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のんちゃん 便り

105  2004年12月

学校U

昔、こんな名前の映画を観に行きましたが、映画とは全く関係ない今回の内容です。すでに75号で「学校」というテーマで書いたので、単に「U」をつけただけです。今年、学校って何だろうと考えることが度々ありました。もちろん、特別支援教育の議論が高まっていることもあります。統合教育(インクルーシブ教育)に関する研修会や障害児の高校進学のシンポなどに参加して、「障害児」という切り口で、学校について考えることがありました。一方、今年の初めから、区内で活動している不登校児の親の会と関わっていて、「不登校」から学校を考えることもありました。

4月にNPO法人を立ち上げて、不登校児やその家族の支援も活動の1つに入れました。学校が大好きな望と暮らしている私に理解できるだろうかと不安を抱えつつ、でも、望の周りの子ども達を見ていろんなことを感じてきて、わかる部分もあるのではと思いました。不登校児の親の会主催の講演会への協力を行ないました。その講演会での不登校やひきこもりの支援をしているNPOの方の話は、大変共感できるものでした。不登校児の問題と障害児の問題は、別のものでも、相対するものでもないと思いました。「行かない」のか、あるいは、「行けない」のかと状況はいろいろでも、学校という「枠」に入らない(入れない)不登校の子ども達と、学校という「枠」になかなか入れてもらえない障害をもつ子ども達に、共通するものを感じました。そして、どちらの子ども達にも、生きる力や人の中に存在する力が必要だと感じました。また、不登校の子どもの親達の話から、価値観の転換やありのままの子どもを受け入れる姿勢などは、障害児の親達と似ていると思いました。

不登校体験者の講演を聞きに行った時、学校教育のおかしさに気づいた子ども達が学校を拒否しているという内容がありました。話を聞きながら、私は、望が入学してすぐ、教室の後ろで過ごした1週間を思い出していました。初日、先生の命令口調に違和感を覚えたのです。当時は、それがなんなのか、深く考えもしませんでした。「学校ってこんなだったかな?」と思って終わってしまいました。あの時感じた違和感は、威圧感だったことに気づきました。その先生は、決して怖い先生ではありませんでしたし、その先生だけがそういう口調だったわけでもありませんでした。学校自体がそういう威圧感を持っているのかもしれません。また、子ども達との会話から、彼らの「言葉」の後ろに、いろんな「しんどさ」や「思い」を感じながら過ごしました。確かに「学校」も「家庭」も、さまざまな課題を抱えています。子ども達の自己実現をしていく力を引き出すことができているのかと疑問も感じます。現場の教師達も、度々変わっていく教育行政のあり方に振り回されているようにも感じます。でも、「学校」や「家庭」だけが問題なのではなく、「社会」のあり方が、子ども達を辛くさせているように思います。

講演を聞きながら、私の心に疑問がわいてきました。「不登校はいいことなの?」「学校に行っている子ども達は、学校のおかしさに気づいていない子どもたちなの?」「なぜ、望は学校が大好きなの?知的障害があるから、学校のおかしさに気づかないだけ?」たくさんのフリースクールができてきています。でも、それも学校です。国がいいと思って作った学校と、個人や一団体がいいと思って作った学校の違いだけで、それらが万人にとってのいい学校であるわけではありません。いろんな思いが湧いてきて、疑問に対する答えは見つかりませんでした。

私は、学校に行きたくないと思いつつ通学した自分の中学時代のことを思い出しました。受験をして入った中学校は、成績でランク付けされ、親からは期待されたりあきらめられたり、コンプレックスをいっぱい抱えて、自尊心など持つこともできず、夢ややりたい仕事も見つけられず、大学を出て就職をして、経済的に自立して家を出ることしか考えていませんでした。登校拒否をする勇気がなかったから、そして、個性的で面白い友達がたくさんいたから、学校に行き続けたのだと思います。だからこそ今、成績で能力を評価され、小中学生で、人生をあきらめてしまっているような子どもを見ると辛くなります。

先日、望を学校に送って行くと、教室の後ろの棚に、子ども達が作った粘土工作が並んでいました。そういえば、「将来なりたいものを作る」と連絡帳に書いてあったなと思い見に行きました。Aさんはパン屋さん、Bさんはお寿司屋さん、Cさんは野球選手。私に子ども達が声をかけてきました。「のんちゃん、ケーキ屋さんなんだって。おいしそうなケーキ、できてるやろ?」「そうだね。ケーキ屋さんになったら、おばちゃん、毎日、ケーキ食べれるかなぁ。Dさんは何にしたの?」「イルカの調教師」「白浜で、イルカと一緒にもぐったりしてるよね。かっこいいね」「Eさんは?」「ダンサー」「じゃあ、おばちゃん、サインもらっとこうかな。将来、売れっ子になったら自慢できるね」「えー、恥ずかしい、無理無理!」「Eさんは?」「美容師さん。でもなれるかどうか・・・」「きっと美容師さんになれるよ」などと話しながら、私はすごく嬉しくなっていました。夢を語れるステキな子ども達に乾杯です。

望は、学校が大好きです。障害児の望は、成績で評価されることなく、楽しいことを目いっぱい楽しんでいるからかもしれません。そして、学校は、大勢の友達と出会える唯一の場です。たくさんの障害児が、友達と一緒の学校に行きたいと思っています。学校がどんなに課題を抱えていようが、学校から「障害」を理由に拒否されるのは嫌なのです。「地域社会」がどんなにたくさんの課題を抱えていても、この地域で暮らしていきたいと思うのです。何がいいとか悪いとか、私にはまだわかりません。しんどさを抱えている子ども達やその家族に寄り添って、一緒に考えていこうと思います。学校とつながりながら、答えを探したいと思います。望は、来年6年生になります。来年は、「学校」にしっかり向き合っていきたいと思います。

ひとこと

今月も大幅に発行が遅れました。その上、まとまりのない文章ですみません。12月にぎっくり腰をやってしまいました。仕事は山積み。寝ている場合じゃないと思っても、体が動かず、開き直るしかありませんでした。新年の1月号はお休みさせていただきます。

今年も大変お世話になりました。ありがとうございます。よいお年をお迎えください。


「みんな〜!早くおいでよ」 社会見学の道中で。
(寒いのでジャケットを前からかけています)

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