能力人事研究室

 

INDEX

世の中にある賃金制度の 特徴

注目のニュータイプ人事諸制度

見直し続く人 事・賃金制度

良く聞く、職能資格制 度のフレーム

賃金表の 作成

人事考課票 (カード)とは

ISO導 入企業の評価の観点

手軽な賞与のウェイト表

Furusawa Eiji Officeでは、既成概念にとらわれず、大手企業から小規模企業に至るまで、それぞれの企業ニーズにそった人 事制度をオーダーメイドしています。

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あなたの会社は、自社の風土にあった制度をお持ちですか

 安直に「能力主義」という言葉を頭に被せた人事制度が流行しているのは嘆かわしいことです。
 あなたの会社は、コンサルタント会社や公的機関の言いなりになって、「能力主義人事制度」と銘打った社業 の手枷・足枷となってしまう人事制度を導入していませんか。

 人事制度には、それぞれ一長一短があり、その癖を認識していないと思わぬ陥穽に陥ります。ここで簡単な問いかけを してみます。質問のいずれかに該当している場合、あなたの会社の人事制度は袋小路に入っているかもしれません。

 ・アメリカ流の人事管理をそのまま移植していませんか?
  → 社会的背景や国民性が違いすぎます。

 ・公務員が用いる俸給表を真似ただけの制度になっていませんか?
  → たとえ能力主義と銘打っていても、できあがるのは官僚機構です。

 ・人事制度を変えるには、全体的に賃金を高くすべきだなどと言われていません か?
  → 持ち出し原資が必要な改革であれば、コンサルタントはいりません。

 ・制度改革を行った途端に、社員のやる気がなくなったという感じはしませんか?
  → ボトムアップを目指せば、突出した人材が逃げ出すというのは学校教育をみても明らかです。

 ・他社の実例を手本にして、そのまま新制度を作っていませんか?
  → 組織というものは、それを構成する個人の個性により色付けられた有機体です。規模や業種が似ていて も、闇雲に移植するのはとても危険です。

 当然の話ですが、「能力主義」とお題目を唱えただけで、すべての人事問題が氷解することなどありません。このところ、「能力至上主義」の思想そのものにも、疑問の声が上がっています
 たかだか一企業の社内制度ではないかと卑下されるかもしれませんが、小なりといえども「制度」は制度で す。時代をどう読むかという基本的な視点がなくては、良い物はできません。それは人事制度により社内の秩序(ひろく言えばカルチャー)が決まってしまうか らです。
 いや、人事問題には所詮抜本的な解決などないのだから、「当社は昔ながらのニコポン方式で良い」などと 言っていては、時代に取り残されてしまいます。

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他社制度の移植ではなく、既存システムの応用から

   人が集まり、組織を作って同じ目標に向かって活動している以上、内部に摩擦をかかえていない会社な どありえません。儲かっている企業の場合、摩擦はすべて金で解決するというところもあるでしょうが。たとえ 高額の賃金であっても、全員に同じ金額を与えたのでは、やる気のある人達から不平が出ます。

 そこで、「仕事ぶりにあわせて賃 金に差をつける」(これを賃金制度と呼びます)ということを行うわけですが、この方式はさまざまです。

 主な賃金制度の形態だけをとってみても、職務給、職能資格給、能率給、能力給、実績給など様々なバリエーションが あります(後述)。バブル景気の前半までは、日本においては職能資格給が もてはやされ、猫も杓子もこの制度を学び、導入しました。しかし、「兵どもが夢の後」。勢い込んで職能資格 制度を導入した企業のいまの業績はどうでしょうか。

 職能資格制度の功績は、職制に基 づいた役職(ポスト)と職務遂行能力の高さを示す資格名称とを分離したことにあります。これにより、団塊の 世代が役職適齢期に突入した時に、ポスト不足をかわすことが出来ました。しかし、はたして職能資格制度でなければ、こうした運用ができなかったのかと問わ れると、それは疑問です。我が国においては、歴史を紐解くまでもなく「名誉と実利とは別物」という伝統があり、それは民族の記憶として染みついています。 外資系企業でないかぎり、こうした民族の呪縛からは逃れ切れません。ですから、「職能資格制度」でなければ、ポスト不足は乗り切れないというのは迷信で す。

 繰り返しになりますが、人事制度 は会社の秩序のあり方を規定する基本法と考えて下さい。
 人事制度で「実績をあげた従業員の給料はあがるもの」となっていれば、従業員は黙っていても実績をあげるようになるのです。

 そこで次ぎに問題になるのが、「実績」のとらえ方です。
 「実績」を出すためには「目標」がなくてはならず、それを一人一人にきちんと提示するためには、「目標管理システム」や「課題面接制度」がどうしても必要となります。ただし、これら はどれもたいへん時間がかかるもので、第一線のラインの管理者がISOや TQM活動と平行して完璧にこなすとのは事実上不可能です。ISOやTQMは直接売上や生産量に響いてくる ものですから、この時点で人事管理に関するアイテムはたいてい後回しになってしまいます。

 日本人の特長なのかもしれませんが、評判の良いものはとにかく取り入れてみようということで、この10年ばかりを みても、QC→TQC→TPM→TQM→ISOと企業管理の流行はめまぐるしく変わってきました。といっても、実際の現場作業は10年一日のごとくまったく変わっていないというのもまた事実です。管理職や第一線の監督職が神経をすり減らし、サービス残業を行って帳尻を合わせてきたという実態は事情通なら誰でも知っています。

 こんな環境下で新しく「目標管理制度」を導入しようとしても、「絵に描いた餅」になってしまうのは目に見えていま す。これからは欧州諸国の合理性を見習い。似たような管理方式があるのな らば、それを出来るだけ流用し、二重管理を徹底的に無くすという発想が必要でしょう。そこで、この研究室で は、ISOを人事評価の観点に流用してみました。

 ISOによって決められた業務に対する要求事項を、一人一人の「尺度」にかみ砕き、人事考課していくわけです。こ れにより、イメージや人物の好き嫌いによる不公平な評価は激減するはずです。もちろん評価者である管理職への負担も、必要最小限で済みます。

 マネジメントに係わるすべてのシステムのベクトルが揃ったとき、組織ははじめて大きな成果を産み出します。人事制 度は人まねではなかなかうまく行きません。逆に、目に見える賃金システムが、多少古くさいものであっても、システムがうまくかみ合えば、社員のやる気は高 く維持できます。

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代表的な賃金制度の解説

 人事制度が従業員の処遇に結びついている以上、核(コア)になるのは、どういう「尺度」でいくら金を払うかという 制度となります。厳密に言えば、これは「賃金の支払い形態」または「賃金制度」と呼ぶべきでしょうが、これをさして「人事制度」と言いならわしている場合 がかなりあります。
 以下に、代表的な賃金制度の特徴をあげてみます。

1 職務給制度

 ひとことで言えば、社内にある一つ一つの職務(ひとまとまりの仕事という意味で、「課業」(タスク)という言い方 をする場合もあります)に値段をつけるということです。
 製造業の場合、鋳造工は日給いくら、機械加工はいくらと大ざっぱに決める場合と、旋盤加工いくら、仕上げ加工いくら、検査作業いくらといったふうに、工 程事に決めるところもあります。
 第三次産業の場合には、外回り営業、店舗内接客、経理事務、貿易事務などとわけて、賃金を決める場合が多く、アウトソーシングで派遣社員を入れる場合 の、時給の違いといったイメージで捉えることも可能です。

 正社員の場合には、日給 または時給できめた賃金を、月額換算するといった方法を行わざるを得ませんが、この方法で注意しなければならないのは、職務ごとの賃金格差が思いの外大き くなってしまうことです
 欧米、特にアメリカではこの制度が多く見られますが、その背景には、横断型職工組合という同職種でつくられた強固な労働組合の存在があります。一方、我 が国では企業内組合が主流ですので、組合が職種ごとのモデル賃金を提示してくることはまれです。日本でこれを導入する場合には、役所の資料などで、職種ご との日給や時給を調べることが前提になります。

 さて、この制度の使いにくさは、昇給が難しいということです。基本的に仕事(職務)が変わらない限り、賃 金の額はかわらないという原則がありますから、配置転換が必須となります。しかし、それでは熟練するいとまがありません。同じ仕事をしていて賃金を上げる となると、全職種の底上げということになりかねません。これでは大幅な労務費の上昇となります。といって、賃上げをしない状態が何年も続くと、ベテラン従 業員から辞めていくという事態に直面します。

2 職能資格制度

 日本の大手民間企業の大多数と公務員の俸給制度は、大まかに見た場合、このカテゴリーに入ります。基本給の内部は、生計維持費要素の項目と職務能力要素の項目の二つで構成されています。それ以外に勤続給という項目をもっている企業も、以前はかなりありましたが、今は少数派です。生計維持費要素を年齢で決めようとい うことにすると、「年齢給」となります。
 以前は「年齢給」と「勤続給」とでかなりのウエイトを占めていたため、 日本企業の賃金は年功給だと表現されていました。また、「職務能力は年々伸びていくものである」との信念から、「号俸制度」という定昇積み上げ方式が導入され、それらが日本的経営の強みだなどと呼ばれて来ました。しかし、バブル経済がはじけて以降、日本的経営の神話の人気はさっ ぱりです。現在では公務員の俸給制度にその名残が残っているに過ぎません。
 春の賃上げ闘争で、「定昇」とか「ベア(ベースアップ)」という言葉が 使われているのは、この制度を用いている企業が多いという証拠です。社会経済生産性本部などでは、「定昇」は賃金表(号俸表)のコマを進めることで、「ベア」は賃金表の金額をプラス方向に書き換え ることと定義しています。ただし、このように運用している企業は随分少な くなってきました。年齢や勤続といった「属人的要素」だけで、自動的に給 与の号俸(コマ)が進み、金額が増えていくというのでは、制度は硬直化します。それは労務費の限りない増大を意味します。それを防ごうとすると、号俸表全体を縮小するしかなく、これは「やってもやらなくても同じじゃない か」ということを宣言したことになりますから、社員のモラール(志気)をがくんと低下させます。
 基本給の内訳比率を見直し、「号俸表」から上げ幅管理の「昇給表」に変えることなどにより、同じ枠組みであっても、能力要素を高めることは可能
です。ただし、「目標管理制度」などの周辺制度が整備されていないと、運用は年功に流されることになります。

3 完全能率給制度

 速さや量などにより能率が計量化できる職種には向いています。数字 をあげればそれだけ賃金が上がるのだという単純明解さが利点です。
 ただし、能率の伸張は初期においては著しく、ある時期を過ぎるとどうし ても低成長になってしまうため、いったん安定期まで能率が上がってしまうと、給与だけでモチベーションを高めるということに破綻が生じます。そうした事実に目を背けたままでいると、不正を働いて売り上げを伸ばすとか、空売りで数字だけだすとか、マルチ紛い商法に進んでし まうとか、危険を含んでいます。
 会社の成長が水平飛行に移った段階では、能率の悪い社員の賃金を減らすことになりかねず、売上が伸び続けない限り、定期昇給ということも理論上は難しく なります。バブル期ならいざ知らず、よほど上げ潮にある企業でないと、社員の定着率は悪くなるでしょう。ただし、上級管理職だけに適用するとか、一部の営 業職に適用するとかいった導入方法はあります。いずれにせよ。長期に導入するには注意が必要です。短期決戦型のプロジェクトに向いている制度です。

4 能力給制度

 能力のある者を中途採用により幅広く集めたいといったニーズがある場合、有効に働く制度です。能力をどう捉えるか という点が最大のポイントです。経営者が忙しさにかまけて、結局、社内で公平な基準を作ることができず、ペーパーテストや公的資格を取らせることで、能力アップの証明としているところもあります。
 が
、これでは制度の良さは引き出されません。このところ、英語能力検定試験の点数で賃金を決めるといった 企業も多く見受けられますが、英会話教室の先生ではないのですから、それだけが尺度というのでは、企業はあらぬ方向に向かってしまうでしょう。
 能力には顕在している能力(すでに仕事に使われている能力)と、潜在能力(今の仕事に発揮されていない能力)とがあり、潜在能力を仕事にどう引き出せるかが勝負となります。とどのつまり、この制度は管理職の力量を問う ことになります。制度導入にあたっては、あらかじめ組織を平板化し、情実人事で引き揚げた管理職などにはお 引き取り願い、中間管理職は極力廃止することが大切です。こうした下拵えをした上で、上に立つ者のマネジメント能力を徹底的に磨き上げれば、一気に戦略化 出来る制度といえます。

5 実績給制度

   いわゆる「出来高払い」「歩合給」と呼ばれるもので、近代社会に雇用という形態が導入される以前から存在していた、もっとも古い賃金支払形態です。内職やSOHOなどは、いまだにこの形式を踏襲していま す。これを従業員に適用しようとした場合、年俸で賃金をきめるというタイプが一番すっきりと マッチします。ただし社内制度として採用する場合は、労働基準法に抵触しない程度の最低保障 給を定めておくなど、法的な要件をクリアする必要があります。 
 保障給の定め方いかんによっては、職能給制度とほとんど変わらぬ形態になります。こうなると、「年俸制」とはいっても、実態としては年功賃金ということ になりかねません。また、実績をどのように捉えるかで、外部要因によって結果が振られてしまうため、何をもって実績とするかを最初に明確に決めておく必要 があります。

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注目のニュータイプ人事諸制度

 前章で見てきたように、人事制度を狭義に捉えると、賃金システムとダイレクトに結びついたものだけを指すのが普通ですが、経営課題に対する社員の 取組姿勢を前向きにする制度・動機付を主眼にした制度を、広義の「人事制度」とすることも可能です。そうした考えに基づいた、あたらしい人事諸制度につい てここでは触れてみます。

1 通年採用制 度

 文字通り、新卒による社員の補充から中途入社方式に変えていこうというものです。(定期採用中心 → 定期+キャリア、外国人採用)
 採用の多様化を実現することがなぜ人事制度なのだという意見もありましょうが、方向として高い専門性を持つ多種多様な人材の確保を目指しているという姿 勢を明確に打ち出すということで、年功にあぐらをかいてきた社員が目を覚ますという効果は考えられます。といっても、中小企業の場合、そもそも定期採用を していない場合が多く、それではそういう企業に、「高い専門性をもつ」人材が集まっているかというと、かなり疑問です。
 要は、中途採用者をすぐに管理職に登用するか、いっそのこと管理職自体を求人するといった思い切った割り 切りが必要です。ただし、超大企業が優秀な人材を「ハンデなしに」積極的に採用するよ うになっているのは間違いありません。

2 評価フィー ドバック制度

 従来考課者がマル秘扱いで所有していた評価情報を、被考課者にフィードバックするという評価制度で す
 人事考課では、考課時に本人と上司が、議論し意思の疎通を図るというのが理想的とされています。これがうまく機能すると、従業員がやり甲斐を感じ、自分 自身の成長を実感しながら創造性を生かして仕事が出来ると思われます。ただし、理想と現実とはことなり、上司と部下との相性の問題により、失敗していると いう企業も多いのが実態です。フィードバックの仕方いかんによっては、あらぬ怨恨を残すことになりかねず、出来れば第三者を入れた面接が必要かも知れませ ん。いずれにせよ、考課者の資質の向上が前提となります。

3 退職金フリー給与支払い制度

 ひとことで言えば、賃金・処遇制度に選択肢を設け、多様な就業者ニーズに対応した制度ということになる。退職後に退職金が支払われる従来のコース、退職金と福祉手当てを毎月の給与に加えて支払う「退職金・福祉現金支給コー ス」と退職金だけを毎月の給与に加えて支払う「退職金現金給付コース」の3種類のコースを入社時に選択できるようにするというのが主流のよ うです。
 選択肢は拡がったが、定着率や愛社精神が低くなるのではという危惧はたしかにあります。ただし、社会全体が流動化・不確実化の谷になだれ込んでしまって いる現実を思うと、いっそのことここまで自己責任にしてしまったほうが小気味よい気もします。日本版401Kがらみで脚光を浴びると思われる。 去る者は追わず、通年採用によって、常に優秀な人材を集めるという制度と対にして導入すべきです。

4 ジェンダー アクション制度

 女性を課長職以上の管理職に積極的に登用しようという制度です。男女共同参画を目指し、女性の視 野・識見を経営に活かすことを目的にしているわけですが、現段階では厚生労働省の方針に沿って進めているという企業がほとんどです。客観的 に見た場合、「能力主義」人事制度とは言い難く、現実には最初に女性管理職の人数枠を設けて、人選があとということが多いようです。
 こうした方法は行政指導でよくみられますが、本当の適材適所になるのか今一つ疑問です。それでも、この手の制度を早めに導入することで、内外に会社の先 進性をPRすることになるのは事実です。営業戦略的に使われているといった感があります。

5 専門職制度

 会社が求めている専門能力と研修体系を分析整理し、公開することにより、個々の従業員がめざすべき目標がはっきりし、それを目指す人が多くなるだ ろうという含みをもった制度です。
 通常「専門職」と認定されると、ラインからは独立した形となり、職制体系から距離をおいて「ご意見番」として発言できるという立場になります。それだけ になまなかのレベルでは専門職に任命されないのだとしておかないと、ラインからあぶれた者の、姥捨て山とい う制度になってしまいます。
 バブルの前までは、「専門職」とは「窓際族の別称」と言われていました。高齢者だけでなく、技能職・技術職に積極的要することにより、新 しいステータスになるでしょう。

6 エリート開 発研修制度

 若手の事業場長候補者を対象に、グローバルな経営を展開できる経営者を育成することを目指した研修制度。世界進出を企てている企業の場合、経営者やCEOなどをいかにして若返らせるかが課題となります。
 候補者を選ぶ目に自信があれば、こうした研修制度をすぐにでも作っておく必要があります。研修については、何はともあれ経営者自らが講師になるべきで しょう。企業によっては、若手だけでなく中堅、その上と「階層別」にカリキュラムを組んでいるところもあります。ただし、あまり裾野を拡げすぎ、全員を無 条件に対象者にしたのでは、モチベーション効果が薄くなり、本当のエリートが生まれません。

7 チャレンジ 異動制度

 本人のチャレンジ意欲を尊重し、適切な移動希望については上司と本人が面談し実現化をはかると いう制度です。ポイントはビリヤードのように、順々に空いたポストにつけられるかというところにあります。人事当局がすべての従業員のデータを管理し、組 織についての情報をしっかりと把握していれば、機能的な制度といえます。これを効果的に回すためには、IT化された個人情報システムの構築が必須となりま す。また、なにをもって「適切」とするか社内で決めておく必要があります。

8 パワーアッ プ研修制度

 従業員が成長分野の専門技術を取得することを目的に、半年から1年間の研修を会社が支援する制度で す。公募制度との併用で、本人のやる気により人材が大化けする可能性あります。公的な産業技術校や大学などが近くにある場合には、産学協同として従業員を 出すことが出来ます。また、国外の大学に留学させ、MBA(経営学修士)をとらせるところもかなりあります。

9 ライフプラ ン支援制度

 社外で活躍の場を見出した社員に、次の人生のスタートを支援する制度です。ライフプ ラン支援金制度、キャリア開発休暇制度など。国の助成金を組み合わせれば、会社の持ち出しは最小にすることが可能。ただし、リストラからみの制度と捉えら るのが一般的です。そうでない場合には、昔風な「暖簾わけ」か、アウトソーシングということになります。

10 再雇用制 度

 60歳以上の従業員に対し、定年延長ではなく再雇用を行うことで65歳までの就業確保を実現する制 度。この制度では、公的給付を受給しながら65歳まで働くコース、早期に社外に活躍の場を見つけて転身する転身コースなどいくつかのバリ エーションを作ることが可能です。公的な助成金制度などを睨みながら制度を作り上げることがポイントです。

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見直し続く人事・賃金制度

 企業間競争の激化、従業員の高齢化、国際化の進行、職業意識の多様化などを理由に、人事・賃金制度の見直しが相次いでいます。キーワードはやはり 成果主義、実力主義ですが、内容を見てみると、以前とは様変わりした所も出てきているので。前項り捕捉として紹介してみます。    ※なお、この資料は 「日経連タイムス」を参考にしています。

【職務・役割等級制度】
 職務・役割を責任度、重要度、難易度、負担度などに基づいて明確に分類し、等級基準を設定している。 ※役割等級は新しい流れ。

【職能資格制度】
 部門別・職種別の職務の実態に基づいて明確な職能資格基準を設定し、昇格の厳選化を図っている。 ※いわば主流派の制度だが、昇格が厳格化して年功色が薄れた。

【役職制度】
 役職に求められる要件を明確にしたうえで実力主義により役職登用を行っている。役職に登用された場合でも、当該役職に求められる業績を達成できない場合 は降職することがある。
       ※降職がトレンド。

【専門職制度】
 役職と同様に専門職の要件を明確にしたうえで高度な知識・技術・技能を有する人材を実力主義で登用している。専門職を「無から有を生み出す開発職、創造 職」「企業間競争を有意に勝ち抜くための戦略的人材」と位置付け、賃金や年俸も成果・業績に基づいて決まるようにしている。   ※専門職も業績で評価す るようになってきた。

【賃金制度】
 年功的・一律的な定昇制度を見直したり、廃止して、成果・業績に基づく昇給制度に改定している。
 職責給、役割給を導入する例も増えている。職責給、役割給の金額を設定する際に同業他社の職責・役割の価値(社外価値、外部労働市場価値)を参考にして いる企業もある。
 年収格差拡大型の年俸制や同業他社の年俸水準を参考にした社外価値準拠型・外部労働市場価値準拠型の年俸制の導入例もみられる。
       ※「社外価値」がカギだが、定着はまだ先のことか。

【評価制度】
 業績考課のウエートを高めるとともに、評価結果のフィードバックを徹底している。さらに配置や役職登用、採用などにおいて実力主義を徹底する目的でコン ピテンシー(適性能力)評価制度を導入している。  ※評価を本人に知らせるには、上司の自信がカギ。

【目標管理制度】
 従業員個々人の業務目標を会社目標・部門目標連動型にして目標管理を徹底している。上司との目標面接で設定した従業員個々人の業務目標を社内のパソコン を通じて公開している企業もある。 ※公開して、外堀を埋めるという手法へ。

【人材活用制度】
 自己申告制度、社内公募制度などにより人材の活用を図っている。早期選抜制度により若手の登用を積極的に行っている例も増えている。さらに社外公募制や スカウト人事により社外の優秀な人材を獲得する例も徐々に増えている。
       ※バブル期に芽吹いた制度が、ここにきて利用されだしている。

【賞与制度】
 年間賞与に占める会社業績連動賞与の割合の拡大、部門業績連動型賞与制度の導入、考課査定反映割合の拡大、効果査定部門の格差拡大などがみられる。
       ※部門業績を上げるための秘策とされているが、やる気が出るかは不明。

【退職金制度】
 在職期間中の役割、成果による貢献度のみを反映する退職金ポイント制度や成果・業績反映型年俸の一定割合×在職期間の算定による総和)方式の退職金制度 の例などがみられる。
       ※日本型401kの今後を見極める必要あり。

【コメント】
 これだけ説明をしておいて、出鼻をくじくようで恐縮だが、制度というものはどんなに精密に作ってみたところで、所詮「枠組み」に過ぎない。「仏作って魂 入れず」という言い方があるが、複雑な制度を導入しても、その機能がすべて有効に発揮できるとは限らない。
 そもそも現場の管理者が人事管理にどれだけ時間を割けるかという視点を忘れてしまっては、「能力主義人事制度」はただの絵に描いた餅に過ぎなくなる。
 シンプルでフレキシブル(融通性に富む)な制度が数本あれば、運用次第で能力主義は達成できる。人事制度の改革という花火を打ち上げた会社の多くが、経 営再建に汲々としているのが現実である。

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一般的な職能資格制度のフレーム

 ここに掲げたのは、上場企業を中心に多くの会社で広く採用されている職能資格制度の模式図です。会社の規模及び業種・社員構成などによって、級の 数などはかなり異なります。あらかじめご承知お き下さい。

資格名称

定義

経験年数

昇格基準

初任格付

対応職位

M9

副参事・理事

統率業務

 

 

 

部長

M8

主管

上級管理業務

実績

 

次長

M7

主査

管理業務

 

 

課長

S6

上級主事

企画監督業務

3〜5〜ナシ

 

 

係長

S5

中級主事

判断指導業務

3〜4〜10

能力

 

班長・主任

S4

初級主事

判断業務

2〜3〜8

 

 

上級係員

J3

上級社員

判断定型業務

2〜3〜5

 

大卒

中級係員

J2

中級社員

熟練定型業務

勤続

短大卒

一般係員

J1

初級社員

定型補助業務

 

高卒

初級係員

 上の表の内「経験年数」の数字は、左から(最短昇格年数)〜(平均昇格年数)〜(最長昇格年数)  を示します。

 級と資格名称は一対一で対応しています。級が上に上がることを「昇格」、下がることを「降格」と 言います。職位が上がるのは「昇進」。下がるのは「降格」と呼ぶこともありますが、「更迭」 という言い方が一般的になりました。
 名刺などには「資格名称」を用いても良いことにし、級で賃金は決まります。対応職位に付く ためには、その級をすでに取得していることが必要条件になります。要するに、従業員は全員が どこかの級に入れ込まれるわけです。その上で、対応職位に任命されることもあるという関係になります。職位(ポスト)に対する処遇は、「役職手当」(役付手当)だけで行い、基本給をいじることは慎むべきです。こうきめることにより、職を外れたときの処遇が明確になり、組織運営が軽やかになります。

 フレームを利用して賃金を設計することが可能です。その場合、「初任格付」の学歴により、それぞれの等級の最初の金額を、求人票に書いた学卒初任給にすれば良いのですが、学卒初任給は他社との比較によって決められる場合が多く、今では完全に整合性を保つことは不可能かも知れま せん。その場合は、学卒者に見なし勤続で「ゲタ」をはかせるとか、中途入社者の社外経験を学 歴として「見なす」とかのルールを決めておく必要があります

 新しく、制度を導入する場合には、従業員全員の基準内賃金などをプロット図にして分布を調べ、層別することによ り、それぞれの級の金額幅を決めていきます。

 ここにあげたような従来型の職能資格制度を導入しない場合でも、「職務遂行能力」によって従業員に賃金差を設けようという意図がある場合には、従業員をいくつかの 階層に分ける必要があります。こうした従業員のグループ分けのことを、これ以降は単に「制度のフレーム」と 呼びます。

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