンBが接続されております。この場合は、パソコンBもパソコンA経由でインターネットに接続できます。この場合は、パソコンAが親機の役割を果たしています。つまり、パソコンBはパソコンAが稼働していなければインターネットに接続できないということになります。さらに、パソコンAとパソコンBで面倒な接続設定をする必要がありますし、パソコン同士のネットワークはいつも調子がよいとは限らないので結構メンテナンスには手間がかかります。
 一方右図はルーターを利用する場合のケースです。パソコンA・パソコンBともルーター経由でインターネットに接続していることになります。この場合、ネット接続に関して言えばルーターがネットに接続して各パソコンに振り分けています。つまり、ルーターが親機になり、パソコンが子機という関係になります。ということは、パソコンBはパソコンAの電源が入っていなくてもインターネット接続できることになります。また、パソコンから見ればルーターは単なる周辺機器ですので、ネット接続の設定も簡単で左図の場合に比べてトラブルも少なくなります。
 また右図ではパソコンBは無線LANを利用しています。無線LANを使ってのインターネット接続も、無線LANルーターの役割であると言えましょう。当然無線LANを利用するためには無線LAN対応のルーターを用意する必要があります(NEC製品では無線LAN対応カードをオプションで増設することによって対応している)。

 以上のようにインターネット接続共有には、ルーターを利用した方が圧倒的に便利だと言えます。

 LANルーターは各社から発売されていますが、特に一般的なのは、NEC、メルコ、エレコムなどの製品でしょう。一部のルーターにはあらかじめADSLモデムが内蔵されているタイプもあり、これならばADSLモデム別途購入やレンタルの必要はありません。初心者ならば、ソフトウェアの設定がわかりやすいNEC製がおすすめです。有線タイプならば1万円台であります。無線LANの場合、1台分の無線LANカード付きのセットで、旧規格の製品(転送速度11Mbps)で2万5千円くらい、転送速度が早い新規格のもの(転送速度54Mbps)で5万円くらいです。増設用の無線LANカードも11Mbpsなら5千円、54Mbpsならば1万円くらいです。目安として、ADSLは最大でも12Mbpsなので旧タイプでもOK、ほとんどのCATVもこれで十分です(ADSL12Mbpsの場合は1Mbps足りない計算になりますが、最高速度の12Mbpsまで通信速度が出ることはまれなので、実用上問題ないでしょう。)。CATVで大容量タイプか光ファイバーの場合は54Mbpsほしいところです。LAN接続したパソコン同士の通信でも、大容量の方が転送が早いです。

 さらに最後にルーターを使うメリットとして、異なるOSでもネット接続共有できると言う点です。実はWindowsとMacのネットワーク構築は面倒になります。LANルーターを利用する場合は、それぞれのパソコンが個別にルーターに命令を出すだけであり、お互いのWindowsパソコンとMacパソコンはやりとりしないので、WindowsとMac両方使う環境の人にはルーターは非常に便利と言えます。
 ただし、MacでのLANルーター利用の注意点として、Mac対応のルーターを用意する必要があるという点です。また、NECの無線LANルーターの場合は、添付の無線LANカードはWindows専用で、Macは有線に限られるという点です。ただNECの場合、AirMacには対応しているということなので、購入する必要のある製品の詳しい情報は購入時に店頭などでよく確認した方がよいでしょう。



 3,ファイルの共有

LANのもう一つの機能は、複数のパソコン間でデータをやりとりすることです。この機能を使えば簡単に他のパソコンにデータをコピーできます。Windowsの場合はネットワーク機能を使って簡単にファイルの交換ができます。
 具体的には、共有対象となるフォルダを指定してやると、他のパソコンはそのフォルダにアクセスすることができます。つまり、他のパソコンの共有フォルダをFDドライブのように利用できることになります。

 やり方は簡単で、「コントロールパネル」で「ネットワーク」を選び、まず「ファイルとプリンタの共有」を選びます(これは自分のパソコンのファイルやプリンタを他のパソコンに使わせるという機能で、オフでも他のパソコンへのアクセスはできます)。次に、共有にしたいフォルダを右クリックし、共有を選びます。すると、他のパソコンから「マイネットワーク」で指定したフォルダにアクセスすることができます。

 この場合、Workgroup名をネットワークするコンピューターで同じにする必要があります。Windows2000、XPだとネットワークセットアップウイザードを使えば簡単にネットワーク設定することができます。98、Meの場合は「システム」の「ネットワークID」で設定します。いずれのOSにしろ、ネットワークIDを変更した後は再起動する必要があります。

 といいつつ、結構このファイルの共有機能はうまく行ってくれない場合の方が多いです。WindowsとMacでは当然この機能は使えませんし、Windows同士でもうまく認識してくれない場合がほとんどです。特に、2000・XPで採用しているNTFSファイルシステム(HDにデータを記憶する形式)は、95や98で読めないからバグる場合が多いです。読めたケースは以下の表の通りです。

ファイル共有でうまく行くケースとそうでない場合
元のOS 読める 読めない
XP XP 2000 NT
2000 98 Me 2000 NT XP?
Me 98   
98 Me  
95    
NT4 2000 XP 


 古いパソコンから新しパソコンの読み込みはかなり厳しいということが言えます。特に、NTFSファイルシステムがやっかいですが、2000、XPを使う場合でも、DドライブをFAT32ファイルシステムにし、Dドライブに共有フォルダを設定してやれば他からアクセスできます(この方法で、NTのパソコンから2000のパソコンのDドライブを読み込めました)。とりあえず言えるのは、同じOS同士ならばまず読み込めます。OSのバージョンが異なるとやっかいで、特にNT系(2000、XP)と95系(98、Me)の間は問題が生じることが多いです。なんだかんだ言ってこのファイル共有はいろいろ面倒なので、恒常的にファイル共有する場合はネットワーク対応タイプの外付けHDを使ったほうがよいと言えます。


 4,プリンタの共有

 最後に解説するのが、プリンタの共有です。これは、1台のプリンタを複数のパソコンから利用できるようにするものです。LANでは次の2種類の方法でプリンタ共有することができます。まずは下の図をご覧下さい。一つ目は、LAN上の1台のパソコンに普通に接続されたプリンタを他のパソコンからも利用可能にする方法(左側)。二つ目はネットワーク対応プリンタを利用するやり方です(右側)。
 


 簡単なのは左側のやり方で、特別なものを用意する必要はありません。この方法だと、パソコンBやCはパソコンAに印刷してくれ、という命令を出し、パソコンAがプリンタを動かす、ということになります。当然のことながら、パソコンAの電源が入っていないと他のパソコンはプリンタを使用することはできません。しかも、このやり方だと3で解説した通り、OSのバージョンが異なると利用できないことが多いのです。当然Windowsパソコンに接続されたプリンタをMacから使うことはできませんし、同じWindows同士でも、2000やXPと98、Meはプリンタドライバが異なるので、うまくいかないケースが多いです。成功するのは、同じOS同士の場合ないし98とMeの共有くらいです。

 次にネットワークプリンタを利用する場合です。この場合は、プリンタをLANネットワーク上のコンピューターの1台として扱い、すべてのパソコンから対等に接続できることになります。それぞれのパソコンに個別にプリンタドライバをインストールし、プリンタに命令を出すわけですから、1台のパソコンしか電源を入れてなくてもプリンタは使えます。何よりもプリンタが対応するOSならば、OSが異なってもすべてのパソコンからプリンタを使うことができます。左のやり方ならばWinとMacの共用は無理ですが、こちらのやり方ならばプリンタがMacに対応さえしていればWindows、Mac双方からプリンタを利用できることになります。
 ということですが、ネットワークプリンタを利用するにはプリンタがネットワーク対応であることが必要になります(つまりはプリンタがLANポートを備えていること)。レーザープリンタを中心にネットワーク対応のプリンタは各種発売されています。それでは、ネットワーク対応ではない通常のプリンタではネットワークプリンタに使えないのでしょうか?心配は不要で、プリントサーバーと言う機械を使えば通常のプリンタでもネットワークプリンタとして利用できるようになります。このプリントサーバーとは簡単に言ってしまえば、普通のプリンタをLANに接続するためのアダプターのような役割を果たす機械ということができます。

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