電脳ギリシア語


PCでギリシア語を入力する

Mac

システム環境設定→言語とテキスト→入力ソース→Greek Polytonicをオンに。これで下書きのイオタとかアクセント記号と気息記号の組み合わせとかいろいろと入力可能。キーボードは出来れば英語配列の方が望ましい。

Greek Polytonicのキー配列は下の表の通り(クリックすると大きな画像)。リンクが切れていた ら、適当にぐ ぐるか、キー配列の確認にはMacだとキーボードビューアが簡単。右端にデッドキーが並べて置かれ、それを入力した後に母音を入力すると特殊文字を出すことが 出来る。デッドキーはシフトやコントロールと組み合わせることでPolytonic Greekを入力できる。;とaだとά、shift+/とaだとἅ(この 文字は英語配列の場合。日本語でも同じ位置のキーで同じ結果になる)。下のイメージでオレンジ色に塗られているのがデッドキー。

polytonic1 polytonic2 polytonic3
polytonic4
ノーマル
シフト
オプション
オプション+シフト


Macの場合、Times New RomanやTimesでも気息記号や下書きのイオタの入力が出来る。

Windows 7

(自信はないが8も似たようなものだと思う)。まずスタート→コントロールパネル→地域と言語のオプションを選び、そこで言語タブをクリックし て「詳細」ボタンを 押す。「インストールされているサービス」で「追加」ボタンを押し、「入力言語」に「ギリシア語」を、「キーボード・レイアウト/入力システム」に「ギリシア語 Polytonic」を選ぶ。キー ボード配列はこのPDFで。ただし、右altを使ったりするのもあるので、そういう文字は文字ビューアあたりから出すのがおすすめ。

Windows7の場合、Times New RomanやTimesでは気息記号や下書きイオタの入力が出来ない。Palatino Linotype(明朝体)とTahoma(ゴシック体)は問題なくPolytonic Greekが入力できる。

PCでギリシア語を読む。

職業的にギリシア語とつきあう人は、五年間500ドルでTLG (Thesaurus Linguae Graecae)のメンバーになると、TLGのサイト経由でありとあらゆるギリシア語文献が読める。エンコードはUTF-8でPerseusの語形分析へのリンクもあり、 至れり尽くせりだ。もともと、TLGはもっといろんなことをするためのデータベースだけれど、読むだけでも便利だ。

TLGは今オフラインのサービスをやめてしまったので(もうCD版は存在しない)、いろいろとあったTLG用ソフトウェアは、廃れてしまった。 ただ、フリーウェアのDiogenesだけは残っているので、CDを持っている人はそれを使うと便利。また、これはソフト内部にPerseusの 情報をすべてコピーしているので、辞書も語形分析も使うことが出来る。計画停電のときもノートパソコンでDiogenesを使って『オイディプ ス』読んでた。 DiogenesはMac にもWindowsにも対応。

職業ではないひとは、Perseusのウェブサイトに行く。右上のSearchで読みたい本や作者の名前を入力するとリストが出てくるので、そこから選ぶ。すべての単語に語形分析のリンクが張られ、そ こからLSJないしIntermediate LSの辞書へワンクリックで飛ぶ。Web接続の環境ではこれが一番便利かもしれない。ブラウザのデフォルト設定だとギリシア文字が日本語のフォントで表示されて見にくい場合には、ブラウザのデフォルトフォントをユニコード対応の欧文フォントに変更(Lucida GrandeとかTahomaとか)。

ローカルでギリシア語を読むにはどうするのが便利だろうか。PerseusはかつてCD版を出していた。それは昔のマックのHypercard にと てもよく似たインターフェイスをしていてギリシア語と英語が対訳で出てくる。ただし辞書はIntermediate Liddellしか入っていなかったけど。Perseusに収録されていた作品に関するデータベースとしても使うことが出来、便利だった。

それが無くなってしまい、ローカルでTLGを用いずにギリシア語を読むのは結構大変になった。しかし、2011年に、Perseusサイトの古 典文献、単語情報をすべてバンドルしたソフトが出たので、状況は大きく変わった。Logos Bible Softwareが出しているLogosだ。サイトへ行ってPerseusで検索すると、Perseus Classics Collectionが出てくるので、これを購入(お金はいらない)。アカウントを作らないと行けないけれど、ダウンロードすればロゴスのなかにPerseus Collection 1000冊以上がすべて入っている(なぜかアリストテレスの『詩学』のギリシア語だけ抜けているけれど)。次回立ち上げたときには前回終了した場面が出る(Logos 5から)。Favoritesに複数の本を入れておくことも出来る。また、LOGOSでは最新版のLSJも販売しており、そちらを購入していれ ば、当たり前だがそれを使うことも出来る(150ドルほど)。難点は、単語をクリックするとすぐに辞書画面が現れ、語形分析が独自画面に出ないこ とだ(カーソルを単 語の上においた時点で画面下端に小さな文字で語形分析が現れる)。また、語形分析の間違いも多いし(特に複数の可能性のある場合)、候補が出てこない場合もある。TLGのCD + Diogenesの快適さには敵わない。Windowsの場合、EBWinというソフトウェアを使って下記のEPWing for the Classicsを用いることでLOGOSよりもまともな変化形分析を実現できる。やり方はこちらのページの後半部分に書いたので参照されたい。(2014年9月追記)Macの場合、EBMacを使うが、辞書本体の認識までは簡単で特に迷うことはなく使えるのだけれど、ユニコードでの検索、ギリシア文字のきれいな表示のために使う書類を置く場所がWindowsと異なる。やり方は私のブログで書いたのでそちらを参照してください。

iPhoneやiPadでギリシア語を読む。

iOSでは現代ギリシア語で使わない記号(曲アクセントや重アクセント、気息記号など)を入力する手段は提供されていない。しかし入力されたも のを読むのには支障が無い。iPhoneもiPadも以下に紹介するソフトを利用することで、ギリシア語の文献を読むことができる。ただ、 iPhoneの場合、画面が小さすぎて、iPhoneだけで完結させてギリシア語の文献を読むには無理があるように思う。利用可能なソフトウェア は次の通り。

Greek English Lexicon
Ancient Greek Dictionary
これら二つのアプリは、いずれもLiddell-Scott-Jonesの希英辞典を電子化したもので、iPhone/iPadでギリシア語配列 がつかわなくても入力可能だ。辞書アプリにはあとLexiphanesもあるが、これはiPadに対応していない。あとはそれぞれのページでインタフェイスのちょっとした違いを確認してください。データ自体は同じだ。検索はギリシア文字で行うものとローマ字のものがあるが、いずれにせよアクセントの入力は不要(iOSの場合、そもそも 出来ないし)。

Ancient Greek
このアプリは、Perseusから若干のテキストを使い、それと辞書を組み合わせて一つに組み込んだものだ。収録されているテキストの数はそんな に多くない。

Bible!
このアプリは、PC版LOGOSのiOS版で、PC版と同じ機能がある。テキスト画面をタップすると現れる右上のⓘのアイコンを押すと当該テキストをダウンロード出来るので本体に取り込んでしまえばWifi版iPadやiPod touchでネットにつながなくても利用できる。いずれのソフトも辞書はLSJであり、その意味では不足はない。LOGOSの場合、LSJの最新版をパソコンの方で買っておけば、iOSアプリ でもそちらを利用できる。これは素晴らしい。しかし、語形分析は、パソコン版のLOGOSよりさらに劣っていて、全く役に立たない。

iアプリでギリシア語を読むことを考えるとき、ネックになるのが、変化形と辞書の形との対応だろう。たとえギリシア語文法がきちんと覚えられて いて辞書の形に自分で対応させられたとしても、辞書アプリ上で、自分でギリシア文字を入力しなければならない。それなら紙の辞書の方が速いかも知 れない。

その手間を省いてくれるのがEPWing for the Classicsだ。これは独自のアプリではなく、Perseusのギリシア語辞書および語形分析の情報をすべて EPWINGのフォーマットに変換しているデータベースだ。無料でダウンロードでき、iOS上ではEB Pocket Professional (フリーと有料版の両方があるが、フリーだととギリシア文字のUnicode表示が出来ず、あまりきれいでないグラフィックでの表示になってしまう。必ず有料版を購入。600 円だ。)を使う。基本的にはEPWing for the Classicsのサイトに書かれている手順に従って、iPhone/iPadのEB PocketにEPWing用LSJを転送するだけでよい(といっても少し面倒くさいので後で説明)。Ancient Greekに入ってているテキストであれ、選択・コピーして、EB Pocketを起動するだけでクリップボードの変化形を読み取って原型を提案 してくれ、リンクをクリックすれば辞書項目を表示する。但し、EPWing for the Classicsの語形分析は気息記号の有無、ηとε、ωとο、下書きのイオタの有る無しを区別しないので利用時にはその点にだけ注意しよう。正しい分析にいたるまでにややスクロールの必要があるかも知れない。LSJとMiddle Liddellのどちらか(あるいは両方でも構わない)ダウンロー ドする。後方検索ができるヴァージョンや出来ないヴァージョンなど幾つかの選択肢があるので注意。後方検索が出来るヴァージョンを勧める。

Androidにも、LOGOS (Bible!)、EBPocketがあるので、同じことはAndroidでも出来る(はず)。別にiOSにこだわる必要は無い。

EPWing for the Classicsをセットする。

とりあえずパソコンでEPWing用LSJ(変化形付きヴァージョン)のダウンロードが済み、解凍されたものとする。同じダウンロードページに はEBseries専用ファイルというのもあるので、これもダウンロード・解凍する。こちらの方で使うのは、CLSEPW.plistというファ イルとalternate.iniというファイルの二つだ。iPhone/iPadとパソコンは同じWiFiネットワークに参加している必要があ る。

まずEPWing用のLSJを圧縮する。LSJの変化形付き、後方検索対応ヴァージョンは800メガバイト以上の大きさがあり、圧縮して利用するのが望ましい。圧縮には、EBShrinkないしEBShrink on Macというソフト(ググれば見つかる)を用い、HONMONファイルを圧縮する。圧縮レベルは五段階から選べるが、2か3くらいにしておけと大 抵のサイトは勧めているのでとりあえずそれに従おう。圧縮レベル3だと約800メガバイトのファイルが200メガバイト弱になる。圧縮が済み、HONMON.ebzというファイルが出来ればオリジナルのHONMONファイルと入れ替える。拡張子ebzははずさない。

iOS用EPWingソフトは幾つかあるが、ギリシア語のためにはEBPocketを使うEBPocket をインストールし、起動したら左下の「設定」ボタンを押す(歯車のマーク)。するとFTPサーバという項目が現れるので、押してサーバーの画面に なったら開始をタップ。その状態でパソコンの作業に戻る。

任意のFTPソフトを起動、EBPocketに載っているIPアドレスとポート番号を利用して、iPhone/iPadにFTPで anonymous接続する。EBPocketというフォルダがあるので、そのフォルダの直下にダウンロードし、解凍し、HONMONファイルを圧縮したLSJのフォルダをコ ピーする。LSJの条件・後方検索可能ヴァージョンだと、lsj-morph-allidxみたいなフォルダ名になっている が、そのフォルダごとEBPocketフォルダにコピー。

次に、そのlsj-morph-allidxフォルダの直下にCLSEPW.plistという、「EBseries専用ファイル」から取り出し たファイルをコピー

最後に、FTPのトップに、Settingsというフォルダが見えているはずなので、それを開き、Settingフォルダのの中に、もう一つ EBseries専用ファイルフォルダから取り出した、alternate.iniをコピー。alternate.iniはもともとあるファイル なので、「置き換えますか」というダイアローグが出たら「置き換える」をクリックしてFTPの作業は終了。ファイル構造は以下のイメージのようになっているはず。

ebcpocket

検索画面に戻り、キーボードをしまうと、右下に本を並べたようなアイコンがあるのでそれをタップして、使う辞書の中に、いまダウンロードした LSJがあることを確認。EPWing書式の英和辞典と一緒に「串刺し検索」で使うと便利だと思う(LSJ検索からすぐに英和に移れるので)。

iPadだと、四本指スパイプでアプリの移動が出来るので、Bible!で単語をコピーしたら、スワイプで自動的にその変化形の原型の提案と原 型の辞書項目へのリンクがあり、さらに英和と串刺し検索しているなら、英語の訳語を選択して直ちにその英和で意味を調べることが出来る。(流れは下の図を参照)

Demosthenestext
ebpocketlsj1
eblsjdef
ebmldef
Bible!でデモステネスのテキストを表示、単語を選択。
EBPocketを起動すると語形分析が表示されている。
青字をタップすると定義が表示される(LSJ)。
iPhoneではMiddle Liddellの方が実用的かも。