【ヒートテック系衣類】
ここ数年、ユニクロのヒートテックとか「温かさ」をウリにした衣類が人気。似た製品は他社からも出ており、先日Sports Depoで購入したのは iHEAT と名付けられていたが、内容は同じですな。
物理的観点から、この手の製品の機能原理を考えてみた。
【発熱と保温】
各社メーカーサイトを見ると「発熱作用」「保温作用」が特徴として記されていた。
発熱作用がなんとなーく燃え盛るイメージ図が多いので勘違いする人でそうだけど、要は↓
「発熱作用=水の凝縮熱」、「保温作用=空気による断熱」といったところ。
水が気化するときには気化熱が奪われるが、逆に水蒸気から液化するときには凝縮熱を伴う。
商品として「発熱」を謳うのは、この凝縮熱であり、理屈の上では多少なりとも効果はあるのかも。
ただし、実際に温かく感じるのは空気による断熱で、断熱層を効率的に形成する構造がポイントやろか?
【断熱性:水と空気】
温かさを感じるか否かは、熱を奪われる勢いに関連すると思われる。
熱の移動と関連する物理量は様々あるが、簡単の為、熱伝導率をみてみる↓
水に比べ、空気の熱伝導率は約1/23倍。
基本的に、空気は断熱材みたいなものなので、体表に空気層を作っておけば、体温はあまり逃げず温かい。羽毛布団とか温かいというのも、羽毛が空気を多く内在した状態で形作っているからだし。
逆に、水が体表にあると、外気が低い場合はガンガン熱が奪われて非常に寒い。
WEBで見てると、熱伝導率は麻0.63、綿0.54、毛0.37という記述も見かけた。熱物性資料でないので情報精度はなんとも言えないが、空気の断熱効果=保温に優れるというのは確かだろう。
【毛細管現象】
温かさを達成するのに空気の断熱作用は有用そうだが、水分が身体表面に残ると熱伝導率の観点から非常にマズイ。「水分は衣類外層に拡散、衣類内層は空気」これが目標。実際、各社、吸汗作用は謳っている。これを行うのに利用しているのは毛細管現象かな↓
モデル化した状態および数式は上図の通り。細いほど図でいう液体上昇hが大きくなる。
管の内径を変化させると、力のつり合いから単純に考えれば、細い方に液滴を移動させられるかな。
おそらく、ヒートテック系の衣類は繊維の編み方を生地の表裏で変化させ、原理的には毛細管現象を応用することによって、水分を外側に拡散移動させていると思われる。
【構造】
そんなワケで、機能達成に必要な構造を推測すると大雑把に下図↓みたいな感じやろか?
セルの多層構造で、材料か編み方で方向性もたせるとか。
【実物】
手元にユニクロのヒートテックとアルペンのiHEATがあるので凝視してみた。
ちなみにヒートテックは素材がアクリル40%、ポリエステル35%、レーヨン20%、ポリウレタン5%
一方、iHEATは衿に2%ポリウレタン含む以外は綿100%
この前2枚iHEAT買ったら素材感違ったのでそれぞれ。左が生地裏側(肌に接する)、右が生地表側。
なんか立体構造形成してる感じもするけど詳しくはわからん (^-^;
ちなみに、着てみると実際あたたかかったです。裏返して着ても温かかったので凝縮熱はあんまり関係ないのかな。内部に空気を含むような構造で断熱作用するのが良いみたい。
基本的に空気層による断熱作用が大きく効いていると思うのだけど、当然、外部から気流を受けると熱が奪われ寒い。理論上、耐寒装備としては、インナーにヒートテック/iHEATのような衣類でその上に重ね着し、外殻のどこかで風を遮蔽するのが好ましい。自分はGORE-TEXのレインウェアをアウターにしているのですが、風が通過しないので上手く機能している気がする (^-^;
効果に疑問のある時は、気流・耐風を考え応用すると良いと思います!!!