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のんちゃん 便り

第29号 1998年     文:向井 裕子

お当番

療育センター通園中に望の進路を考えていた時、保育園と幼稚園の違いはどこだろうと思ったことがありました。厚生省と文部省の違いとか、児童福祉法と学校教育法との違いとかということではなく、その内容がどう違うのかと思ったのです。発達を助長するという、いわゆるお勉強的要素の違いとか、保育時間の長さの違いとか、自分なりにいろいろと考えてみました。(この頃は、早期教育的なことを行っている保育園もありますし、希望者に長時間の保育を行っている幼稚園もあり、保育園と幼稚園との差が小さくなってきたところもあります。)「慣れる」のに時間のかかる望には、保育時間の長い保育園がいいし、乳児もいる保育園では保母さんがオムツ交換や食事に問題無く対応してくださるだろうと、私達は保育園を選びました。でも、通所2年目になって、改めて保育所(公立は保育所といいます)にしてよかったと思うことがありました。それは、保育所が生活の場であることです。生活習慣を身につけることだけではなく、子ども達が保母さんと一緒に日々の生活を作っていっていることです。そのひとつに、当番活動があります。

給食の当番はもちろんのこと、保育所で飼っているさまざまな動物や、子ども達が植えたいろいろな草木の世話も、子ども達の手で行われています。昨年の3歳児のすみれ組の時は、給食当番だけでしたが、今年のゆり組からは、給食当番のほかに、「亀当番」と「メロン当番」が増えました。亀当番は、4匹の亀を洗ってやり、亀を飼っている入れ物や水をきれいにする仕事です。メロン当番は、メロンという名のインコの世話です。鳥かごの下に敷いた新聞を取り替えて掃除をし、餌の容器をそっと吹いてカラを飛ばしたりします。子ども達は、楽しそうに世話をしています。

望はというと、動物が大の苦手ですから、も〜大変です。亀当番もメロン当番も、見るのもいやという感じ。お友達に亀を顔の傍に持ってこられて「イヤー」とばかりに、首が折れそうなほど後ろを向いています。亀とインコはゆり組の当番なので、ゆり組の部屋を出たすぐの廊下で飼っています。望に慣れてもらおうと、保母さんは、前を通る度に、のぞき込んでご挨拶をさせてくださるようですが、一向に慣れる気配はありません。6月からは、「ザリガニ当番」も始まるようです。世話ができるようになるのはいつのことやら。4つの当番を3人一組でするのですから、2日に1回は何かの当番があたります。そのうちに慣れてくれるさと気長に待っていましょう。

一方、去年から行っている給食当番は、私に任せてと言わんばかりの張り切りようです。当番は、かわいいエプロンをして給食を配ります。望は、コップを手で押さえ皆の席を回ります。すると、友達がそれぞれコップを取ってくれます。給食が配り終えると、他の2人のお当番さんが、「おかず、ありますか?」「お茶、ありますか?」と大きな声で皆に聞きます。次は望の番です。「それでは、ご一緒に、いただきます。」と録音された大きなスイッチ(ビッグマックというスイッチ)を押します。得意そうに、押した後で手を上げています。そして、クラスの皆がそろって「いただきます」と言って給食が始まります。

給食が終わると、給食当番は、食器を厨房に返しに行きます。望以外の2人のお当番さんだけで片付けた方が速いのですが、保母さんが望に持たせる格好で支えながら、食器を返しにいっているようです。効率よりも、皆でやることの大切さを教えられます。家でもお手伝いをしたがる望です。自分も一緒に何かができることがうれしい様子です。それとも、まだ何も解っていないようでも、役割を果たすことの喜びを感じているのかもしれません。さて、来年までに、給食当番以外のお当番がひとつでもできるようになるでしょうか。

 

 

 

ひとこと

今年の春は、望の体調がよくありませんでした。4月10日に熱を出して以来、熱がこもり気味で、この時期に平熱38度という状態でした。夏には38度近くになりますが、いくら今年の春の気温が高いといっても、これは少し高すぎで、体温調節がうまくいっていない感じでした。「なんだか変」だと私はいやな予感がしていました。暑い日にも、汗がジワッとしか出ず、いつもの流れるほどの汗がありませんでした。5月の連休は体調を見ながらおとなしく過ごし、その後も、様子を見ながら保育所に通い、お昼に降所したりしながら体調を整えようとしました。20日の遠足には何とか参加し、お弁当の後で3歳児と一緒に保育所に帰り、お昼寝をして大事を取ってもらったのですが、その日の夜から、また熱を出しました。翌日からは下痢も始まってしまいました。

熱と下痢が治まると、今度は、異常に歯磨きを嫌がり、食欲が急に落ちました。病院に連れて行くと口の中にヘルペスができているとの事でした。ひどい口内炎の状態になり、なかなか食事をしてくれなくなりました。歯茎からもすぐに血が出ます。1時間くらいかけてゆっくりと、白いご飯を口の奥のほうに入れて食べさせました。やがて、白身の魚の中の方の味の無いところや、ゆでただけの根菜などを食べてくれるようになりました。味があるとしみるようで嫌がりました。機嫌も悪く、外に出たがってぐずりました。熱はなかったので、気分転換に時々散歩に連れて行きました。小児科で、水分が取れなくなったら何とか点滴を確保するしかないが、水分さえ取れていたら、いざというときは、鼻腔チューブで注入によって栄養を確保しようと言われていましたが、何とか自力で切り抜けてくれました。やはり、この望の食欲は、望の命の源なのだと感じました。

体調の悪い日々が続いて、5月は、10日間しか保育所に通うことができませんでした。保育所2年目の春は、思いのほか困難続きでした。5月が終わって、梅雨の蒸し暑さのせいか、望に流れるほどの汗が戻ってきました。「もう大丈夫」、私は、直感的にそう思いました。時々、鼻が出たり、咳が出たりするものの、望の体調は、「なんだか変」ではなくなりました。春の分を取り戻すかのように、すごい食欲です。おしゃべりも、うるさいぐらいしていて、意思表示もよくしています。ようやく望の新年度が始まった思いです。

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