「気まぐれ天使」の坪田直子 詩的空想〜フーテン娘

 西日本テレビ放送のテレビドラマ「気まぐれ天使」(水曜・後8・0)に,おかしなフーテン娘が出演している.奇妙な老女・悠木千帆の孫娘である.演じるは,ミュージカル集団・東京キッドブラザーズの坪田直子.
 道に落ちているガラクタを拾ってきては,指輪やネックレスをつくり,路上で売ったりする,そんなユニークな演技が注目されだした.「コケティッシュでかわいらしい」「とってもセクシー」「彼女の起用は大ホームラン!」といったファンレターも,ぼつぼつ.
 昭和三十一年一月,東京渋谷生まれ.小学生のとき父を亡くし,高校のころ自閉症にかかって,そこから抜け出すため,絵をかいたり,はた織りを習ったりしたが,結局,武蔵野音楽大学声楽科へ(現在は休学中).
 「楽器をいじったりするのは,おもしろかったけど,気の合う仲間ができないまま,ふらふらしていた」とき,東京キッドブラザーズのミュージカル「十月は黄昏の国」のヒロイン役に応募,三十人ほどがオーディションを受け,見事合格.同じ東京キッドブラザーズ製作の映画「ピーターソンの鳥」では,秋田明大や悠木千帆と共演.テレビは,日本テレビ「太陽にほえろ!」に一度ゲスト出演しただけ,むろんレギュラーは初めてだ.
 「いつだったか,池袋のオールナイト見に行ったら,隣の年とったおっちゃんが,かん入りのお酒をおごってくれ,とっても親切だったの.アル中みたいだったけどなんとなく気が合って,明け方,日雇いの仕事にでかけるというおっちゃんを送って,横浜まで行っちゃったの」
 それは「太陽にほえろ!」の益田喜頓のさびしい老人と,坪田直子のフーテン娘が心かよわせる設定に似ていたという.
 ふらふらっと旅をするのが好きで,ロンドンへは二度,ハンガリーやアイルランドも旅した.
 「ロンドンの地下鉄に乗ったら,四次元の世界に迷い込んだような気がしたの.売店で新聞買ったら,大昔の記事が載ってて,暗やみから紫式部が,とつぜん現れたりするの…」
 あるいは,がらくた市へ出かけ,片方しかないぞうりを買ってきて「もう一方は,星の王子さまが大切にしまってあるかしら」などと考えたりする.坪田直子の詩的空想の世界は,果てしなく広がり,そのまま「気まぐれ天使」のフーテン娘の言動に,ぴたり重なって見えるから不思議.
 ところが意外なのは,スキー,水上スキー,水泳なども得意なこと.水泳は,バタフライ専門とか.
 同じ年ごろの男の子には,ほとんど興味なく,おじいさん,おばあさん,子供の方が好き.
 「結婚したら,早く子供を産んで,小説でも書きながら,片田舎に暮らし,年に一度ぐらい,子供連れでステージにすわって歌うなんてすてき」
 将来の生活設計らしい.

76/12/12 四国新聞 「話題の人」の欄

 これは80年頃に「気まぐれ天使」の再放送で初めて坪田直子さんのことを知った私がテレビ局に坪田さんについて問い合わせたところ送られてきた新聞記事のコピーです.夕刊京都
(76/12/13)の「ビデオ」の欄にもまったく同じものが掲載されたようです.(西日本テレビ放送が読売テレビになっていたり,若干仮名使いが違いますが.)
bravie 98/11/4