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のんちゃん 便り

106  2005年2月

スキーがすき!

1月上旬に、「ARAI MOUNTAIN&SPA」(新井スキー場)に行きました。障害児の水泳やスキーのサポートをしているグループのスキーツアーに参加したのです。出発前、望は、スキー用のキャリーバッグを見て、うれしそうに身体を左右に動かして『スキー!』と訴えていました。これからスキーに行くことがわかっているようでした。夫の帰宅時刻が遅いので、スキーバスに乗ることができず、自家用車で行きました。8日未明、自宅を出発しましたが、途中、大雪でチェーンを着けたり外したり、夫が疲れてサービスエリアで仮眠をとったり、辿り着けるのかと不安な道中でした。

スキー場についたのは、8日のお昼前でした。煉瓦作りのおしゃれな建物に、レストランやショップが並んでいます。建物の奥に、ディスエイブルセンターがあり、そこからエレベータでゴンドラ乗り場に行くことができます。ゴンドラ乗り場が、スキー場の入口になっています。そんなステキな風景の中に、あたり前のように車椅子を使っている人達がいて、スキー置場には、チェアスキーが数台並んでいます。これが日本?と感動をしてしまいました。ホッと一息入れて、ツアーのみなさんと合流してランチを食べました。望は、きょろきょろしてはしゃいでいました。

スキーのサポートは、Mさんという男性とTさんという女性が担当してくださることになりました。2人もサポートがあるので、夫と私は、望から離れ、ゴンドラで上まで行って美しい山々を眺め、スキーを楽しみました。望は、サポーターさん達と楽しい時間を過ごしたようでした。スキーの後は、スキー場の少し下にある宿に帰って、ここでも楽しい時間を過ごしました。

翌9日は、雪。前日から降り続いていました。バスでスキー場まで行きました。バスの大好きな望は、朝からはりきっていました。午前中は、障害者スキースクールに入りました。スクールはマンツーマンで、指導員は若い女性でした。サポーターのTさんが付き添ってくださいましたが、どんなスクールか興味津々で、夫と私も離れてついて行くことにしました。雪はやみそうになく、「降ってくるもの」の大嫌いな望ですから、すぐに『いや!』と訴えるのではないかと案じていました。リフトを2本乗り継ぎ、滑走しました。下まで滑って、Tさんが「もう一回行く?」と望に聞きました。望は、答えに躊躇しているようでした。私が「おしまい?」と聞くと返事はなく、「もう一回?」と聞くと頷きました。私は『おしまい』と言うだろうと予測していたので、「リフトに乗る?」とリフトを指して確認しました。はっきりと頷きました。また、リフトを2本乗り継いで滑りました。雪はますます激しくなり、新雪も3,40センチは積もっています。滑り降りると、望は、さすがに『おしまい!』と言いました。室内に入り、休憩をしました。スクールの指導員が「もう少し時間があるから、休憩して、まだ滑りたいようなら行きましょう」と言ってくださいましたが、私は「望は、もう滑りたくないだろうなあ」と思っていました。暖かな部屋でお茶を飲んで、望は元気をとりもどしました。「もう一回行く?」と聞くと、何と!行くと答えました。吹雪の中を滑り、指導員さんにお礼を言って別れました。

ランチは、MさんとTさんと家族3人で、ゴンドラを上ったレストランで食べました。私たちは望のバイスキーを持ち、望は車椅子のままで、ゴンドラに乗りました。リフトと違って快適でした。このスキー場では、上のゴンドラ駅で空いた車椅子を下の駅まで運んでくれるのです。望は、自分が食べ終わると、『滑りに行こう』と訴えました。前が見えないほど降る雪の中、気合を入れて出発しました。ランチ前にお父さんに買ってもらったゴーグルをして、望は絶好調でした。上級者コースは、Mさんが望のバイスキーを操作して滑りました。途中の中級者コースで、Tさんに交代しました。滑り始めてすぐに、新雪でコントロールが利かず、コース端の新雪に突っ込んでTさんが転びました。前を行く望も新雪の中、山側にコテッと転びました。望は、操作してもらって滑るので、今まで、急斜面だろうと少々コブがあろうと、こけることなく滑ってきたのです。危ないこけ方ではなかったし、いい体験をしました。でも、望はショックだったのか、Mさんを手差しして、それから自分の背中の方を指し、『交代しろ』と訴えました。Tさんでは危険だと思ったのでしょうか。大笑いしました。Mさんに交代して、初級者コースまで降りていきました。そこで、Tさんが望に、「ここなら、私が操作していい?」と尋ねると、「うん」と許可をしました。無事にスキーを終えて宿に帰り、ツアーの方々と交流をして楽しみました。

翌日は、朝から帰る予定でした。前日とは打って変わって、青空が広がっていました。望は、今日も滑るぞと思っていたのか、朝食を食べると、スキーウエアを指して『早く』と言いました。「今日は、家に帰るんだよ」と説明してウエアをバッグに入れましたが、夫がスキーウエアを着て、車の上の雪を下ろしに行ったので、納得したのかどうかわかりませんでした。ツアーのみなさんが、バスに乗り込んでいくのを見て、望は『バスに乗る!』と訴えました。やはり、スキー場に行くと誤解していると思い、「家に帰るんだよ」とジェスチャーを入れて説明すると『えー、そんな〜』と、ビックリした時の固まった表情になりました。でもすぐに、「バス!」と言い張りました。ツアーの方々が、「最初の休憩場所はすぐ近くだから、そこまで乗ったら」と言ってくださり、望は、私たちにバイバイと言って、Tさんとバスに乗り込みました。仕方なく、私たちは、自家用車でバスの後をついて、最初の休憩所まで行きました。望は、満足そうにバスから降りてきました。そこでツアーの方々と一緒に買い物をし、みなさんと別れ、帰路につきました。

自分の力で滑るわけでもなく、楽しいと言うこともできない望ですが、今回、望が本当にスキーを楽しんでいると感じました。吹雪の中でも滑ると言ったり、1人でバスに乗ったりと、望のたくましさも感じました。そして何より、望の「楽しむ力」を再確認しました。雪の吹きつけるリフトの上は、望には辛かったはずです。こけた時も新雪に埋まって怖かったかもしれません。自分で雪をぬぐうこともできず、吹雪の中で嫌だったかもしれません。それでも、望はスキーを楽しみました。全体を10とした時、そのうちの5つ6つ嫌なことがあっても、2つ3つでも楽しいことがあれば、全体を楽しいと感じる力、それが、望を幸せにする力なのかもしれません。

大雪だ〜。寒い〜。でも、今日も1日楽しかった!

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