マックの多言語エディタ

(99/04/11更新)
  1. 多言語混在可能なエディタ
  2. フォントとスクリプトの同期
  3. ロシア語・ギリシア語への対応
  4. 互換性
  5. その他の機能
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1.多国語混在可能なエディタ

マックでギリシア語」で述べたように、文系の研究者にとってマックの大きな利点の一つは、テキストファイルレベルでのマルチスタイル、多言語混在が可能だ、ということです。マックを買えば標準でついてくる「シンプルテキスト」がすでにマルチフォント・マルチスタイルが可能ですが、これには一ファイルあたり32kバイト以上の書類を作ることが出来ないと言う制限があり、少し長い文章だと実用的ではありません。しかしながら、マックには32kバイト以上を編集できるテキストエディタが幾つかあります。それらを使えば、ある程度テキストファイルレベルでの多言語混在が可能です。

テキストファイルレベルでの多言語混在の利点は幾つかあります。

  1. ワープロに較べて、軽く安定している。
  2. 本文内容について、複数ファイルの一括検索が簡単に出来、かつ高速。
  3. 多くのエディタで、スタイル情報を含めた文書の互換性があり、用途に応じてエディタを使い分けることが出来る。
  4. 書類の容量が少ない。
  5. 安い(フリーウェアもある)

などです。

ここでは、マックのスタイル付きテキストエディタのうち、代表的なものを幾つか挙げ、多言語混在書類を作る利便性の観点から比較してみます。ただし、私自身中国語などの二バイトコードの言語、アラビア語などの右から左へ書く言語については全く無知ですので、ここでは、独・仏などの西ヨーロッパの言語、ロシア語、ギリシア語などを日本語と混在させるのにどういうソフトが便利なのかだけを考えることにします。

ここで取り上げるのは以下のエディタです。取り上げたヴァージョンも併記しています。なお、()内はシェアウェアの場合の価格です。

(フリーウェア)

(700円)

(1000円)

(2500円)

(1500-2000円)

  • Style (リンクは一つ上の階層です。スクロールして探して下さい。)

(10ドル)

(2000円)

(2500円)

 

NuEditとTex-Edit Plusは日本語版と英語版がありますが、いずれもメニューの表示言語が違うだけで機能は同じです。

これらのエディタはいずれも、Wasteというテキストエンジンを利用して作られたもので、共通の特徴は、マルチスタイルが可能で、32kbyte以上のテキストを編集できることです。マックではフォントと言語スクリプトを当該言語と互換性のあるものにすれば、基本的に一つの書類での多言語混在が可能なので、紹介の視点は、

  1. フォントとスクリプトの同期
  2. ロシア語、ギリシア語への対応
  3. 互換性
  4. その他、混在に関して役立つ機能

ということになるでしょう。

2.フォントとスクリプトの同期

エディター上でこれまで日本語を書いていたのに、急にフランス語、あるいはロシア語を書く必要が生じた場合、便利なのはフォントを変更すると自動的に当該言語のスクリプトに対応してくれる機能です。また、コマンド+スペースでスクリプトを変更すると自動的にそのスクリプトに対応したフォント(それもそれまで使われていたフォント)に切り替えてくれるとよりいっそう便利です。この、フォントとスクリプトの同期の機能が実現されていないと、日本語から外国語に移るとき、フォントを変更し、かつ、スクリプトを当該言語に対応するものに変更する、という二重の手間が必要になります。

これが実現されているのはStyle, NuEdit, ATBEdit, JEdit 3の三つです。

この中でもっともすぐれているのがStyle、JEdit 3で、日本語でインライン変換の途中で(未確定状態で)スクリプトを切り替え、あるいはフォントを変更すると、それまでの日本語部分がそのまま確定されてからスクリプト・フォントの変更がなされます。また選択部分のフォント変更でも、そのスクリプトに属するフォントだけが変更されます。つまり、日英露混在文を選択してフォントをTimesに変えるとき、Romanスクリプト上のフォントだけがTimesに変更され、日本語・ロシア語フォントに影響はありません。

NuEditとATBEdit、Memorizeはフォントとスクリプトの同期は実現されているものの、未確定状態でスクリプト・フォントを変更すると、未確定文字列が新しいフォントに変わって(つまり文字化けして)しまいます。ただしNuEditはオプションでフォントとスクリプトの同期のOn/Offを設定でき、Offにすると、同期そのものが働かなくなりますので、この問題は生じません。

LightWay Textもプリファレンスで、フォントとスクリプトの同期を選択できますが、完全には機能しません。このプリファレンスには「スクリプトによるフォントの自動切り替え」と「フォントによるスクリプトの自動切り替え」の二つのチェックマークがありますが、後者にはバグがあり、うまく働きません。欧文フォントから日本語に切り替えるときには一文字だけ欧文フォントで打った後で日本語スクリプトに切り替わりますし、日本語フォントから欧文フォントに変更しても無視されます。後者のチェックマークははずしておいた方がよいでしょう。スクリプトによるフォントの自動切り替えは上手く働きますので、コマンド+スペースでスクリプトを切り替えるだけで、多言語混在が可能になります。

Tex-Edit Plus、CuTEは同期しません。

3.ロシア語・ギリシア語への対応

マックでロシア語を入力するには二つの方法があります。Cyrillic Language Kitやインターネットで入手できるマック用のロシア語フォント・スクリプト・キー配列を組み込んでマックをロシア語対応にする方法と、英語スクリプトの上でフォントとキーボードだけロシア語を組み入れる方法です。前者だとマックの美しいフォントでロシア語を表示・印刷出来ますが、インターネットで流通しているロシア語コードとは別のコード体系になりますので、Netscape Navigatorなど、コードの違いを吸収するソフトを使わないと、インターネットのロシア語との互換性がありません。後者は、あまり美しいフォントが流通していないという欠点があります。また、データベースなど、より高次の利用には向いていないかもしれません。

前者の場合、メニューバー上で、英語スクリプトの下にロシア語スクリプトが現れますので、コマンド+スペースで順次切り替えて行きます。この際、スクリプトキーなど、スクリプトを指定するコントロールパネルがあると、どのスクリプトからでも一つのショートカットで、日本語スクリプトやUS/Romanスクリプトに変更できるので便利です。

ギリシア語の場合も基本的にはロシア語と同じです。現代ギリシア語の場合、インターネットで流通している文字コード(ELOT928)とマックのギリシア語コードは異なりますが、マックのギリシア語コードに則した現代ギリシア語フォント・スクリプト・キー配列を組み入れると、ELOT928の文書がWWWブラウザを通じて利用できます。そこから「テキスト保存」を行うと、ELOT928の文書がマックのギリシア語文書に変換されます。。ELOT928の文書をそのまま利用するためにはELOT928に対応したフォント・キー配列が必要になってきます。(方法は「マックで現代ギリシア語」を参照してください)

古典ギリシア語は、マックの場合どのフォントを用いるにしても、アルファベットのコードをそのままギリシア文字に代用していますので基本的に問題はありません。(最近、UniCode対応の古典ギリシア語フォントが発売されましたが、マック用はまだです。)

さて、USないしRomanスクリプトを使う限りにおいては、どのソフトも問題なくギリシア語・ロシア語に対応しています。問題はギリシア語・ロシア語スクリプトを組み入れるときで、LightWay Textがこれらのスクリプトに対応していません。他はどれもOKです。
(98/07/22追加 LightWay Textも2.0でこれらのスクリプトに対応したようです)

4.互換性

フォント・スタイル情報を含めた互換性は、すべてのソフトで保たれています。つまり、どのソフトで文書を作っても、他のソフトで、文字・スタイル情報を維持したまま編集できます。(98/04/26注記。ATBEdit4.01だけは、他のエディタと片互換です。つまりこのエディタで編集した文書は他のエディタでスタイルを維持したまま開けますが、逆は出来ません。)それだけではなくNisus Writer (5.1E/5.8J)とPascal Write (2.0)は、これらのエディタで作られた書類を、フォント・スタイル情報を維持したまま開くことが出来ます。Waste系のエディタとの連携には、これら二つのワープロソフトが便利です。

互換性でややユニークなのはStyleです。まず、これはデフォルトの保存形式がtext書類ではありませんので、デフォルトの形式で保存したときには他のソフトとの互換性がありません。ただし、最初にテキスト形式で保存しておくと、次からはテキスト形式のまま保存されるので、他のソフトとの互換性が保たれます。もっと簡単なのは、スタイルを開き、何も記入せずテキスト形式で「ひな形」として保存することです。新規起動時にアプリケーションではなく「ひな形」をダブルクリックすることで、デフォルトの保存形式がテキストになります。

またStyleはクラリスXTNDに対応していますので、XTNDを用いるソフトウェアとの文書互換性もあります。

5.その他の機能

AppleScript対応なのはCuTE, Tex-Edit Plus, Style, Memorize, JEdit 3です。Tex-Edit Plus, Style, JEdit 3には様々なAppleScriptを利用した様々な便利なプラグインが組み入れられています。StyleやJEditのUnicode変換は、簡単にUnicode仕様のHTML文書を作り出すことを可能にしてくれますし、JEdit 3にはかなり高度なHTMLエディタとして使うためのプラグインも用意されています。

LightWay Textは段組印刷など、印刷機能に優れ、殆どワープロ的な使い方が出来ます。また、正規表現での検索も可能です。

Tex-Edit Plusは検索・置換の機能に優れています。Osakaで書かれたすべての文字をリュウミンライトに変える、Boldスタイルのすべての文字を下線スタイルに変える、赤色の文字をすべてBoldに変えるなど、様々な置換が可能です。また、テキスト書類ファイルのアイコンをドロップするだけでその書類の内容をコピーすることが出来ます。(この場合はスタイルは保存されません)。また、Word Servicesに対応しているのでSan Fauteなどこの機能に対応したスペル・グラマーチェッカが使えます。

Styleはエディタとしては珍しく、一行の文字表示幅が書類の横幅ではなくワープロ同様印刷設定によって決定され、書類を横に引き延ばしても一行文字数が増えません。

NuEditはHTML書き出しをサポートし、特に背景色、文字色指定が便利にできます。またJamming2.5以上との連携で、選択テキストを辞書検索することが出来ます。この機能はJEdit 3にもあります。Jamming自体が、クリップボード検索の機能を備えているので、実用的にはそちらの方が便利ではあるのですが。

Memorizeはエディタというよりも、「オブジェクト指向メモソフト」であり、ラベル、スケジュール、カレンダー、アドレス、URL、印鑑イメージなど様々なオブジェクトをメモ上に貼りつけることができます。エディタとしての基本的な機能は完備しており、様々なオブジェクトは、書類をより便利に使うのにも役立ちます。しおりオブジェクトを利用すれば、章立ての文章の編集も楽になるでしょう。