八方尾根の風景

 夏の八方尾根、黒菱平から八方池までトレッキング。北アルプスに咲く高山植物のほとんどが見られる自然研究路を歩いて雲上の八方池まで約1時間のトレッキングを写真紀行で紹介。
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・八方尾根とは     ・白馬へのアクセス      ・旅の序章     
・白馬の泊まり
・八方尾根トレッキング     ・八方尾根の高山植物
八方尾根とは
 白馬駅からバスに乗ると八方バス停へは約5分で到着する。ここからゴンドラリフト乗り場の「八方駅」までおよそ8分ほど歩く。炎天下の夏空の下を歩くのはちょっと辛いと思われるが麓の平均気温は8月でも23℃と、それほど暑くない。八方駅にはコインロッカ−もあるから、大きな荷物は預けて置くとよい。あとはゴンドラ「アダム」で約8分間の空中散歩を楽しみながら兎平へと向かう。信州の山は土砂の採取もないので緑が豊かで美しい。尾根は急な斜面と緩やかな斜面が交互にあらわれ、階段状の起伏があって、緩やかな斜面には兎平や黒菱平といった名前が付く。
 兎平からアルペンクワッドリフトに乗って黒菱平まで上がると、標高は1680m、周辺は鎌池湿原と呼ばれ、ニッコウキスゲなど沢山の植物が生育する。長野オリンピックの滑降競技スタ−ト地点も黒菱平だったのである。さらにリ−ゼングラ−ドクワッドリフトに乗り継いで標高1840mの第1ケルンまで上がると国民宿舎、八方池山荘に到着する。八方池山荘は昭和38年に完成した国民宿舎である。八方池(標高2080m)へは、ここから登山道沿いに咲き乱れる高山植物を楽しみながら、およそ1時間歩くことになる。途中で尾根ル−トと湿原ル−トに分かれるが、どちらから登っても所要時間はほとんど変わらない。ほとんどのハイカ−は、木道が敷設してある緩やかな湿原ル−トから登っている。
 なお、八方尾根の平均雨量は7月が300mm以上、8月も200mm近い。晴れていても山の天気は変わりやすいので雨具は用意した方がよい。さらに八方池から唐松岳へは約2時間30分、本格的な登山装備が必要である。


アクセスガイド
お車で
豊科ICより 豊科インタ−信号直進→重柳信号右折→(北アルプスパノラマロ−ドを直進)→上一北信号直進(看板は白馬右折となっているので注意)→蓮華大橋南信号右折→木崎湖入口信号左折→佐野坂信号右折→土合橋南信号左折し長野オリンピック道路へ(52km所要時間60分)
長野ICより 長野インタ信号右折→(直進)→下氷鉋南信号左折(R19を直進)→(3つ目の笹平トンネルを過ぎ、R19をくぐり白馬・長野オリンピック道路へ
42km所要時間60分
糸魚川ICより R148を白馬へ44km所要時間50分
列車で
東京から 長野新幹線で長野駅まで最速79分、長野駅から白馬まで特急バスで約1時間
新宿から 中央東線特急で約3時間30分
名古屋から 中央西線特急で約3時間30分
新大阪から 新幹線・中央西線特急で約4時間30分
金沢から 北陸本線・大糸線で約3時間
八方尾根へのアクセス
八方アルペンライン(運休日あり)
リフト料金表 八方尾根ゴンドラリフト アルペンクワッドリフト グラ−ドクワッド
大人 小人 大人 小人 大人 小人
片道 860円 430円 270円 180円 270円 180円
往復 1600円 800円 500円 330円 500円 330円
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旅の序章
 2000年8月、うだる猛暑の昼下がり「ジ−〜ジ−」と蝉が鳴く。夏日が続く。この猛暑、暇はあっても遊びに出る人はいないだろう。な〜んて思ってしまう。
 その一方で、まとまった休みが取れると、やっぱりどこか、旅がしたいな〜 。「お母さんどこか、旅に出ようか」と、相談すると女房もこの話にはすぐに乗ってくる。トントン拍子に話がまとまって、もう旅の候補地選び。考えるところは自然いっぱいの涼しいところ。北海道や東北地方もいいが、車で行くには時間がかかりすぎる。
八方尾根トレッキングマップ
 私の旅はあれもこれもと、機材の持ち込みが多いから、車がなくては困るのである。
なにしろ計画は大雑把。旅の途中で泊まり先を探すこともある。最悪の場合を考えて車がホテルがわりになることも考えてある。一宿一飯ぐらいならどこにいても困らないように、シュラフ、携帯燃料からフリ−ズドライ食品まで積み込む。
 今から20数年前、女房と円山川畔でテント泊をしていたときのことである。
とっぷりと日も暮れかかる頃に、おっかない雷が鳴り出して、あわてて城崎温泉の旅館に駆け込んで一夜の泊まりを交渉したことがある。これが以外にすんなりと決まって、一泊2食で女房と二人を5千円で泊めてくれた。畳にガムテ−プが張ってある従業員用のお部屋であったが、食事はお刺身や茶碗蒸しに天ぷら、お吸い物など、並のお客様と同じ扱いをしてくれた。
この宿の親爺さん、よほど私たちが哀れに見えたか、それともご慈悲深いお人柄だったのだろう。
 こんな私は変わり者で、放浪癖があるのかもしれない。寅さんや裸の大将のドラマは好きだったし、主人公に憧れていたから、たぶんそうなのであろう。
 前おきはともかく、そんな訳で今年の夏も信州、北アルプス周辺ということになった。涼しくて景色の綺麗な信州は、暑さには弱い女房のお気に入りでもある。


白馬の泊まり
夏の夜明けは早い。京都南ICあたりの渋滞を避けようと朝5時に出発した。
中国道、滝野・社(たきのやしろ)ICから長野道、豊科ICまで途中休憩を4回入れても約6時間で走れた。安曇野でお蕎麦を食べ、白馬方面に来ると必ず立ち寄る女房のお気に入りの喫茶店で、一息いれても白馬到着は午後2時頃だった。時間も早いので塩の道を散策する。
白馬ハイマウントホテル
http://www.highmount.com/
info@highmount.com
アカバナシモツケソウ
 この日の泊まりは、白馬ハイマウントホテル。インタ−ネットで予約すると1割引きになる。二人以上になるとこの1割はなかなか意味が深いのである。
 白馬ハイマウントホテルの朝は清々しい。高原らしいひんやりとした澄んだ空気が漂う。まわりの白樺林の高い梢から、キビタキのカン高いさえずりが聞こえる。五階の部屋から窓の
外を見ると、なだらかな山容の白馬乗鞍岳が見えた。今日は少し雲が多いようだ。
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八方尾根トレッキング紀行
 白馬ハイマウントホテルは和田野の森にあって、ホテル前の道路は黒菱林道を経て、黒菱第3リフト乗り場(黒菱)に至る。
ここからペアリフトで黒菱平に上ると、麓の八方駅からゴンドラ「アダム」で上がって来た観光客と合流する。八方池山荘までは、更にリ−ゼングラ−ドクワッドリフトに乗り継いで到着する。リフト料金は片道540円。麓の八方駅からだと料金はゴンドラの分だけ高くなって片道1400円となる。ほとんどの観光客は麓の八方駅から登って来る。おそらく黒菱林道はご存じないからだろう。ただし、景色を眺めるならゴンドラがいい。
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黒菱平第3リフトから
白馬三山を眺める
第1ケルン下
あたりの観光客
第一ケルン下あたり
の観光客
 車で黒菱林道まで上がると、でっかい建物「カフェテラス黒菱」が目に付く。中に入って見ると、ちょっと大きめの「おにぎり」が1個150円。八方尾根のガイド本が100円。山岳写真も展示してある。駐車場はこことリフト乗り場にあって、二つ合わせると小学校の運動場ほどの大きさである。このル−トは人影も少なく、どちらの駐車場もよく空いていた。ペアリフトに乗って黒菱平まであがると長野オリンピックのダウンヒル、スタ−トハウスに到着する。滑降競技のテレビ中継でよく見慣れた小屋である。リフトを降りるとニッコウキスゲ咲く鎌池湿原の前を通って、リ−ゼングラ−ドクワッドの乗り場に着く。ここからは八方駅からゴンドラで上がって来た観光客と一緒になってリフトを待つ長い行列が続く。鎌池湿原にはモウセンゴケ、イワイチョウ、ワタスゲ、ミズバショウ、ニッコウキスゲなど多くの植物が生育する。
八月初旬はニッコウキスゲが花盛りで、しばらく足を止められそうになるが、ここでは先に進んでリフトに乗ろう。リ−ゼングラ−ドクワッドを乗り継ぐと、僅か10分も経たない内に八方池山荘前に到着する。ここから八方池まで約1時間の自然研究路で、暫くはゴロゴロした石を敷き詰めた緩やかな登山道に観光客の長い列が続く。山の天気は時雨(しぐれ)れることが多く、この日も濡れた石の上は滑りやすく歩きにくかった。
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下に見える八方池山荘 稜線ル−ト 湿原ル−ト
 ゴロ石を敷き詰めた緩やかな登山道に観光客の長い列が続いていたが、しばらくすると足下を整えたハイカ−だけになり、山の静寂が戻った。
箱根の旧街道を思わせるような石畳の自然研究路から、普通の山道になるあたりで湿原ル−トと稜線ル−トに分かれ、湿原ル−トは尾根を巻く緩やかな登りになっている。そして途中から沢筋に出るあたりが湿原の為、木道になっている。
 一方、稜線ル−トは尾根を登る急斜面となっている。どちらを登っても第2ケルンで合流し、時間はほとんど変わらない。
 稜線ル−トの写真を拡大して見ると尾根の下の方に赤い屋根の八方池山荘とその右にリ−ゼングラ−トクワッドリフトの乗り場が見える。

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稜線ル−トの上部を見る 石神井ケルン ケルン前のクルマユリ
 私たちは稜線ル−トを登りに選んだが、ほとんどのハイカ−が湿原ル−トを選ぶ。稜線ル−トの中間まで来ると石神井ケルンがある。八方尾根には6つのケルンがあり、そのほとんどは遭難事故の祈りが込められている。冬の尾根では天候が荒れると方向が判らなくなって遭難を起こしやすい。ケルンは遭難が2度と起こらぬことを祈って、立てられたものだ。
 ケルンの前は木造ベンチがあって休憩やお昼の弁当を広げるのに丁度よい。休んでいると、谷から駆け上がってくる冷たい風が、汗ばんだ身体を優しく撫でてくれる。
 傍らにクルマユリがきれいに咲いていた。晴れた青空なら良かったのだが・・・。稜線に出ると写真も違った撮り方が出来る。
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八方池から唐松岳
の方向を見る
稜線から見る八方池 八方池周辺の
マツムシソウの群落
 八方池の周囲は遊歩道となっている。ニッコウキスゲやマツムシソウの群落があるし、北アルプスに咲くほとんどの花を見ることが出来る。池は濁って決して清楚な佇まい(たたずまい)とは言い難いが、晴れた日には白馬三山が望め、不帰のキレット(かえらずのキレット)を間近に眺められる。アマチュアカメラマンの人気のスポットである。
 池畔ではお弁当をひろげる人、三脚を立てて、シャッタ−チャンスを待つ人、景色を眺めながら語り合う人などいろんな光景に出会う。
 私たちも「カフェテラス黒菱」で仕入れた、ちょっと大きめのオニギリをここで食べることにした。クマザサの葉っぱで包んであって、シソや梅の実が入った素朴なニギリ飯だけど、どれもこれも美味かった。クマザサの葉は食べ物の腐敗を防ぐ効果があるらしく、先人から伝わる信州の文化を感じながら、富山の鱒寿司もクマザサの葉っぱでくるんでいたかな〜。などとしばしもの思いにふけっていた。白馬三山は、あいにくの天気でとうとう出会うことがなかっ
た。
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アマニュウ アマニュウ シモツケソウ
 高山の天気は変わりやすい。下界は晴れた夏空であろう。今日の八方尾根は雨が降ったり、晴れたり、曇ったり、天気予報は何を出しても当たるお天気だった。トランプで言うならジョ−カ−みたいなお天気とでも言っておこう。
 写真は雷が鳴り、雨が降る中、帰りの湿原ル−トの途中で撮ったものである。写真はどんな天候でも撮れる準備をしておくこと。こんなことは経験を積めば忘れることはない。雨天の撮影グッズは売られているが結構かさばる。ホテルでくれるシャワ−キャップはカメラにかぶせるのに重宝する。
 私の経験ではピ−カンのお天気より、小雨が降っている方が陰影の差がなくて、木々の葉っぱの反射もなく、質感のよい写真が撮れるように感じている。ただし空が入る写真では曇天は苦手だ。
   
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湿原ル−トで 湿原ル−トで 湿原ル−トで
 八方池をあとにして下山する。高山植物は下山のときも私たちを楽しませてくれる。
登りでは喘(あえ)ぎながら登った行程もすっごく短く感じられる。もう第2ケルンまで下りてしまった。ケルンから5〜6歩ほど歩くと山では珍しい水洗トイレがある。ここから湿原ル−トと稜線ル−トに分かれる。下山は湿原ル−トを降りることにする。すぐに沢筋の雪渓に出合う。大阪弁の中年の夫婦が、珍しい雪渓を見て無邪気な歓声をあげ、写真をしきりに撮っていた。少し進むと雪渓は湿原となり、登山道は木道に変わる。雨にぬれ、勾配のついた木道はおっかない。滑って木道を踏み外すと落差1mの湿原に転落することになる。木道を過ぎると緩やかな登山道の脇に亜高山帯のいろいろの花が咲いていた。
 何度訪れても飽きない白馬の自然。夏はもう4年も続けてこの地を訪れている。
今夜の泊まりは栂池高原ホテル。季節のお便りをたびたび貰っている。そんな縁あってか、この夏も泊めていただくことになった。
 明朝はホテル側で用意された散策ツア−に参加する。塩の道をおよそ1時間歩くつもりだ。そして奥飛騨温泉郷へと旅は続く。

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チングルマ マツムシソウ シロバナクモマニガナ
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イブキジャコウソウ ミヤマダイモンジソウ シロウマアサツキ
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ミヤマムラサキ ワギキョウ アマニュウ
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イワイチョウ オオバギボウシ カライトソウ

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