一言芳談
黄42-1 一言芳談 付現代語訳
簗瀬一雄 訳注
発行年月日:昭和45年 8月10日

(通常目録より)--------------
明遍の系譜にある聖により編纂されたと推定しうる本書は、簡にして要を得た短章の中に、ひたすら念仏に精進する聖等の姿が、生き生きとあらわれている。つとに、徒然草に引用されて著名であったが、容易に入手しうる善本が少なかった。詳細な補注と、豊富な参考資料、簡便な索引を附して読者の渇を癒す。人名索引・語句索引付。

 

内容
 この本は、以下の内容を含んでいる。
  ・一言芳談 本文
  ・一言芳談 現代語訳
  ・参考資料
  ・解説
  ・人名索引
  ・要語索引
 底本には慶安版本が用いられている。刊年は慶安元(一六四八)年だが、奥書には寛正四(一四六三)年とある。作者は頓阿という説もあるが、確証はない。ちくま学芸文庫コ-10-6『一言芳談』も底本が同じで最近まで刊行していたが、現在は品切れ中。余談だが、ちくま学芸文庫は一応著者の頭文字が記号として付けられているのだが、古典注釈関係はコとしてあるものが多い。これは、「校注」の頭文字と思われる。
 また、岩波文庫青帯328-1『標註 一言芳談抄』は元禄版本を底本としている。これは元禄二(一六八九)年に湛澄によって出版せられた『一言芳談』の注釈書である。こちらは'95年春のリクエスト復刊以来出ていないが、探せば結構見つかると思われる。
 なお、ちくま学芸文庫は'70年に出版された『日本の思想』5を文庫化したものであるため、実際には角川文庫と同じ時期に出されたものであることにも注意を配りたい。
 

読んでみて
 ♪こ〜れぞ中世〜、といった感のある書物である。いろんな有名人(ただし僧に限る)の台詞を列挙して、ひたすら遁世を勧め、念仏のことばっかり書いてある。「完全出家マニュアル」と呼び替えた方が内容は伝わりやすいかもしれない。どちらかというとこの本を読む前に『徒然草』ぐらいは読んどかないと内容についていけそうもない。ともかく現代とは価値観が違い過ぎる。しかし、このような遁世者の書物だけを読んで時代を判断するのも危険だ。遁世者がいるということは俗世で生活していた者も当然いて(むしろそっちの方が多い)、彼らもまた異なる価値観を持っていたのだから。
 なお、角川文庫版は補注に諸注が列挙いて、対照に便利。
 

入手について
 この本は今のところ初版のものしか確認していない。
 
 

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