カレーの話(2004/12/25〜2005/2/12)

第一話

あれからもう一ヶ月くらい経つんだなあ・・・
その日のアタシは布団で寝転んで本を読むのに疲れてて、尚且つ小腹を空かせていたんですわ。
で、小脇にハードカバーの本抱えながら車を走らせ、何処かイスに座って本を読める場所を捜していた訳なんですよ。
そこで見つけたのがカレー屋ココ壱。そう言えば、何気に大好きなココ壱の納豆カレーを最近食べてないなーと思い出し、しばらくぶりなココ壱に腰を落ち着けることにしました。

いらっしゃいませ〜☆

カレー帽かぶったねーちゃんが愛想良く出迎えてくれます。
幸いそれほど込んでも無かったので、落ち着いて読書がしたいアタシは一人だと言うのにも関わらず、店の一番奥にある4人掛け席に一人で座ることにしました。
隣とナナメ向かいに客がいるのがちょっとうるさそうだけど、片方にいる二人の客は殆ど皿が空いてるからすぐにいなくなりそうだし、もう片方の客はアタシと同じ一人だから問題ないだろうと思ったのです・・・が、まさかその二組の客があれほどの悲劇をもたらしてくれるとは、そのときのアタシには全く持って予想の付かないことでした(^^;


第二話

首尾よく一番奥の特等席に陣取ることが出来たアタシはおもむろに本を広げて読み始めることにしました。
注文するものは最初から納豆カレーと決まっているし、本があるから暇を持て余すってことも無いのでメニューを広げてあたふたする必要はありません。
お腹もそんなに空いてる訳でも無かったし、慌てずともそのうちねーちゃんが注文取りに来るだろうと思って、アタシは目の前の本に集中することにしました。
・・・でも今にして思えば、あまりに落ち着き払ったその態度があの悲劇をもたらしたのでは無いかと思えてなりません(^^;
込んでいると言う程でもないさほど忙しくも無さそうな店内に散らばる数人のウェイトレス・・・
何事も無かったように読書に没頭するエミール・・・
隣に陣取る今にも帰りそうな二人組の客とアタシよりも少し前に来たと思われる斜め前に座る一人の客・・・
ココに全ての駒が出揃ったのでありました。


第三話

静に読書に没頭するアタシとは裏腹に、回りの状況はなかなかどうしてワラワラしております。
店内全体で見ればそれ程込んではいないんですが、アタシの近辺はボックス席が3つ埋まっているので、さっきからひっきり無しに入れかわり立ち代りで何人ものカレー姉ちゃんがアタシの周辺を
バタバタバタバタ。
隣の二人組みんとこにカレー運んで行ったり斜め前のにーちゃんとこに注文取り行ったりと、店内はちょっと空いてたカレー屋さんなのですがこの辺一帯だけは妙に活気があります。
でもそう、たった一つ、本読んでるヤツがいる席を除いて・・・(続)


第四話

カレーねーちゃんがあっちへウロウロこっちへウロウロ、慌ただしく食器を運んでおります。・・・んが、しかし、誰もアタシんとこへ注文を取りに来てくれません(^^;
でもまあ隣&斜め前のテーブルが取り込み中みたいだし、その辺の対応が終わればアタシんとこ来るかな? アタシの方も取り立てて急いでいる訳でもないから、暇になるまで待っててやるかw
そう思い再び本に目を落とした訳なのですが、・・・待てど暮らせど誰も来やしねえ(><)気が付けば持ってきたハードカバーの本が20Pくらい読み進んでおります(^^;
それも注文の品がまだ来ない状態以前の、お冷やすら出ていない状態での話ですよ。
しかもアタシが読書に没頭している間に、隣の客が帰ったことはおろか、斜め前の客の皿もそろそろスッカラカンになってるし、しかもしかもカレー姉ちゃん、アタシのことなんかそっちのけで隣のテーブルの拭き掃除なんて始めていやがるぞ! それも一人の話じゃなくて入れ替わり立ち替わりでな!
アンタ等の中で一人くらい、何処かおかしい何かおかしいって違和感感じること出来ないのかーーー!!!!!!!


第五話

でもココまで来てしまったら、もう今更カレー姉ちゃんを呼び止める訳にも行きません。なーも悪い子としてないってのに、自分の方から「すみませ〜ん」なんて言う気になれるかー! もはや完全に意地になってます自分(^^;
こうなったら絶対自分から声をかけたりしないぞ!と心に誓い、ひたすらと読書に励むことにしたのはイイのですが、勿論だからと言ってカレー姉ちゃんの気がアタシの方に向く気配なんてモノはまるでありません。
気がつきゃ斜め前の客も帰ってしまい、カレー姉ちゃんテキパキと食器を下げて机を綺麗に拭いているではありませんか。
そして誰もいなくなりました・・・アタシのテーブルを除いて(^^; ガラーンと静まりかえる店内、もくもくと読書に耽る一人の客・・・
まさかこの場に及んで今更アタシのところに注文が取りに来られる可能性はゼロになったと言えるでしょう。
さすがにアタシのことが全く目に入っていないと言うことは無いでしょうが、ココまで来てしまった以上、アタシはもうとっくの昔に食べ終わっているんだけれど粘っている客くらいに思われているか、
仮に誰かが衝撃の事実に気付いたとしても、今更自分から声かけることは出来ないだろうなあ・・・


最終話

にぎわいを見せていたカレー屋さんの一角も、ついに後片づけを終えたウェイトレスまでも引き上げてしまい、辺りには何事も無かったかのような静寂が訪れました。もはや一人読書に耽るアタシの姿は、そのまま背景に同化してしまったと言っていいでしょう。
ついさっきまではカレー姉ちゃんが近くを通る度に、チラチラそちらを見ながら早く気づけやゴラー!と心の中で呟いていたものだったのですが、もうその微かな望みも完全に絶たれてしまっております。
こうなってしまった以上、アタシに残された道は二つしかないでしょう。
今更ながらカレー屋ねーちゃんを呼びつけて文句言うなり、あるいは笑いながら注文取るなりするか、そうでなければ・・・
アタシはおもむろに本を閉じて席を立ち、レジの前を悠々と通り過ぎてそのまま外に出てきてしまいました。
少し冷や冷やしながらも自動ドアを潜り、入り口すぐ前に停めていた車に乗り込みながら店内を振り返ってみると、そこにはキョロキョロ慌くウェイトレスと、入り口の方をじっと凝視する店長らしき男の姿が映っておりましたとさ☆ 完

〜エピローグ〜
翌々日、同じココ壱にあの時と同じ時間帯に、同じ服装で同じ本を持ち同じ席に座ってみました。
おもむろに本を広げ読み始めたのですが、すると1分も経たないうちに、お冷やポットと食器を持ったウェイトレスが注文を取りに来てくれました。
勿論最初から注文する品は決まっている。

「納豆カレー」


この話はこれで終わりです。アタシはお笑い系文章が得意では無いのであんまし面白く無かったかもしれません(^^;
これまで読んでくれた皆さん、ありがとうございました☆




戻る