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3次元で発想する

! Last Update : 26 Apr 1999
3次元CADで設計するのは難しい、と感じているみなさん、ちょっと読んでみてください。


難しさの原因

初めて3次元設計に取り組もうとした時の、漠然と感じる不安感や難しさには2種類の要因があります。
それは、CAD操作やモデリングに関する具体的な難しさと、モデリングが出来たとしても、どうやって設計を進めていけば良いのだろう、という不安感が入り混じっているのでしょう。

簡単な例ですが、鉛筆の設計(というほどではないが)を考えてみましょう。

モデリングだけを考えれば、6角形の断面を押出して突起にするのが一番早くて簡単ですよね。
でも、これは頭の中で「断面は6角形にしよう」という発想が既に出来あがっている(現物を見ているんだから仕方ないけれども)という前提があります。
3次元CADでは、その形状に従ってモデリングする作業だけとなります。

操作トレーニングを受けた直後は、誰でも、このような発想になってしまうのではないでしょうか。
鉛筆みたいな物ならまだしも、実際の製品を設計しようとした場合は、画面の前で固まってしまうことにもなりかねません。

実際の製品では「断面をどんな形にしよう」というのが設計のスタートになる訳です。
この時点から3次元で発想しないと、いつまでたってもモデリングの難しさばかりが負担になってしまいます。
6角形なら、なんとかスケッチできるかもしれませんが、5角形になったら結構難しいスケッチになると思うのですが。(一度試してみてください)

発想の出発点から3次元化するというのは、頭で想像した内容を3次元データにメモしてゆく事です。
まず、これくらいの太さと長さの鉛筆という発想を、円柱というベースフィーチャーとしてモデリング(データとしてメモする)します。
次に、「鉛筆の断面は何角形になるか解らないけども、基本的には多角形にしよう」という発想を、円柱のカット(半円形状)を必要数だけ繰り返して作成するというモデリングに置き換えます。
この時点では、断面を6角形にするのか8角形にするのかなど、わかりませんから、リレーションを工夫して、何角形になっても対応できるようにしておけば良いでしょう。

どんな複雑な製品でも、基本的には同じで、ちょっとだけ先を読みながら、決まっている部分だけをモデリングしてゆけば良いのです。
つまり、難しい形状のモデリングができなくても設計は進められます。少し気が楽になって頂けましたか。

楽な仕事

 3次元設計を広げて、上流から下流へ圧力をかけましょう!(これは半分冗談です)

 同一のシステムで統一したからといって、コンカレントエンジニアリングが実現できる訳ではありません。

 金型・治具メーカーさんなんかでは既に構築されたCAMシステムがあるのではないですか?
外部とのデータ交換を考えた場合、IGESを使用せざるを得ないわけですから、いずれにしろデータの連続性は途切れてしまいます。

 上流から下流へのデータの一貫性というのは、理想ではありますが、例えば Pro/ENGINEER でこれをやった場合(他のCADでも同じだと思うのですが)、 下流でのデータ変更によって再定義、再生の繰り返しでとても効率的と言えない事態が発生するような気がします。

 但し、こんな例で全てを否定するのも、また行き過ぎでしょう。
私の感覚では、意匠(デザイン)→設計を一貫して流し、何らかのクッションを置いてから金型・製造を一貫して流せばよいのでは、と考えます。

 それにしても「あかんとこは下流で直してな。だってこんかれんとえんじにありんぐ(平行設計)なんやから、納期もないし、予算もないし。直したとこはちゃんと連絡してや、頼んだで。」は、ひどいですねぇ。

 私は、コンカレントエンジニアリングとは、誰でも必要な時に必要な情報を得られるしくみを作って仕事を効率化する事だと考えています。
結果として、データの一貫性や、並行作業などが出てくるのでしょう。
効率化の大半の部分は下流からの手戻りをなくす事ですから、場合によっては上流工程の負担が多くなります。
これは、いままで下流工程に任せきりにしていた作業を、場合によっては上流に取り込まなければならない事態も発生してくるからです。

 全体の工程を見て効率が上がっていれば、個々の工程の作業量の増減にはこだわってはいけません。
ここが難しいところで、組織や仕事の進め方を変えないで、コンピュータメーカやソフトメーカの言いなりにツールだけ導入すると中途半端なことになります。

 個々のソフトについては、実際に使っている人を見つけ出してでも評価を聞き出すべきでしょう。

 3次元CADで作成したデータをCAMのデータにする事を考えた場合、上流工程(設計)が、下流工程(製造)の事を無視して仕事をしたとき問題が発生します。
このような事は、3Dや2Dに関わらず何らかの問題を発生させているのではないでしょうか。

 3次元で設計した場合は、下流までそのデータが使われる事を今まで以上に意識しなければなりません。
射出成形品の場合で言いますと、抜き勾配はもちろんですが、P/Lやスライドコアの合わせ面、アンダカットの処理、孔の突き合わせを正確にモデリングしておかなければなりません。

 このようにすると、3次元で設計するメリットが出てきます。
設計側は、大規模な図面作成が不要になりますし、製造側は間違いのない設計データを得ることができます。

 だから、設計者のレベルを上げる(下流の状況も理解出来るくらいに)か、それが無理なら製造側と設計側が一体になって仕事を進めないとうまくいかないのです。
コンカレントエンジニアリングがうまく行かないとか、3次元CADを導入はしてみたがとか...いう場合は、設計者のレベルも組織もそのままでやろうとしているのではないでしょうか?

 3次元CADのモデリングだけでんとなく満足していると、このような事態に陥ると思います。


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龍菜 Ryuuna Design and Engineering
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