技術者の憂鬱      Last Modified;March 12 2000  

通勤時間  特許   発明   感電  
チップ部品  半田   Y2K 途上国 新人  コピー  CEマーク  チェンジニア   表計算

保守廃品   パソコン  関数電卓  時価  定数  プリント基版  インターネット  モールス

03/11 一部に写真を追加しました。

 

通勤時間 03/10

私は長距離通勤族である。首都圏の方たちはこれぐらい当たり前の人も多いが、大阪ではかなりの長距離の部類にはいる。まあちょっと通勤はしんどいが、その間にできる事は限られるから、本を読める時間も多いのでいいこともある。

仕事で問題が発生する。なかなか解決の糸口が見えてこない。何かのアイデアが出てくるうちはいいが、それもだんだんなくなりついには手の打ちようがなくなってくる。こんな時、実はいくら考えても問題はなかなか解決しないのだが、まあそれでも考えなければならない。だんだん眠くなってくる。時間が迫り、今日はだめだと仕方なく家に帰る。

頭の中が問題の事で一杯だから電車の中でも考える。ちょっと現場から離れたこういうときにこそ本質が見えてくる。「そうだ、あれをやってみよう。」「そうか。解った」「ひょっとして問題はこれではないか」 これでいままで何度助かったことか。長距離通勤で良かったなあ。

こんな風に思いついたときにはいてもたってもいられない。しかし電車は走行中だったり帰宅途中。うーん早く会社へいって確かめてみたい。会社へ早く行きたいと思うなんてこんな時ぐらいだろう。つくづく単純な人間だなあと思うのである。

 

特許 03/10

ちょっとしたアイデアや、これはというもので特許、実用新案を取ることがある。しかしこれも善し悪しである。というのは特許で公開してしまうと、必ずそれをちょっと変えた別の方法で申請する者が現れる。何度やられたかわからない。まあこっちにも似たようなこともあるからあまり言えないが、本当にアドバンテージを取りたいときは隠しておくに限る。とはいえこちらが先に考えたもので特許を出されても困る。

時々どこかの特許に抵触することがある。こんなとき同種業者間ではあまり争わない。下手をすると他の事でつっこまれるからである。「まあ今回は貸しといてやらあ」そんな大人?の関係である。

この特許の請求文書は弁理士さんに書いてもらうのだが、この文章がまたまたわかりにくい。何でも文章を”。”で切ってはいけないらしく、延々と続く文章ができあがる。こんな文章、私みたいな普通の日本人には途中で”わけわかめ状態”になって理解できない。とても理解に苦しむ。苦手な英語の方がずっと解りやすい。

相手も一応電気関係を専門とする弁理士さんなのだが、専門分野のことでもあり、これを説明するのに非常に苦労する事がある。ちょっととんちんかんになったりすることもある。しかし頭のいい人も多い。

ある時、こちらで解説したものを例によって理解しがたい文章で書いてもらった。この文をふーふーいいながら校正していると、どうにも何を言おうとしているか意味が取れない部分がある。そのことを伝えると弁理士さん、すかさず「ああ、そこね。私もようわからんかったんですわ。ハハハ」だと。わからんかったら聞けよ、わからんように書くなよな。ハッタリの世界じゃねえか。(弁理士さん達見てたらごめんなさい)。しかしこの弁理士さん、こっちが必死の思いで方程式を使って証明して書いた部分は完璧に理解してくれた。うーんやっぱり頭がいい。

 

発明 03/10

ある時上司が来てこう言った。「アメリカの**社がすごい製品を作ったそうだ。何でもマイクロコンピューターを使って解析して、**の状態にちょうど合うように自動的に調整してくれるんだそうだ。」

私 「へー、そうですか。そんな夢みたいな事できるんですか。どんな風に解析して動作するんでしょうね」  その時はすごいなと思ったがそれだけだった。

それから2年後。その製品を解析し、特許の内容を一生懸命に読んで、それとは違う別の方法はできないかと考えている自分の姿があった。寝てもさめても新しい方法のことばっかり考えていた。特許のところで述べたが、やっぱり人のことは言えないのである。

最初は夢かと思っていた事も、先に物があったらできるもので、なんとか新しい方法を考えて製品として作りあげた。

しかし、最初に考え出すやつの方がはるかに偉い。よく言われる日本とアメリカの製品開発の姿がここにも現れていると思ったのである。

 

感電 03/04

私たちに対して世間の人たちは感電など平気と思われているふしがあるが、とんでもない。感電は非常に怖い。

確かに30年(年がわかる)ほど前には真空管のラジオをさわっていたりしていたが、昔のこと。今の電子回路は低電圧、低電流であり、回路数も非常に多い。私たちはこれらに対して動作中でも平気で手でさわっていく。めんどくさければ動作中に半田付けしたりもする。ちょっとした修理は手やピンセットでさわって音が出るかどうかを確かめたりするぐらいである。こんな時、手は修理道具の一つである。いつでもどこでも携帯している。

普段さわりまくっているから(変な風に想像しないでね)高圧の物に対してはこの感覚で対すると非常に危険である。なまじ昔の感電の思い出があるからよけいに怖い。しかし時々高圧、大電流のものも扱わなければならない。家の家電の修理も頼まれる。悲壮な思いである。そういえば昔、自作機を竹竿使って電源スイッチを入れた事があったっけ。自分の作った物であればよけいに信じられない。こんな高圧のものを毎日作っている設計者達。自分を信じられる人たちを私は尊敬する。

 

チップ部品 02/23

部品も大きく変わった。我々が使う部品は表面実装部品、いわゆるチップ部品である。いま私が一番多く使うのは1608タイプと言って1.6mm x 0.8mmのものである。小さい物の代名詞として米粒がいわれるし米粒に字を書くなどといってるのを聞くが、下の写真を見て欲しい。うちの家のコシヒカリは5.2mmX2.8mmであった。で、でかい!。なんだ米粒もたいしたことねえじゃないか。

抵抗に数字3文字書かれてあるのが見えるでしょうか? 残念ながら最近は嫌いなルーペを使わないとあまり見えなくなった。現在はさらにこれより小さい1005(1mmX0.5mm)に移りつつあるのである。

家で息子に見せてみた。暗いところでも平気で読んでやがる。

ひえーどこまで小さくなるんだ。米粒に千文字書くつもりか。ついに限界が来たようだ。

上はコンデンサ、下は抵抗、その下はシャープペンシルの芯である。

左から順に1608、2012、3216タイプである。名前が大きさを表している。台湾製のPCカードが右2つの物を使ってることが多い。

 

半田02/23

この仕事では半田付けは標準技術の一つである。毎日内職やラインで半田付けをしているおばちゃん達にはかなわないものの、立体半田付けや細かい作業はこっちの方が上である。最初の頃はずいぶんやけどもした。私は若い頃ギターを弾いたりしていたので、左手の指の皮(面の皮ではない)が厚くなっていたため表面だけちょっと焦げたくらいでは大丈夫。おかげでずいぶん助かったのである。普段は2本で間にあってるが、この時ばかりは手が3本あったらいいなと思う。

あ、しまった、熔けた半田がズボンに落ちて穴があく。ああ、また嫁さんにしかられる。

家ではあまり半田ごてはにぎらない。それでも時々半田付けが必要な場合がある。うちの嫁さんが「ちょっとこれ溶接してちょうだい」。わたしゃ溶接技術者か。溶かしてつなぐのはあってるけど。

 

Y2K02/19

最近の製品はほとんどマイクロコンピューターが組み込まれている。おかげで機能も増えたし、ハードウエアで実現していた部分が、ソフトウエアに置き換わりコストも安くなった。Y2K問題で大きく騒がれたマイコンだが、アメリカの一般家庭では平均100個のマイクロコンピュータを使った製品を所有していると聞く。それではと我が家の中を数えてみた。ビデオ、テレビ、コンピュータ・・・ 数十個が見つかった。あとどこかで眠っているのもあるとは思うがこんな物か。

しかしそのうち半数は私の部屋の中にある。職業柄多いのは当たり前。してみると我が家はアメリカの平均家庭に遠く及ばず、貧乏世帯である事がわかった。だれかもっと給料上げてくれ。

アメリカの底力と違いを大きく感じるY2Kであった。

 

途上国02/19

途上国へ製品を輸出する。しかし今までに問題が出なかったところで故障が続出する。しかしどう考えてもわからない。製品が帰ってきて中を見てみる。何だこの黒いすすは? そのほかにも錆が出ている。

使用する環境を聞いてみた。すぐ下で飯を炊いている、その煙のすす。そんなところで使んじゃない!

設置環境の写真が手に入った。屋外に設置するのを前提で設計したはずの物が屋内に設置してある。値段が高いから大事にするのだそうだ。しかしこいつは高圧が出る。そんな所においては危険が危ない。

どうにも我々と使用する感覚がまるで違う。

 

別の国、電力事情が悪いと聞いていた。定格220V、しかし工場が稼働する日は百数十V、休みの日は300V以上出るという。定格周波数も何十パーセントも変化するという。これでは最新回路の製品では危ないとタフな従来型の製品を推奨した。しかし相手が言う。「これはローテクでしかもデザインが悪い、うちはハイテク製品を買いたい」だと。 自分の国の事情を考えて物を言え! 案の定故障続出。

 

製品の機能のデモをした。そのデモでテープレコーダーが必要だったので、手元にあったS社の古いテレコを使った。デモは成功。相手からオーダーが来た。しかしテープレコーダーも注文してきた。

目の前で動いたそれでないとだめだという。こんな古いのもう手にはいんない。納得させるのに苦労した。

 

新人02/16

新人がやってきた。社内で設計にあこがれて応募したのだそうである。そんなにいいもんじゃないぞ。
名前も忘れたが、自己紹介のときに「体力だけは自信があります」と言っていたのが印象的だった。
新人教育として一通りのことをさせるため、プリント基板のフォト原稿にするアートワークをやらされた。たまたま丁度できていた、私が書いた小さな基板原稿が教材となった。まあ遅くても3日ぐらいでできるだろう。
1週間後、彼の教育担当者が申し分けなさそうにやってきた。2人でできた原稿を見てうーんとため息。とてもじゃないが出図できるレベルじゃない。仕方がないので黙って2-3時間手直しして返した。 あとなんかごそごそやっていたようだが、3日後、突然彼は退職してしまった。 体力だけではどうにもならなかったようだ。

新人がやってきた。ちょっと変わったやつであるが頭は非常に良かった。しかし知識として持っている のと、実際に理解しているのとは大きく違った。
彼が検討した後、そのユニットを見ていたら大型トランジスタを止めているビスが緩んでる。締め直し てあとでその事を彼に言うと 「えー。締めちゃったんですか。締め方で歪みが変わるんでビスで調整してあったのにー」 馬鹿馬鹿馬鹿!。そんな調整して製品にして出せるか!  放熱が悪いため発熱して、歪みに対してちょうど良い動作点の温度になったのであろう。
半年後、彼は公的資格を取り、官公庁へと華麗な転身をしてしまった。

新人がやってきた。彼が作った基板を助っ人としてちょっと検討して見ていると、どうにもスプリアス(不要な生成信号)が多い。こういう時は大きいものから落としていくのが原則である。そうすれば同じ要因の小さな物はすべてなくなり、違う要因のものだけが残る。
複雑な動きをする大きなスプリアスがあったのでそれから手をつけた。しかしどう計算しても35倍(そんな馬鹿な!)の高調波がからんでいる。どうやったらこんな高次の物ができるんだ!。
事実そうであった。 1年後彼はサービス部門へ移動して行った。

新人がやってきた。大きなプロジェクトの一員になり、これには私も後から参加した。
彼は上司が設計した回路のパターン設計をまかされた。しかしちょっと大きすぎて荷が重過ぎた。3週間後、ついに寝込んで安静を宣告されてしまった。みんなで見舞いに行って詳細を聴き、私が彼の後を引き受ける事になった。しかし期限はもうあまり残っていない。
残されたものを見てみると、2/3ぐらい埋まってる。でも回路図はまだまだ半分。これじゃとても入らない。仕方がない。すべて1から書き直しだ。
進めて行くと驚いた。彼の上司も忙しかったので、もらった回路図のあちこちに未完成や抜けている部分がある。「適当に直しておいてもらっていいよ。」  これじゃあ新人には荷が重過ぎた。詰めて詰めて、10日あまりで何とか仕上げ、それに合わせて回路図を修正した。俺も若くて馬力があったなあ。製品はなんとか仕上がった、
1年後彼は田舎へ帰って行ってしまった。そして新人はみんないなくなった。

 

コピー02/15

この業界、ライバル他社のまね、いや研究して製品を作るのは当たり前である。ところがよそ様の回路を真似しても、自分の所のオリジナリティーを出そうとするとどこか違ってしまい、本物の性能を出せないことは日常茶飯事である。そこへ行くと東南アジアの方々は、完膚なきまでに真似してくれる。
同じ部品を使い、基板は完全にバラして写真製版で作る。わけあって部品を押し倒したりして性能確保しているところなども含めてバッチリである。プラスチックの成型などがちょっと悪いのは御愛敬。ここまでコピーすると本物とほぼ同じ性能となる。

彼らのバイタリティーはすごい! 決して同業他社のような中途半端はいけないのである。
売れると見込まれているのはうれしい気にならん事もないが、コピーの方が微妙なところで評判が良かったり、サービスに回ってきた修理品が実はコピー品であったりするとそうも行かなくなる。

お客さんに言ってもそんなの知らないと言われたり、「同じ物だからお宅でなおせるでしょ」  そりゃそうだけど。

 

CEマーク02/15

CEマークをご存知だろうか。最近の電気製品ならそのほとんどにCEのマークを見つけることができる。  

これはヨーロッパのEMC(Electro Magnetic Compatibility)、 EMS(Electro Magnetic Stability)、EMI(Electro Magnetic Immunity)の規制規格で、簡単に言えば電磁波を発射するもの、電磁波を受けて影響しては困る物、それらの製品への適合規格を決めたものである。といっても膨大な製品をすべて検査はできないから、自己認証と言って「自分で適合するかどうか調べてデータを保管しておきなさい。なんかあったら調べるぞ」というものである。

この2-3年前、世界中の企業は対応におおわらわであった。
正直いって厳しい規制で、あまりに事細かすぎるのはうっとおしい。日本の電波法にも輻射に対する規定は有るが、
何を決めてもどこか野暮ったい日本とは違い、はるかに先進的に規定し施行されたのは評価されていい。しかし不要輻射の測定は簡単ではないし、対策すれば結構コストがかかる。

巷にあふれているCEマーク付きの台湾製のPCパーツ、すべてがこれを検査し、適合されているとはとても思えない。私のPCのケースの一つはサイドカバーにCEマークと紛らわしき通風孔がデザインされている。これを作ったやつもどうしようか悩んだんだろうなあ。
不要輻射を測定するには、オープンサイト、電波暗室で3mまたは10m離れたところの電界強度(電波の強さ)を測定する。
測定中にふと考えた。もしここでこの製品が大きな不要輻射を出していたらどうなるのだろう。

「電波法違反の現行犯で逮捕」 何てことには、まあならないだろうな。 

  違いがわかるかな

 

チェンジニア 02/14

私たちの間で使ってる言葉にエンジニアならぬチェンジニアという言葉がある。回路の設計や修理をしていく上で、とにかく部品や定数をとっかえひっかえしていく人たちのことである。

うまく動作するまで手当たり次第に部品や定数を変えていく。少しましな所では場所の見当をつける。

最近の修理技術者はほとんどチェンジニアだし、設計者のなかにも相当数存在する。カットアンドトライ(cut and try)ではなく、トライアンドトライ(try and try)である。

以前ある生産工場での立ち話を聞いて唖然としたことがある。製品の調整工程にて出てきた不良品を修理するのに、使用されてる部品を片っ端から新品に変えていき、最後から3つ目にやっと当たったというのである。

総部品数約1000点。うーんなんと辛抱のいい人たちだ!私にはとてもまねができない。

これらの人たちが作業を進めていくととにかく時間がかかる。しかし出てきた結果には時々あなどれぬものがある。ちゃんと計算してみると、これ以外はうまく動作しないというような定数を導き出していることがある。

アナログ回路の設計は妥協の上に成り立つものであるし、結構いい加減でも、ある程度動作するものである。カットアンドトライが必要な事は認めるが、トライアンドトライである程度動作するものを作り上げることができれば、傍目には設計者として幅をきかしている者がいる。

まあ定数を変えるにも少しは知識がないとできないから、チェンジニアも技術者と言えないこともないが、まともに設計をしている者から見れば、チェンジニア達と同じ技術者と見られるのはいささか悔しい。

 

表計算02/14

集計や表を作るエクセル、ロータスなどの表計算ソフトである。これを設計に使うと非常に便利。私は10数年前のPC-9801のDOSの時代からロータス123を使っていた。

計算で結果が出るような所、繰り返し計算が必要な所で、セルに計算式を入れておき入力した値でどういう結果になるかを紙の上(いや画面上)で検証するのである。ちょっとしたシミュレーションである。

トライアンドトライの一種だが、チェンジニア達と違うのは設計の基本がわかってやっていることである。

表にしてさまざまな入力値に対して一番良い値を求めたり、グラフを書いてもいい。効率がだんぜん違ってくる。

世の中には様々な設計ノモグラフが存在するが、これらに表計算を使えば条件を入力するだけですぐ答がでる。

最初の頃どうもEXCELになじめなかったのだが、今はEXCELを使っている。というのは電気のエンジニアに必要な複素数の関数が123にはない。機能もどんどん増えて、いまや関数の種類もEXCELが圧倒的に多くなった。

MS偉い! これではロータスが負けるはずである。ただし標準のインストールでは組み込まれないので注意。

ただグラフの機能がもっと充実して欲しいと思う。うまくすれば測定結果などこのまま技術文書として公式に提出できるのであるが、ちょっと体裁が不足であるし、機能、配慮がちと足りない。

EXCELに練達しているのが知られると事務屋さんから表計算の使い方について相談が舞い込んでくる。

決して高等な機能を要求されてるわけではなく、10数年前の表計算ソフトでもできる事。ああもっと勉強して欲しい。

 

保守廃品 02/14

世の中が不況になってくると、とたんに廃品になる部品が増える。採算のあわない部品を切り捨てにかかってくる。

ちょっと大きなものを設計すると世に出るまでに半年、1年かかってしまうがその間に廃品になる部品が少なくない。

新製品が出たとたん廃品になる部品が続出、2-3年売っているともう廃品の嵐。代替品の検討に手が取られ煩わしい事この上ない。世に出てすぐの部品、大量に流れている部品を使わないと安心できない。

今の世の中、携帯電話関連の部品が非常に安く手に入る。しかし今安いこの部品が2-3年持つかどうかはっきり言って疑問である。少量しか生産しない製品を設計するには、大量に流れていて多くの会社で作っているものをできるだけ選ぶ。代替品をちらつかせて安く買う。相手もそんなことわかってるから、便利なもの、自分の所しかないものを作る。しかしそのメーカーしか作っていない部品はいくら便利でもちょっとねえ。廃品になったらバンザイじゃん。おなじ廃品でも、上位互換のものを安く作ったからというのは大歓迎である。 

「何とかなんないの」と文句を言っても、少量しか使っていないので立場が悪い。

「部品を決めるのは俺だから、もうM社は使ってやんない」と今日も固く心に決める。

数日後、N社、T社よ、おまらもか決意が鈍って困る。

 

パソコン02/14

いまや設計者にとってパソコンを使うのは必須である。これができるとできないとでは技術者として大きく差が出る。

最近は本当にPCが仕事に使えるようになったと実感している。ここまでくるのにずいぶん投資したものである。(特にN社)いまやほとんどがゴミ消却場へと消えた。7年ほど前に乗り換えたPC/AT互換機はその中身のほとんど(いやケースも)をいまだに使ってPCが増殖している(私のPC)。N社は地球に優しくない。AT互換機は地球に優しい

思えば8080の実験キット(TK−80)から始まり、BASICなどで計算したり隔世の感がある。必要なものは自分で作れとばかりにBASIC(N88BASIC QBASIC)や表計算で設計をしてきたが、やっぱりなんか言語を習得しなければ・・・と焦る。C言語は何度も挑戦して見たがやっぱりどうも・・・。 結局行き着いたのはVBAとDelphiだった。

数年ほど前から電車の中で、表計算などの入門書を読んでる人を見かけるようになった。最近ではネットワーク管理などの専門書を読んでる人も多い。

「35歳から始めるパソコン・・」  ばかにするな!こちとら40歳とっくに過ぎてるけどバリバリだぞー。

ほんの少し前までは近所から変人扱いで見られたものだが、最近は見る目がちょっと変わってきた。

「お宅の息子さんは、お父さんにパソコンを教えてもらっていいねー。」 「ちょっとうちのも見てもらえないかな」 

 

関数電卓 02/14

技術者には関数電卓が必須である。表計算ソフトでパソコンで計算したりもするが持ち歩けない、なんと言っても関数電卓は必要である。サラリーマンの必要経費として認めてくれないかなあ。

国産品では以前からシャープとカシオの製品が競争して、ずいぶん安くなった。しかしここまでくるのに相当投資した。大学時代に2万数千円だしてパナソニック(!)の関数電卓を買った思い出がある。

シャープのBASICが動作するポケコンも使って一晩かかっても結局答えが出なくて、プログラムを変えたら一瞬にして答えが出たこともある。

昔の電卓は個性があった。試しに0÷0をやってみると、1を出す(カシオ)、0を出す(PANASONIC)、LED表示が消えてしまう(CANON)。 みんな馬鹿野郎! CANONだけちとましか。

最近のものはすべて賢くエラー表示になる。偉い偉い。

今私が使っているのはHP(Hewlett Packard)のものである。HP-15C、HP-28S、HP-100LX 100LXは有名なパームトップで123も付いている。これらは逆ポーランド法(Reverse Poland Method)という方式を採用して、数式通りに入れる普通の電卓とはちょっと違う。ちょうど日本語の文法と同じ使い方である。  

たとえば(2+3)X5なら、 2に3を足して5をかける(2 ENTER 3 + 5 X )と入れていく。最初はとまどうが、慣れてしまうと非常に具合が良い。逆に私は普通の電卓が使えない。 

最初のうちはいいのだが、いったん答えが出た後、これに5を掛けてと考えた時、ついつい 5、X、と押してしまうのである(本当は X 5=)。 出てきた答えは5。 あれー。前の答えも消えてしまった・・・

そもそもHPを使いだしたきっかけは、仕事上どうしても複素数を計算したい。でも国産のものはその機能がなかった。その後シャープもカシオも複素数ができるようになったので1台買ってみたが、やっぱりHPの電卓のほうが数段上。一番よく使うのはHP-28Sで仕事で使う計算式を多数入力してある。

SOLVER機能があって数式から逆に算出できるので便利。10数年ほど前に買ったものであるがいまだ現役。このあたりHPの電卓は技術者向けに本当によく考えられている。計算精度も全然違う。

100LX(金融電卓内蔵)で家のローンの計算をやってみた。おお、複利計算で毎月の支払いが1円の桁までぴったり。お世話になった不動産屋さんに聞くと、大きなコンピューターを使って計算しているらしい。

HP偉い!賢い!  国産の電卓屋さんもっと勉強しろ!

 

時価02/14

アマチュア無線機の値段である。私の始めた頃は国産の高級品?で11万8千円だったと覚えている。

あれから30年、無線機は同程度の値段で機能が増え、性能が数段上の普及機が手に入る。

安くなったものである。ちょっと待てよ、本当に安くなったのか。

当時の無線機はだいたい20数Kgもあり、持ち運びに苦労した。今の製品は同じ程度の値段の物で約3Kg。廃品回収業者じゃないが、キロ当たりの単価は4000円から4万円に上がってるではないか。物価上昇率10倍。 まあそんなもんだろう。

裏を返せば、機構部品にかかっていたコストが電気部品に転嫁して機能が上がっているだけである。

 

定数02/14

回路の設計をしていると、定数の比のみ必要で定数自体はどうでもいいことがよくある。ここは1:3ぐらいであれば10Kでも100Kでも構わないといった具合である。またこのぐらいの定数ならアバウトで良いところもある。

それほどいい加減(いやクリチカルでない)な所はいっぱいある。

この時どの定数を選ぶかは設計者の個性が光る。私は220、2.2Kや22Kが好きだ。

CHIP部品になってからはどうでもいいが、カラーコード(死語になりそう)で赤、赤と並ぶぞろ目が好きなのである。

回路図の定数を見れば誰がやったかある程度わかる。

ところが試作で回路を作っていくと、この定数だけやたらと部品箱の減りが早い。ええいデカップリングで使う220Ωは、回路図の並び順に120,150,180,220,270と順に並べてやろうかと考えた。そうすればまんべんなく部品も減るし、定数見ればどの部品かもわかる、とここまで考えて実行しかけてやめた。 部品を集めてくるのに手間がかかるし、いちいち定数を変えていかなければならない。生産時に工場からこんなに種類を使ったら手間がかかる、と怒られそうだからである。

ところでE12系列の定数並びはみんな比が同じになって、好きな定数比を作りにくくて困る。

10の12乗根をとってるから当然ではあるが・・・・      

 

プリント基板02/14

プリント基板の設計は非常に重要である。最近ホームページを見ていると「基盤」などとよく書かれてあるが我々にとってはである。決して大きな制御盤の様な物ではない。これを設計するには一種の才能とポリシーを必要とする。ここではその並べ方で人の性格がもろに出てしまう。私は狭いところに詰め込むのが好きである。だって広い場所に部品を一つおけといわれても、どこにおくか迷ってしまうが最初から制約が多くてこうしか置けないと断じてしまえば、部品位置がすぐに決まる。もっとも性能を出すための技術と知識があっての話であるが。 割り切りが大事とはいえ、やっていいこととそうでないことがある。

「あんた物を詰め込むのがうまいねえ」と妻や知人によく言われる。そりゃそうだろう、毎日のように詰め込むことを考えているのだから。回路図を用紙内に詰め込む、基板の中に詰め込む。機能を詰め込む。

通常、設計の順序はまず回路図を書き、次にパターンを書く。しかし回路図は短期間でできるがパターンは時間がかかる。それなら最初からパターンを先に書いて、そのときにじっくり回路を考えてしまえ!

回路図は後でパターンに合わせて書く。パターンの都合で回路が変更されるのは当たり前。これこそ達人芸。

人の書いた回路図でパターンだけ頼まれることもある。回路図を書いた人間が後から「ごめん。そこの所パスコン忘れてた」。しかしパターンを見ると回路図で忘れてたはずのパスコンがしっかり入ってる。人の回路図などあまり注意深く見ず、自分で回路を考えて勝手に進めているのである。 紙でできた回路図よりも、実際動作している基板の方が正しい。だから回路図よりもパターンの方が正確なんて話はよくある。

こんな名人技も、CADが導入されて回路図通りに作るようになってからなくなってきた。

 

インターネット02/14

インターネットが普及してきて我々の仕事も大きく変化してきた。仕事の話もちょっと気の利いた相手は「じゃ、なんかあったらメールで」なんてのが多くなった。メールは便利。整理の苦手な私でも、すべて後に記録が残っていく。

電気メーカーでwebを開いてないと馬鹿にされる。

部品のデータを調べるのもメーカーのwebサイトで、型番だけわかったら検索で、ライバルメーカーの製品仕様も調べてしまう。一番恩恵を受けているのは我々ではないかと思うぐらいである。もうやめられない。止まらない。

この間私の製品についての質問がきた。え−い毎度のことながら資料が見つかんない。インターネットで検索を掛けたら、ちょうどいい資料が見つかったのでそれを提出してやった。でも誰だ、俺はこんなに整理された資料は出してないし見たこともないぞ。自社のはと見るととてもこんなに綺麗にまとまってない。

よく見てみると**社公式サイトなんて書いてある。そんなの知らないぞ。本人が知らない間に資料を作ってくれるなんて、うーんなんて便利なんだ。このまま黙ってちょくちょく利用させてもらおう。

 

モールス02/17

モールスを使用した通信はもはやアマチュア無線界だけになってしまった。モールスというと船舶の通信士を思い浮かべるが、十数年前、コンテナ船の無線室を見学する機会をいただい時、すでに衛星通信の時代であり、電鍵は?と聞いたらしばらく探しまわってやっと出てきた次第である。

もっとも非常信号発生器を見せてくださいと訪ねても、探し回って机の下に固定されているのを思い出していたくらいだが、どちらもいかに使っていないかである。

同僚に言わすとモールスの技量はもはや伝統芸能 といってもいいのだそうである。エイリアンが地球に侵略してきたとき、通信手段をすべて封じられたが、もっとも原始的な通信手段のモールスのおかげで地球は救われたという映画もあるぐらいである。エイリアンの来襲に備えておいてもいいだろう。

慣れてくると、打ち方で相手の性格やその日の調子などのわかるのである。私もアマチュア無線をバリバリに趣味としていた頃、電信で喧嘩ができるくらいであった。しかし交信は一方通行なので、相手が打っている間に通常の喧嘩のように畳みかけたいがそれができない。じっと我慢して相手の打つことをじっくり聞いて待つ。さあ相手が終わったこっちの番だ。「なにいってんねん。おまえの・・・・・  」  悠長で平和な時代だったなあ。