統計には注意!!! 絶対評価と相対評価


最近偏頭痛が酷くて、大学病院行ったら「暫くマッタリしろ」と言われまして、ついでに「理学書よりたまには文学とか読んでマッタリしろ」とのことで、まぁ、本屋に行ったんですよ。でもね、イキナリ森鴎外とか読んだら返って脳ミソ壊れるじゃないですか? そんな訳で一般書でも読んでみた。ソイツがなかなか面白かったので紹介してみる。対象は高校生以上、老若男女に薦められると思う。
ボク的には、結局いつもとほとんど変わらないジャンルの本をチョイスしてしまった気がするケド。


先ずは帯広告から抜粋↓

[ 問題 ]
40歳の女性が、乳がんにかかる確率は1パーセント。
乳がんである人が、乳房X線検査で陽性と出る確率は90パーセント。
本当は乳がんでなくても、検査で陽性と出る確率は9パーセント。
あなたが40歳の女性で、検査結果が陽性だったとしたら、
あなたが乳がんである確率はどれくらいですか?


★ 答えに悩んだら本書を読まないと危ない!
  (あなたが医者ならもっと危ない)


内容としては高校数学(たぶん数学B)で習うんじゃないかな? 条件付確率ってやつ。
大学では「統計学」として習う。上の問題はベイズの法則の基本問題に相当する。
実際に計算してみると↓

ベイズの法則に従って計算

※ sick : 病気である, health : 健康 (病気でない), positive : 陽性,  p( a | b ) : b であるという条件の下で a であるという確率

つまり、乳がん検査で陽性でも
本当に陽性なのは9パーセントだけ!!!



何か、思ったより確率低くて意外ですよねぇ。理工学の分野として考えると基本中の基本なので目新しいことは無いんだけど、気づかないうちに統計データに騙されてるってことは結構ある。統計データに欺かれる例がいろいろ載ってて楽しめます。

表紙イメージ
『数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活』
ゲルト・ギーゲレンツァー
早川書房


● ベイズの法則は暗算しにくいが

ボクが本屋でこの問題を見て、暗算(概算)で出した答えは10パーセント、1分ほどかかったような気がする。
これでは、医者に検査結果を言われてリアルタイムで状況を把握するには時間が掛かり過ぎだ。数値計算(暗算)の得意な人ならもっとスグに解けるかも知れんが、多くの人にとっては厳しいんじゃないかな?
本質的に、ベイズの法則は暗算(概算)しにくい。式の性質上、あるていど真面目に計算をするしかないしね、しかも、分母で複数の四則演算をして結果を覚えつつ分子を計算して割り算をせねばならん・・・。

『ガンの検査で陽性だった』『エイズの検査で陽性だった』『DNA鑑定が一致したと検察に言われた』、なんて絶望的な雰囲気の時でも冷静に計算すれば、思ったほどヤバイ状況ではない場合が多いというのは面白い
検査結果で凹んだらベイズの法則を駆使して再考することをお薦めする。鉛筆片手にね。

※ 本では「自然頻度」で考えれば暗算で分かるという感じに書いているが、数字に強い人間から見ても、それは少し厳しい。
「始めから自然頻度で説明を受けた」のなら、直感的な処理が容易で、概算が可能だろうが、「統計情報を自分で脳内で自然頻度に翻訳して考える」のは結構大変だ。クルマの運転しながらやったら事故る可能性高そう・・・。慣れたら出来るのかも知れんが。

(;゜∀゜)ノ 「γ-GTPがメッチャ高いんすけどー」
(´・ω・`)  「そりゃ、自業自得YO・・・、確率も関係ないし・・・」


● 絶対評価と相対評価  〜 医系の使う数字は微妙 〜

同じ内容でも表現を変えれば印象が違ったりする。
上述の本でも問題にされていたが医系の論文ではリスクの軽減率を記すのに「相対評価」を良く使う。
絶対的なリスクが4%から1%に減ったという事実を、「相対的なリスク軽減率75%」と説明したり
例:『ある薬を飲むと風邪にかかる確率が4%に抑えられるとして、新薬は同じく1%に抑えられる』とか。
グラフにするとこんな感じ↓

絶対リスク軽減率 相対リスク軽減率

内容は同じだけど、相対評価の方が圧倒的にパフォーマンスが向上しているように思ってしまう (^-^;
数字は客観的に結果を表してくれると思いがちだが、そうとは限らない
相対評価は医薬系の論文に目立つような気がする。医学部の友達に「相対評価で上手いこと騙そうとしてるってわかっとる?」と話振ってみたら、「へぇー、そうなん? 統計とかサッパリわからんねん」と返ってきた・・・。
わからんまま、薬出すのはマズイのでは (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

身近な所ではCMなんかでよくある『当社比○○%アップ!』とかいう宣伝もたいがい怪しいよね・・・。
基準が微妙って致命的

あと、品質工学の類も油断ならんよね。スペースシャトルやロケットの類はトラブルが起こる可能性は天文学的に低いと謳ってても実際はかなり頻繁に問題起こったりしてるし・・・。



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