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ウチのイマでシュウマツを
作者ご挨拶
相 田 やかん 
 ある日、母が部屋の整理をはじめた。父が肺ガンで亡くなって7年が経ち、やっと遺品を整理する気なったらしい。懐かしい写真や雑誌の切抜きと共に母が一枚の手紙を引っ張り出した。あまりにも嬉しそうに手紙を読む母に、私は何なのかを聞いてみた。

 それは父がまた母と付き合う前に、母に書いたラブレターであった。

 手紙は三枚にも及ぶ。内容は最後に母と会った時のお礼と、一緒にいられなかったことに対する謝罪から始まっている。その次に自分の事、そして自分の性格や生活の悪いところなどを色々と書いていた。所々に「ありがとう」という言葉と「ごめんね」という言葉が目立つ。そして最後に何故か家族について書いてあった。

 正直なところ私は恥ずかしくなってしまった。付き合う前の相手に「俺はこんな家族を持ちたい」などを書く父。おいおい、お前の頭は一体どの位脳内で話が進んでるんだ?と突っ込んでしまう。

 今回、公演で家族物の企画を持っていったとき、そんな父の顔を思い出していた。自由奔放で誰にも優しかった父。そして誰よりも家族を大切にしていた父。“家族”を考えると必ず、仕事で遅く帰ってきても笑顔を絶やさない父を思い浮かべるのだ。

 私はやはり現代っ子なのか、父が死ぬまで家族についてはあまり意識をした事がない。空気のように当然であり、何もしなくても存在する集団であった。しかし父を亡くして、母と弟との3人暮らしが始まった時に、どれだけ父が“家族”を支えていたのかを思い知った。金銭的なものはもちろん、精神的にも、である。

 改めて家族の中の自分を思い返すと、恥ずかしい、と思うことが多い。自分勝手で迷惑ばかりで、家族を守ろうと考えていた父から見れば、私のしてきた事は許しがたい言動や行動だと思う。しかしそれでも私たちは根拠はなくとも、家族だったと断言できる。

 今回の作品「ウチのイマでシュウマツを」は、当たり前のように古くから存在する家族と、道徳に縛られない珍しい事が新しい事と受け入れる現代の価値観をぶつけた作品にしたいと思った。この作品を通じてぜひ一度思い返す切欠にして貰いたいと思う。家族とは大切にすべきなのか、どうして家族を大切に思うのか。どうか皆さんの価値観で判断して頂きたい。

 余談だが、私はこの作品を愛する人に見てもらいたいと思う。なるほど、私はやはり気障でどこかずれたラブレターを書く父の息子であると、改めて感じた次第である。
 
 PROFILE
相田やかん 相田やかん 【あいだやかん】
埼玉県さいたま市出身。23歳。
もちろん「相田やかん」はペンネーム。高校時代から作家志望で、卒業後は大学進学を志すが2浪し断念。アルバイトで働いていたコールセンターを運営する会社に就職。ほぼ同時期より「劇団CHAN'T」へ参加。以来、劇団の製作・運営に携わるとともに、公演作品の原作も手がける。

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