日本霊異記
黄 3-1 日本霊異記
板橋倫行 校注
発行年月日:昭和32年 1月30日

(通常目録より)--------------
 九世紀のはじめ、奈良薬師寺の僧景戒が編集した仏教説話集。因果応報の理を説く話が多いが、幹となったのは当時民間に伝承せられていた説話で、人獣交婚譚や怪力譚もあれば、妖怪変化譚として神々の零落してゆく過程を窺わせる話も多い。説話文学の先駆として、後の『今昔物語』『宇治拾遺物語』などに材料を提供している。
 

内容
 この本は、以下の内容を含んでいる。
  ・日本國現報善惡靈異記 上巻
  ・日本國現報善惡靈異記 中巻
  ・日本國現報善惡靈異記 下巻
  ・解説
  ・索引
 『日本霊異記』伝本は上巻と中・下巻とで系統の異なるものしか残されていない。よって底本は上巻と中・下巻とで当然異なるのだが、この本の場合は著者が諸本を参照した上で作った校本が基にされている。また、原文は漢文であり、掲載されているのは読み下し文のみだが、実際読み下しの方法によって意味が変わってしまう部分も多いので、細かい部分は原文を見てみないと誤解しかねないところもある。なお、この本の刊行時には中巻の序文の全てを唯一残している来迎院本が未発見であったため、この本に掲載されている中巻序文は一部だけである。ちなみに、注釈も旧仮名遣いで記されているところがおちゃめ。成立は八世紀後半から九世紀前半にかけてで、現存する日本最古の説話集である。
 現在は、講談社学術文庫335〜337『日本霊異記』上・中・下が刊行中。ちくま学芸文庫コ10‐2〜4『日本霊異記』上・中・下は品切れになっている。
 

読んでみて
 この本は説話集の元祖であり、後世に出てくるような世俗的な笑い話は入っていない。一応、世俗的な話もあるのだが、あくまで世人の行動を戒めるための教訓となっており、いわゆる「仏教説話集」である。読んでみると、現代の感覚からしてうなづける部分もあれば、そうでない部分もある。納得いかない部分は、「これが仏教なんだから仕方ない」と思うしかない。
 説話というものは、何とも説明のしがたい存在である。明らかに実話でないものが多いのだが、嘘だと割り切って読んでしまうと、何も得るものが無い。編纂者の作り話というのも混じっているのかもしれないし、すべて聞き集めたものなのかもしれない。まあ、語られている事がよしんば嘘であっても、似たような事があったのかもしれない、と疑いの眼差しを常に持ちつづけながら読んでいくとおもしろいだろう。
 

入手について
 当初は角川文庫紫帯(紫33)で出されていた。この本はかなり多く版を重ねている。良く見つかると思われる。
 
 

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