服屋の話☆(2005/3.14〜5.25)

第一話

あれは木枯らし吹き荒れる秋の終わりくらいのこと、そろそろ冬物の服が欲しいな〜と思ったアタシは郊外のジャスコに冬服を物色しに行きました。
もともと着る物にそれ程のこだわりの無いアタシにはいきつけの服屋がある訳じゃないし、青山だのマスカットだのと言ったコテコテの紳士服屋はどうにも性に合わないので、服を買うのは適当に安いカジュアル服屋が沢山入ってるジャスコくらいで調度イイんですよ。
そのときも漠然と冬服と思っていただけで、やりたいコーディネイトどころか、コート、セーターみたいな感じに買いたい服の種類すらも定めないままに1Fの服屋フロアをさまよっておりました。
端から順ぐりと店を回って行くと、最初の3店舗はいかにも安かろう若かろうなジーパン系の店だったのですが、次の4店目からは明らかに今までの店とは違う、高そうなオーラを放っている店があります。
その店の名はtaka−Q。高級服屋と言うほどの店では無いのですが、大型量販店ジャスコに入っている店の中では、実に高級感あふれるように見えてしまいます。
おお〜ココならきっと気にいる服がありそうだ!!!!
アタシは吸い寄せられるようにフラフラと店の中に入って行き、シャツやら上着やらを物色し始めました。


第二話

その日は仕事サボって出てきた平日の午前中だけあってジャスコ店内は実に空いており、勿論たかキューも例外ではなく店内の客はアタシ一人であります。
そんな静まり返った店内において、アタシのズボンをはぐる手、シャツを凝視する目は真剣そのもの。だってその日のアタシはハナから絶対何かを買って帰ろうかと思って服を見ているんですからねえ。
素人目に見てもこれは絶対買い物していくなと分かるような客を見たとき、しかも相手は一人で他の客はいないようなとき、果たして店員さんはどのような態度を取ればいいのでしょう?
とりあえず自分から声をかけてみるのがイイのか、それとも黙っているのがイイのか・・・
一流の店員になれば、客の雰囲気やしぐさを見て、この客はどんなタイプの客でどのように応対すれば物を買わせることが出来るかを瞬時に見切ることが出来るそうです。
逆に言えば、それを容易く見極めることが出来るのが一流の服屋の店員と言なのでしょうね。
それならば、果たしてエミールとはどのようなタイプの客で、店員の方からすれば、いったいどのような接客をするのが正解だったのでしょう?


第三話

タカQのおねーさんは、さり気なく自然にアタシの横に立っておりました。
近づいて来るとか目を合わせる、声をかけて来るとか、そんなレベルの話ではありません。気付けばアタシの方から「これどうよ?」などと話しかけているじゃないですか(^^;
おねーさんはただ微笑んでいただけなのですが、それが実に色んな意味で近すぎず遠すぎずの絶妙な笑顔なんですよ。
アタシに話しかけようとしてる訳ではなさそうだし、かと言ってアタシから話しかけられるのを待っているようにも見えません。
おねーさんは本当にただ自然にニッコリと微笑んでただけだったんですけどねえ・・・(続)


第四話

さすがにアタシが自から話を振らせたおねーさん、
その後は完全におねーさんペースで話が進んで行きました。
自分から積極的にあれどーですかこれどーですかとかって色々勧めて来る訳では無いのですが、アタシの方から意見を求めてみれば、絶対に無難なデザインのモノは選んで来ずにアタシの好みよりも2割増しくらいに派手な物を選んで来ます。
そんでもって自然な笑顔で、いかにその服がアタシに似合うかを力説してくれるんですよ。
ぶっちゃけ営業トークだと言うのはハッキリ分かるのですが(爆)それでもおねーさん自身が本当にアタシに似合うと思う服を選んでくれてるんだなってのは伝わって来るし、
アタシと言う客に服を買わせようと言うのではなく、服を選ぶと言う作業を楽しんで貰おうと言うもてなしの心がハッキリと感じて取れました。
こう気持ち良くもてなされたのでは、実際にお金を使わなければアタシの方も服選びと言う作業を最後まで楽しんだ気分にはなれません。
終わってみれば、アタシは当初の予算10割オーバーの買い物をしていたのですが、むしろ沢山お金を使えたことに喜んでいるような始末でありました


最終話

さてさて楽しかった服選びも終わり、いよいよ会計です。
ココに来ておねーさんは、さっと一枚のパンフを出して、会員カード作りませんか?と勧めて来ました。
別に特別なことでも何でもなく、これは服屋さんのお約束ですよねえw
アタシとしても、会員カード作ったところで会費取られる訳でもないし、それにまたこのTakaQには多分お世話になるだろうと思い、快く申し込み用紙に住所名前を書き込んでおねーさんに渡したのですが・・・
ここでこのおねーさん、トンでも無いことを言ったのですよ(^^;
今までの接客で、このおねーさんが物凄い褒め上手なことは分かっておりますけれど、まさかココまで凄いとは(><)

「○○○○さんて言うんですか・・王子様みたいな名前ですねw」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おいおいそこまで言うのかおねーさーん(><)
そりゃあアタシも過去に服屋のねーちゃんやキャバクラ嬢にヨイショされて誉めちぎられたことあるけどさぁ、名前までココまで誉められたことは一度も無いぞ!!!!
(ちなみにアタシの本名はごくごく普通の名前です)
ココまで言われて見ると、もはやヤリ過ぎだの白々しさなんてレベルを超越して、ただただ感心するだけでしたよ(T T)
ええぶっちゃけ悪い気はしないどころか凄く嬉しかったですねw


エピローグ
以来アタシはココぞと言う場面では、この時に買った服を着て行くことが大概なのですが、仕事着姿のアタシとしか会ったことの無い職場の人とか、室内着でしか会わないダチなんかに、カッコいい服着てるじゃんかよと何人かに誉められてしまいました☆
で、そうしてアタシの服にツッコミを入れてくれた人には必ずこのおねーさんのお話をすることにしております。
以来、この時アタシが買った服は、王子様の服と呼ばれるようになりましたとさ☆


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