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のんちゃん 便り

第161号  2013年3月

進路決定!

159号で大学受験のことを書きました。私大のAO入試に落ち、その後、「周りの学生を巻き込み、自分らしく生きる道を模索していくための大学生活」を送るにはどうしたらいいのだろうと考えていました。科目等履修や聴講のことを調べ、通学できる距離にある大学を訪問して、相談をしてきました。

科目等履修や聴講なら、簡単に行けると思っている方もあるかもしれません。科目等履修生として、多くの障害学生を受け入れてきている大学もありますが、数は限られていますし、望が無理なく通学できる範囲にはありません。進む道は拓いていかなければなりませんでした。大学として障害学生を科目等履修生として受け入れるかどうかの検討がされる大学と、講座ごとに受け入れるかどうかを教授会などで選考する大学があるようです。大学が受け入れを拒否したり、希望する講座の担当教員が断ったりすると、受け入れてもらえないのです。知的障害のある子どもたちにとって、高校も大学も狭き門です。

望は、職員の方の対応が良かった公立大学の科目等履修生を目指すことにしました。障害学生支援の担当者が、大学生活で同級生(同窓生)を意識した講座の選択等のアドバイスもしてくださいました。大きな総合大学です。軽度の障害学生しか在籍していない大学で、知的障害者は入学していません。週に3〜4日程度、1日に1〜2講座くらいの受講をし、3〜4年間の通学を目標にしています。科目等履修や聴講なら何年でも大学に通えますが、同年齢の友達との関係を大切にしたいので、大学生活は4年間程度と決めています。

2月初旬に願書を提出しました。申込時、選考の際や希望講座の担当教員に参考にしていただきたいと思い、望のプロフィールも出しました。生い立ち、私は「こんな人です」という紹介、障害や体調管理についての説明、配慮していただきたいことをA4サイズの用紙にまとめました。最初に「障害についての説明」があるのではなく、「ワタシはこんな人」という紹介が先にあるべきと考えて作成しました。

3月初旬、「あなたは、平成25年度第1回(前期入学)の科目等履修生として選考に合格し、下記科目の履修が認められましたので」と通知が来ました。ようやく「合格」の文字を手にしました。4月からは大学生です。今春、入学する学生と同級生のように大学生活を送りたいと思っています。大学でどれだけの学生を巻きこみ、どう居場所をつくっていくか、望が力を発揮していくのを楽しみにしています。

大学に行かない日は、自立生活センターがやっている、障害者自立支援法でいう生活介護に通います。高校4年間、月2回ほどヘルパーさんと参加させてもらっていたところで、自立に向けてのいろんな体験活動をしています。望の好きな場所であることは、4年間の様子を見てわかっています。年齢も性格も様々な人たちが居る場所で、どうコミュニケーションをとり、どう関係を作っていくか、課題も多いですが楽しみも多いです。

昼間の活動場所だけではなく、「家」も変えます。160号に書いたように、一人暮らしの準備をします。まずは、住む家を決めました。望の母校の中学校下にある2DK+ロフトの長屋です。文化住宅、長屋、アパート。駅から近くて、ヘルパーや友達やボランティアが来やすい感じで、近所つきあいもでき…と、望と一緒にいろいろと見て回りました。決めた物件は、環境も良く、とても気に入ったのですが、少し広くて家賃も少し高くて、望には贅沢かなぁと悩みました。でも、私立大学に行かせたと思えば払える家賃です。4月初旬に引越し予定です。いろんな人に来てもらえるといいなと思います。望の家でケア会議もできそうです。友だちが、4月中旬に新居お披露目パーティーを企画してくれました。

ヘルパーの時間数は全く足りないので、しばらく私と住むことになります。小中学校の友達が泊まりに来てくれたらな〜、大学の友だちが泊まりに来てくれたらな〜と思っています。ヘルパーの制度が無かった時代に、障害者運動をやっていた方々が介助者を組織して自立生活を作っていったように、望と一緒に試行錯誤しながら暮らしを作っていこうと思います。「親は邪魔!」と言われる日を楽しみに、親子それぞれに自立を目指します。

望の泊まりボランティアを大募集中です。月に1回でも2回でも「泊まれるよ!」という方、ぜひ、ご連絡ください。

卒業

無事に進路が決まり、3月14日に卒業式を迎えました。高校受験から、ずっと壁を感じてきました。学力選抜という壁を乗り越えて高校に入学しましたが、壁が壊れたか低くなったかといえば、そうでもありません。大阪では高校に進む障害をもつ生徒も増えてきましたが、高校生活や卒後の進路を保障できる環境はまだまだです。望の高校生活では「なんだかな〜」と思うことがたくさんありました。医療的ケアの壁、親ありきの学校生活、ようやく親から離れての学校生活を送るようになっても、友だちとの関係を築くことがなかなか難しい環境で、支援会議の内容も見えず、学級活動もほとんどなく、修学旅行もありませんでした。授業毎に入れ替わる友達の中で、いくつかの授業では友達との関係はできたようですが、深めるまで至りませんでした。それでも、時たま遊びに行く友だちができました。生徒会に2年間入ったので、仲間もでき高校生活が充実して本当に良かったです。でも、生徒会は男子生徒がほとんどで、卒後につながる関係を築くことができませんでした。学校生活も卒後の進路も、本人や親が頑張らなくては道が開けないのが現実でした。なぜ、こんなに頑張らないといけないんかなぁと溜息も涙も出ました。でも、高校が良くても悪くても、それは一つの通過点、通っていかなければならない道です。

卒業式では、元気に返事をして、来賓や先生に「ありがとう」と大きな声で挨拶をして、壇上で嬉しそうに卒業証書を受け取る望がいました。式の後で、たくさんの友達や先生と写真を撮っていました。親には長くしんどい4年間でしたが、望は楽しく高校生活を送ったのだと思いました。望から、何かを受け取った友だちもいたのかもしれません。下校時には、校長室の前で校長先生を呼び出し、校長と教頭と3人で写真を撮っていました。さすがです!望の生きる姿から、高校の先生方も「何か」を学んでくださったなら幸いです。

望が次にどんな生活を繰り広げるか、期待いっぱいの桜の季節を迎えました。

高校の卒業式

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