鳥取県の秀峰,大山,大神山神社,大山寺や桝水高原、鏡ヶ成、烏ヶ山を4たび訪れた写真紀行。
’2001年6月2日〜3日の大山山麓を撮る旅
蒜山高原から大山鏡ヶ成へ
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| 蒜山高原センターのおみやげ売り場 |
昼食のジンギスカン |
蒜山高原牧場 |
毎年6月第1週の土曜日から翌日の日曜日にかけて、大山の夏山開き祭がある。 この祭礼に大神山神社奥宮では神前のご神火を参拝者の松明に移し、夜の帳がおり始める頃、麓の博労座まで厳かに松明行列が移動する。先頭から高張→神官→天狗→増兵→一般参加者→消防団の順に松明の明かりが延々と移動する。私はかねてからこの松明行列を撮影したいと思っていた。
自宅(兵庫県)から中国道、米子道を走っておよそ2時間渋滞もなく、お昼時に蒜山高原に到着した。蒜山高原は青草が茂り、梅雨入り前というのに青空が広がって牧場の牛たちも戸外でおいしそうに草を食べていた。
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| 蒜山高原牧場のジャージー牛 |
蒜山高原の秋桜 |
蒜山高原牧場 |
ここに来ると蒜山高原の名物、ジンギスカン料理を賞味するのがお決まりのコースである。ショッピング&レストランの建物「蒜山高原センター」に入って早速、ジンギスカン料理に舌鼓をうつ。妻とここを訪れるのは今回で五回目である。隣は遊園地になっていて、ジェットコースター、大観覧車などもある。大人から子供まで楽しめるレクリェーションゾーンなのである。
爽やかな好季節には牧場の周りを歩くのも良いだろう。ウグイスの鳴き声を聞きながら散策をする。
牧場の周りには関西では珍しい白樺の木なども植えられていて、高原らしい眺めが日頃の喧噪を忘れさせてくれる。
牧場に行けば好奇心の旺盛な子牛が鼻をすり寄せ近づいてくる。ここの牛は褐色の毛をしたジャージー種でおよそ2000頭が飼育されている。ホルスタインより少し小柄である分、乳量は少ないが脂肪分が多く、乳質も良いことで知られる。牛乳は勿論のこと、ヨーグルトや、チーズ、アイスクリームも美味しいと好評なので是非一度お試しを戴きたい。ヨーグルトは箱入りで土産物としても売られている。 写真の子牛は人懐っこく近寄って私の手をなめてくれた。
蒜山高原へのアクセス
蒜山高原へは米子自動車道蒜山ICから車で3分となっている。公共交通機関ではアクセスが不便であるが、蒜山高原行きバスはJR姫新線、中国勝山駅発、JR山陰本線倉吉駅発、JR新大阪駅発ハイウェイバスがある。
各交通機関へのお問い合わせは
中鉄バス勝山出張所
0867−44−2621
阪急バス(大阪)
06ー866−3147
中鉄バス津山営業所
0867−22ー5111
蒜山タクシー(蒜山高原)
0867−66−2535
蒜山から大山鏡ヶ成へ
蒜山高原から大山蒜山スカイラインを車で約5分走ると鬼女台(きめんだい)という展望駐車場がある。ここから烏ヶ山(からすがせん)がひときわ美しく見える。夕暮れになると逆光になるが秋は全山が紅葉して素晴らしい。
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| 鬼女台展望台から烏ヶ山を望む |
鬼女台展望台から蒜山高原の遠望 |
烏ヶ山の紅葉 |
なお、中部圏から東の方はご存じないかも知れないが鳥取県では山をセンと読む。だからこのあたりの山は、ダイセン(大山)、ヒルゼン(蒜山)、カラスガセン(烏ヶ山)、ミナガセン(皆ヶ山)・・・なのである。
鬼女台展望駐車場から更に車を5分ほど走らせると大山鏡ヶ成国民休暇村に出る。(写真)
大山鏡ヶ成は大山隠岐国立公園の一角になり、伯耆大山の南東に位置する。周囲はブナの原生林で、烏のクチバシのように鋭く突き出た烏ヶ山(1448m)が間近に見える。標高は930mにもなるので夏は避暑地として、秋は大山から連なる連山の雄大な紅葉として、冬はスキー場として親しまれる。
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| 大山鏡ヶ成国民休暇村本館 |
国民休暇村前の広場 |
烏ヶ山 |
大山・蒜山スカイラインはブナなどの原生林トンネルをくぐるように走る。連山が錦繍に色づく頃は 艶やかな原生林となって紅葉見物の観光客の車の往来が激しい。だが6月の初旬は車が時々通る程度である。奥大山スキー場や鍵掛峠パーキングからは荒々しい南壁の大山がよく見える。切り立った南壁は一目にして崩落の激しさを知らしめる。
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| 大山南壁(奥大山から) |
6月の大山南壁
(鍵掛峠から撮影) |
10月初旬の大山南壁
(境港市在住の方、撮影) |
境港市在住の方から10月初旬の大山南壁の写真を電子メールで送って戴いた。1枚は鍵掛峠から撮影されたものと思われるが、私が同じ場所から撮影した6月初旬のものと比べると山麓の樹木の色が違っていて紅葉の始まりが見られる。10月下旬、このあたりは全山紅葉の見頃を迎えるだろう。
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| 紅葉のトンネル |
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| 奥大山の紅葉 |
境港市在住の方、撮影(10月初旬) |
桝水高原から大山を撮る
桝水高原には10月の下旬に何度か訪れたことがある。初めて紅葉見物に訪れたときに、錦繍の原生林とはこのことなんだと震えるような感動を憶えたことがあった。紅葉樹のトンネルから上を見上げると青く澄んだ空、赤や黄色の葉っぱ、木漏れ日がきらきらと輝いて、まさに錦繍の屏風絵を見るようである。
そのときに撮った写真は撮影技術が未熟なので、艶やかな紅葉色を再現できないのが残念であるが見て戴きたい。
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| 弥山山麓の紅葉 |
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| 桝水原からその1 |
桝水原からその2 |
桝水原からその3 |
桝水高原へは米子自動車道で溝口ICから車で約10分の距離にある。溝口ICを降りると左手の方向に大山が間近に迫って見える。
別名、伯耆富士と呼ばれるだけあって、なだらかな山容は富士山そっくりである。その桝水高原の山麓は広くなだらかな草原、そして中腹を見上げるとブナのなど広葉樹の林、更に頂上部を見上げれば崩落の激しい岩肌剥き出しの荒々しい大山となる。
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| 溝口ICから大山を望む |
桝水原から大山を望む |
大山牧場から大山を望む |
大山は主稜線のピ−クに弥山、剣が峰、天狗が峰、槍が峰、三鈷峰など名前が付けられている。剣が峰は標高1729mで中国地方の最高峰である。稜線は脆い安山岩、山体には荒々しい亀裂が入り、雪解けのシ−ズンには白煙をあげて激しく崩落を繰り返しているとのことである。
また、桝水高原はスキー場やキャンプ場として、
また植物や昆虫なども多いことから小学校の児童が課外授業で訪れることも多い。
麓のおみやげ屋さん「まつおか」は大山名物の「おこわ」が美味しいと評判の店である。餅米にワラビ、クリ、アズキ、タケノコ、鶏肉などを蒸し上げたものでお持ち帰りも出来るので是非一度はご賞味戴きたい。1階が土産物、2階がレストランになっている。レストランでは大山の四季折々の写真が展示されているので写真に趣味のある方には写すポイントなども参考になる。
また、「まつおか」では大山ワンポイントマップを1階のおみやげ売り場でサービスしてくれる。
おみやげを買ったついでに1枚貰っておくと大山周辺の観光の見所や地形がわかりやすい。
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| 大山周辺の地図 |
桝水高原のなだらかな斜面は冬にはスキー場として、夏や秋はパラグライダーの練習場になる。また、一体は草原性の蝶、ゴマシジミの生息地になっているし、大山周辺はダイセンシジミやシジミチョウ、フジミドリなど珍しい蝶の生息地なのである。
桝水高原から大山寺参道入り口の博労座まで少し距離があるが、秋は原生林のトンネルが艶やかに紅葉して、絶好のハイキング道になる。小鳥のシンフォニーに耳を澄ませ、眩しいような紅葉を見れば歩くことがこんなに楽しいものなのかと気づくことだろう。
夏山登山道入り口を過ぎて少し歩くと、佐陀川に架かる大山寺橋がある。橋のたもとには駐車場もあることから、団体客を乗せた観光バスの発着が多い。
大山への交通アクセスは便利とは言えない。マイカ−の場合は博労座に大きな駐車場がある。料金は410円、1日1回限りとそれほど高くない。夏山登山道の登り口あたりでは道端に駐車している車を見かけるが、道幅も狭く歩行者が気を許して歩けないので心得なければならない。
バスの場合はJR米子駅からの直行便とJR伯備線伯耆溝口駅経由とJR山陰本線大山口駅経由のバス便が合わせて1時間に1本以上の割合で運行している。
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| 大山寺橋から三枯峰を見る |
大山寺付近の佐陀川 |
佐陀川から |
秋は大山寺橋から佐陀川の上流方向を眺めると、それこそ錦繍の原生林が素晴らしい。橋上は観光客が絶え間なくそぞろ歩き、絶景を背にスナップ写真に納まっている人が目につく。
大山寺、大神山神社への参道
大山寺橋を渡りきると土産物屋やレストラン、宿坊が軒を連ねる。大山は平安時代から山岳仏教の聖地として崇められ、修験道の道場として熊野や白山とともに知られてきた山である。
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| 大山寺周辺の地図 |
大山寺橋からまっすぐ歩いて、突き当たりを右にまわると大山寺に通じるなが〜い参道である。両脇に宿坊、土産物屋が並び、山開きの前夜祭では露天のお店がお祭りの雰囲気を盛り上げてくれる。大山のテーマソングも高らかに鳴り響き、少し耳障りな感じも否めないではない。
緩やかな参道を半分ほど登った右側に大山寺宝物館がある。ここを尋ねると開山から1300年の歴史と信仰のあとをたどることが出来る。入館料は大人300円である。
更に上り坂を登っていくとやがて大山寺三門が見える。この三門は最近に建立された
もので数年前にはなかったも
のである。三門から中を拝観する場合は本堂、霊宝閣、参拝志納金として300円を納める。三門をくぐって50段ほどある石段を登り切ると、宝牛と言われる等身大の牛の銅像が迎えてくれる。
牛の霊を慰めるために鼻ぐりの銅をもって鋳造し、岡山県吉備津の宗教団体「福田海」から寄進されたものである。別名、撫牛とも言い、一つの願い事だけを心に念じて撫でると願いを叶えて貰えると言う縁起の良い牛なのだ。
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| 大山寺本堂 |
撫牛(なでうし) |
志賀直哉、暗夜行路の碑 |
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| 大神山神社への参道 |
そしてデンと構える本堂は天台宗の古刹で奈良時代の開山と言われる。本堂に恭しく(うやうやしく)お参りした後は三門の前にあるお茶屋で古刹の静寂を味わいながら抹茶を戴こう。大山寺の夏木立も味わい深い情緒がある。私は夏木立が茂るお寺の静寂が好きで、いつかは古刹巡りの一人旅をしてみたいと思っている。
お茶屋を出るとそこは大神山神社参道の入り口である。石畳の参道は大山寺を左に巻くように入る。
入り口には志賀直哉の暗夜行路の碑がある。志賀直哉の小説は短編物が多く、長編は「暗夜行路」一作しか無いと言われている。大山との関わりは、父親との不和を嫌って尾道での自炊生活、松江や大山での独り暮らしにあり、その生活経験がなければ小説「暗夜行路」の尾道や大山の名場面は生まれてこなかったと言われている。
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| 大神山神社の石段 |
碑に刻まれた文字を見ると、「志賀直哉(明治16年〜昭和46年)は大正3年7月、当時の宿坊蓮浄院に滞在した。長編小説「暗夜行路」の終章はこの時の体験をもとにして書かれている」となっていた。
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| 大神山神社への参道 |
さて、参道の石畳はご覧のような自然石を敷き詰めた
もので日本一、長〜い石畳なのだそうだ。夕刻はこの石畳の参道を松明の行列が埋め尽くすのである。ゆっくりとした足どりで参道を登っていると、神事の5時間以上も前だというのに、S字状のカーブした絵になりそうな
ポイントは、もう三脚を立てたカメラマンがスタンバイしていた。参道脇に目をやると、自生している山ボウシや山あじさいの真っ白な花弁は、新緑のみどりから浮き出してとても美しい。お茶屋を出発しておよそ20分ほど歩いた。やげて大神山神社三門に到着し、そこから奥宮の拝殿を仰ぎ見た。
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| 大神山神社本殿 |
手水鉢で手を清め、いよいよ急峻にせり上がった石段を登り切ると静寂な木立の中で本殿がデンと待ち構えて居た。随分と立派な建築物の前で恭しく手を合わせて一拝したあと、あたりを見回したが人影はなく時折、元谷の登山道から下山してくる人がこの神社の境内を通っていく程度である。夕刻が迫り、山開き前夜祭の神事が始まる頃は、この
広い境内も人で一杯になるのだろう。
境内を右に進み、裏手にまわると、元谷への行者道が木立を分け入るように山頂の方向に伸びている。行者道は両脇に夏草が生え、頭上を見上げれば旧街道を思い出すような杉小立ちである。私は弥山(大山)の頂上に通じるこの行者道をいつしか食い入るように見入っていた。
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| 行者道の登り口 |
それは未だ登ったことのないこの山への憧れと、私自身の心の中に宿る大山柳という灌木を見たいと思う気持ちがあったからだ。なんとか登れないだろうか、それとなく妻に聞いてみると頂上まで登るには体調が今ひとつだから嫌だと言う。私独りの旅だったらこの道に引き込まれるように入っていたことだろう・・・・
さて、これから宿に帰って夕食をご馳走になり、夕刻は再びここに引き返して松明行列の撮影に備えなければならない。宿は近くの宿坊に泊まれば良かったのに、車で30分もかかる大山鏡ヶ成の国民休暇村をとっていた。まだ陽
も十分高いうちに宿に帰り、夕食の時間を確認してから荷物など必要最小限にまとめて夕刻に備えた。車の運転があるからと夕食のお酒類も辛抱した。旅は夕食時のご馳走と晩酌をすることも楽しみの一つである。なのにそれほどまでにして撮りたい気持ちはいったい何故なんだ?
お酒と撮影のふたつの欲望を同時に満足させることは難しい。
落ち着かない気持ちで夕食を済ませ、大神山神社へと向かった。折角の久しぶりの旅行なのに夕食もじっくり楽しめないなんて、妻にも申し訳ないと思った。
博労座の駐車場に到着すると夕闇が迫り、神事が始まる20分前の頃だった。妻を気遣いながら参道を少し早めのペースで登って行った。あらかじめ目星を付けていたポイントに到着した頃は、陽もとっぷりと暮れかかって、木立に遮られた参道はもう薄暗かった。三脚に愛用のカメラをセットし、懐中電灯を照らしながらストロボの設定を確認した。
妻は私が両手で足りない仕事を、積極的に手伝ってくれた。私は妻にアシスタントのような旅行をさせているけど、本当に旅行を楽しんでくれているのだろうか???と思うと少し心苦しい気がしていた。よし、代償に明日は妻の行きたいところに行こうと思った。
しばらくすると参道の上の方から大山のテ−マソングが聞こえ始めた。周りの見物客やカメラマンがそわそわと落ち着かなくなった。参道がS字状に曲がりくねっているので見えなかった松明の明かりがやがて見え始めた。松明の明かりがどんどん近づき、後方に行列が伸びているのが判るようになった。三脚にセットしたカメラのシャッタ−を夢中で押し始めたが、ストロボは発光しているだろうか?露出補正は適正になっているだろうか?など不安がよぎった。行列の先頭が過ぎてしばらくするとデジタルカメラに変えて手持ち撮影でバチバチと撮った。デジタルカメラはその場で写り具合がチェックできる。銀塩のフィルムカメラにはない強みである。特にこのような夜の撮影では心強い。
松明の行列は20分近く経ってようやく最後尾集団が目の前を通り過ぎて行った。 もう何がなんだか判らないくらい興奮していた。ようやくわれに帰って落ち着きを取り戻した頃、夕闇に包まれた参道に再び静寂が戻っていた。
妻の表情をのぞき見ると、私の待ち望んでいたイベントの終了を心から喜んでくれているようで、それが私には嬉しかった。
今回のお目当ての撮影は終了した。掲載の写真はすべてデジタルカメラで撮ったものである。銀塩フィルムはプロビア100Fだけれどまだ現像ができていない。このページを更新する時に入れ替えをするので再びお越し戴きたいとお願いする次第である。