イーハ陶房について



実際に現在の地(金沢市上辰巳町)で窯を開いたのは1988年のことでした。

翌1989年に独立、作家として一人立ちすることになりました。



その当時は、カンガルーやカモシカなど動物をモチーフにした雑器を主に造っていました。



やがてアインシュタインやホーキング博士の宇宙論に興味を持つようになり

それが東洋の曼陀羅宇宙の思想と結びついていったとき、なにか人類の使命的なもの

宇宙意識”が背中の後ろでパッとはじけたような気がしました。



亀の上に象が乗り蛇が円弧を描く宇宙

象はパワーの象徴=エネルギー

亀は悠久の時の流れ=時間

蛇が円弧で型どるもの=空間




それからは夢中になって、銀河に向けて望遠鏡を振り回しました。

メシェ、NGC、星図を片手に銀河を探して歩く旅は、光速をはるかに越え

何千万年の彼方へ一瞬にしてつれていってくれました。



そこに広がる光景はじつに様々なものでした。

頼りない星達が静かに寄り添っていたり

蜘蛛の子を散らしたように粒粒とひしめき合っていたり

あると思えばある、きっとあるに違いない、そんな光のシミ

煌めきとさざめきと静けさが見事なまでのハーモニーを醸し出し、しかもエネルギーに満ちている

双眼鏡の視野いっぱいに広がる大銀河



時には苦笑いを浮かべ

あるいは絶句し



美しい、心の底まで美しい

まるで自分が透き通って行くように感じられました。



銀河が教えてくれたもの

それは銀河は決して遠くにあるのではない

今自分が立っているここが銀河の真っ直中

自分の足下に広がっている世界そのものが

銀河の姿




そして今度は野鳥図鑑、植物図鑑を片手に、首には双眼鏡といういでたちで

野山へ飛び出してゆきました。


ちょうどその頃宮沢賢治に出会いました。



鳥達や花々はでくのぼうということを教えてくれました。

銀河の心を持つためにはでくのぼうでなくてはならないと。



賢治の夢見た理想郷イーハトーヴ

それは決して遠くにあるものではなく、自分たちがいる今、此処を

理想郷に生きてゆかなければならないということ

それはでくのぼうになるところから始まります。



ミンナニ デクノボウト ヨバレ

ホメラレモセズ クニモサレズ



サウイフモノになりたくて

1992年春工房名をイーハ陶房としました。