インフォメーション・ギャップ
1998/12/10(Thu)
山口 英彦
- 知識ギャップ仮説(Tichenor, Donohue & Olien, 1970)
- 社会的経済的地位の高い人びとはひくい地位の人びとよりも早く情報を獲得する傾向があるので、マス・メディアがより多くの情報を伝えるほど、これらの人びとの間の知識格差は拡大する。
- Information Gaps(Rogers, 1986)
- 社会的に有利な立場の人びとは電子メディアを利用することができるので、それを利用して得られる情報は多いが、不利な立場の人びとは電子メディアを利用できないので、情報も少ない。
- ・電子メディアの購入や利用にはコストがかかる。
- ・高等教育を受けている人や地位の高い職業に就いている人びとは、電子メディアを通して得られる情報の重要性に気付き、その必要性を知覚しやすい。
- ・電子メディアの操作能力に長けている。
- ・電子メディアを所有することがステータス・シンボルになりうる。
- ・送り手が格差を前提に情報を送っている。 など
1.電子メディアの利用における性差
自分の小・中学生時代を振り返ってみてもテレビゲームにふけっていたのはほとんど男子だった。これは様々な調査で裏付けがなされているし、実際にゲームの内容は男子向きのものが多かったように思う。その流れでパソコン所有率も男性の方が高く、その利用(ワープロや表計算、ゲームなど)も男性の方が向いていると思われている。
また、コンピュータネットワーク上での会話(メーリングリストやBBSなど)でも圧倒的に男性の書き込みが多い。もちろん女性向けのものも(料理や子育て)も存在し、そこでは多くの女性が書き込んでいるのだろうが、全体的に見ると男性の方が多いようだ。
原因は?
(1)電子メディアの利用能力に性差がある
男性の方が利用能力に自信を持っていたり、積極性を持っているようだ。
(2)電子メディアの機会や技術は数学的で男性向きである
理系科目は女子は不向きというステレオタイプ。
(3)好むコミュニケーションが男女で異なる
女性…対人コミュニケーションを助ける道具として利用(ワープロ、電子メールなど)
(4)電子メディアの持つ意味が男女で異なる
男子…いろいろな工夫で楽しい使い方ができる「おもちゃ」
女子…掃除機や洗濯機と同じような目的を達成するための「道具」
(5)情報に対する経済感覚が男女で異なる
コスト・パフォーマンスの観点から見て女性の方が電子メディアに対してシビア
2.電子メディア利用における年齢差
ビデオの予約ができない自分の両親をみても分かるように、一般的に若者の方が中高年者より電子メディアを受け入れやすく、使用方法を容易に学習しやすいようだ。
原因は?
(1)電子メディアは若者向きであるというステレオタイプ
たとえ利用している人を見かけても、「あの人は例外だ」と別格に扱ってしまう。
(2)高齢者は電子メディアの利用能力がないと感じている
電子メディアは操作が複雑で、今まで培ってきた知識がいかせない。
(3)電子メディアは悪影響を及ぼすという考え方を持っている
(4)新しい環境への適応能力が若者に比べて劣っている
生活パターンが固定化し、新しいものへの関心が減り、古いものに固執するようになる。
(5)情報にお金をかけるという感覚についていけない
少しばかりの速さや便利さのためにお金をかける必要はない。
(6)高齢者向けの情報が少ないので、そこまでして電子メディアを使いたいとは思わない
これからパソコンがもっと低廉化し、簡単になり、ネットワークへの入り口がより広くなったとしても、これらの一般社会でも存在しているギャップが取り除かれなければ、同じ世界がネットワークの中で築かれるだけである。
<参考文献>
電子メディア社会 〜新しいコミュニケーション環境の社会心理〜 著者:宮田 加久子 (誠信書房)