電子辞書は、文系の人間がパソコンを使う時にもっとも重宝するものの一つではないでしょうか。実際、手慣れた言語は別として、外国語を読むときに、辞書はかなりの頻度で参照するものです。電子辞書は辞書検索の手間をずいぶん省いてくれます。
電子辞書は、たとえ当該言語の造詣が深くてあまり辞書に頼らずに読むことが出来る場合でもなおかつ有効です。電子辞書は検索の手間を省いてくれるので、わかっていると思っている単語でも、少しでも腑に落ちないところがあれば手軽に検索する気にさせるからです。実際、知っているつもりのことって多いような気がします。
で、日本のパソコンでありがたいのは、電子辞書の統一された規格が一応存在することです。また、その規格に沿った電子辞書は、その辞書専用の検索ソフトが付属している場合でも、後述する理由で、独立の検索ソフトを用いた方が便利です。
私がここでまず紹介したいのは、この統一規格、EPWINGと電子ブックに基づく辞書です。EPWINGは12センチのふつうのCD-ROMの辞書用の規格で、電子ブックは8センチのミニCDです。電子ブックはソニーやPanasonicが出している単体の電子ブックリーダー用に作られたもので、電子ブックリーダーで使うためにプラスチックのケースに入っています。パソコンで使うにはまずこのケースから出し、パソコンのCD-ROMドライブにセットしなければなりません。
数年前のパソコンの場合、CD-ROMドライブそのものが8センチのCDに対応していなかったので、シングルCD用のプラスチック・アダプターをつけてやらねばならなかったのですが、現在販売されているものはケースから取り出した電子ブックをそのままCD-ROMドライブにセットできます。
これらの規格で作られたCD-ROMである限り、マックでは「書見台」「CeDar」「Jamming」というフリーウェア・シェアウェアで、WindowsではDDWinというフリーウェアで自由に検索することが出来ます。
マックの場合、これら三つの辞書はいずれも長所・短所がありますので、すべてをインストールしておいて、場合に応じて使い分けるのが望ましいでしょう。しかし、これらのソフトに共通しているのは、
ことです。また、これは電子ブックのハードウェアを持っていないと分からないかもしれませんが、単語入力(ないしドラッグアンドドロップ)と同時に検索を行い、結果まで表示してくれるという点でも、これらの辞書ソフトはソニーなどの電子ブックリーダーを使って検索するよりも使い勝手が良いのです。電子ブックリーダーの場合、単語を検索すると、複数項目がヒットする場合、まず項目名のみが現われ、そこから選択して初めて定義が現れるという手順になります。
また、電子ブック・EPWINGの商品版ソフトウェアは、電子ブックリーダーの使い勝手を踏襲していますから、それよりも、シェアウェア・フリーウェアのソフトの方が使い勝手が良い、ということにもなります。また、ハードディスクにコピーした辞書を検索してくれないという点でも商品版ソフトウェアは不便です。
ただし、シェアウェア・フリーウェアの検索ソフトより商品版の方が優れている点が一カ所あります。それは電子ブックの音声を再生してくれるという点です。電子ブックの音声の再生がどうしても必要な人は商品版を購入しなければならないでしょう。
書見台・CeDar・Jammingは、いずれも電子ブックをそのままハードディスクの任意の階層にコピーし、出来たフォルダのエイリアスを作って、システムフォルダ内の初期設定フォルダの所定の場所にそれを移せば、ハードディスクにコピーした電子ブックを使うことが出来ます。所定のフォルダとは
なお、音声付き電子ブックをハードディスクにコピーするときには、「ディスクエラーがおきました、SOUNDはコピーできませんでした。残りの項目をコピーしますか」という警告が現れるので、OKを選びます。SOUNDファイルはコピーされませんが、Jamming以外の辞書では電子ブックの音声は使えません。
これら三つの辞書の特徴を述べておきます。なお、これらはいずれもここからダウンロード出来ます。
書見台はマックの電子ブック検索ソフトの中で一番の老舗です。ずっとフリーウェアでしたが、最近「菅野美穂ちゃんウェア」になりました。詳しくは説明を読んでいただきたいのですが、“女優”「菅野美穂」さんの名前を漢字で書けるようになることが継続的利用の条件です。
「書見台」の特徴は
というところです。
「CeDar」は完全なフリーウェアです。この辞書は、もともと、「書見台」で海外製電子ブックが検索できなかったのを補うために作られたもので、そこに最大の特徴があります。つまり、
「Jamming」は三つの中で唯一のシェアウェア辞書で、かなりの高機能を誇っています。
日本でどのような電子ブックが入手できるかは、図書出版の電子ブックライブラリーのページ(http://www.ebxa.gr.jp/index.html)に案内があります。以下の各電子ブックの紹介リンクはすべてこの中のものです。
EPWING 電子ブックともかなりあります。私が日常的に使っているのは、リーダーズ英和+リーダーズ・プラスの二つの辞書が一つになったものですが、有名な辞書は(ジーニアス英和、アンカー英和・和英辞典、新編英和活用大辞典、研究社英和・和英中辞典などが電子ブック化・EPWING化されています。
英英辞典については、私は独立系ソフトを使った方がよいと思いますが、一応紹介しておくと、オックスフォード・コンサイス英々辞典/シソーラス辞典(Concise Oxford Dictionary and Oxford Thesaurus)が代表的でしょう。
現状ではEPWING、電子ブックとも「クラウン独和」しかありません。これは中辞典ですが、ある程度の役にはたつでしょう。これと下に紹介した独独のDdenと独英のLangenscheidtがあれば、大抵の用途は間に合うのではないかしら。
独独はドゥーデン・ユニバーサル大辞典(Duden Universelwoerterbuch)(見出し語12万、用例15万、三修社)があります。また、事典としてはベルテルスマン・ユニバーサル大百科事典 (Bertelsmann Universel Lexikon)(見出し語7万、三修社)が役にたつかもしれません。ドイツ版の電子ブックはかなり出ていて、その多くは三修社から発売されており、日本でもふつうの電子ブックを置いている店舗で入手可能です。その中には(ドイツの)外来語辞典や、正書法の事典など、かなり専門的なものもあります。海外発注が必要な事典としては、基礎語彙の詳しい説明がある(ただし、語彙数は少ない)あのHerman Paulの辞書(Paul Deutschen Woerterbuch)があります。独英はランゲンシャイト独英/英独辞典(Langenscheidt TaschenWoerterbuch)(三修社)が代表的。語彙数はクラウン独和とドゥーデン大辞典の中間です。
現状ではEPWING、電子ブックとも「クラウン仏和」しかありません。
アシェット仏仏事典が入手しやすいようです。普通名詞47,000、固有名詞23,000、類義語24,000、地図300、動詞活用表という構成ですから、かなり詳しいのでしょう。
日英仏三カ国語辞典があります。HARRAP社のSHORTER英仏・仏英辞典,研究社の新英和中辞典・新和英中辞典を一つの電子ブックにしたもので、英仏・仏英に関しては小辞典規模です。フランス語から、英日両方の定義が引けるようです。(おそらく英語の簡単な定義と、それに対応する日本語の説明が示されるのだと思いますが...)
現代イタリア語表現辞典が電子ブック化されていますが、ふつうのイタリア語の電子ブックが存在しない間はこの辞書はあまり使いものになりません。この電子ブックが存在すること自体は慶賀すべきですが、出版社はまず一般的な伊和辞典を出版すべきでした。その上でなら、この辞書はかなり有益でしょう。
電子ブック版 西洋文芸人名録が電子ブックの人名辞典としては便利。文学だけでなく、宗教・芸術のジャンルにも及ぶ西洋(+アフリカ・中近東)人27000人のデータベース。原つづりもついています。最近の人物8000人については特に詳しいプロフィールがあります。記述の責任者が良く分からないのと、半角カナを使っているのが欠点。46MBのディスクスペースを占有します。
以上の電子ブックは、殆どがEPWING仕様でも出版されています。EPWING版は発音がついたり、カラーの図版が増えたりと、プラスα的機能がつきますが、検索そのものは、多くの場合電子ブックと変わらず、容量が増えることを考慮すると、むしろ電子ブックの方を推薦したく思います。しかし、日本語で見出し語検索を行なうとき、電子ブックはかなにしか対応していませんが、EPWINGだと漢字で検索することが出来ます。また、「クラウン独和」「クラウン仏和」「リーダーズ」など、EPWINGだと日本語(定義語)からの検索が可能で、和仏・和独・和英の機能を併せ持っています。EPWINGのサイトはこちら。
「岩波・ケンブリッジ世界人名辞典」は、EPWING仕様のみ。これは「ケンブリッジ版世界人名辞典」(1994)の翻訳で、15000人の(ヨーロッパに限らない)歴史的有名人についての伝記情報を集めたものです。数においては前記西洋文芸人名録にかなわないが、写真画像をふんだんに使っている(2000枚)のと、音楽を100曲収録しているのが売り。そのためにファイル容量は膨れ上がり、たった15000人の情報で567MBも取っています。なお、写真だけを取り除いてHDに落とすことは出来ず、圧縮しても容量は半分程度にしかなりません。ややマルチメディア志向の、ちょっと困り者の辞書だと思います。CD-ROM辞典としては、そんなことで容量を増やすよりも人名を充実してほしかったが、元が翻訳だからそれは無理な要求になるのでしょう。さて、画像は、Jammingだと語尾補正、前方一致、後方一致等の検索モードだと各項目につき一点だけインラインで掲示するが、二つ目以降は無地されます。また、メニュー検索の「写真検索」などの検索項目は使えない。この辞書の機能を完全に利用するには、バンドルされている「ことといLight」を使うしかありません。ただ、普通に人名を検索する場合には、Jammingで、この辞書と西洋文芸人名録を共有して一括検索するのが一番便利でしょう。最近のヨーロッパの哲学・文芸などは西洋文芸人名録の方が数・記述量ともに豊富ですが、19世紀以前のものだと逆に、人名辞典の方が圧倒的に詳しいです。なお、画像はコピー出来ません。画面のハードコピーだって現在では簡単にとれるのですから、こういう無意味な制約は止めてほしいものです。
FreePWINGとはJIS X 4081 形式の書籍データを生成するフリーのソフトウェアで、この形式で作られたデータは、EPWING対応の検索ソフトで検索することができます。したがって、基本的なデータさえあれば、任意の書籍データを上記のソフトで検索することが出来るようになります。
現在のところ、変換済みのデータとしてエスペラント語、ライフサイエンス辞典、EDICT(和英辞典)、Webster's Revised Unabridged Dictionary (1913) などがダウンロード可能で、その他、マイペディアや「ランダムハウス英和辞典」のデータからFreePWING形式の辞書データを生成するためのスクリプトなどが公開されています。最後のはとても便利そうですが、生成のための元データがWINDOWS版のデータであり、FreePWING自体がUNIX環境でないと動作しないので、試していません。WEBSTER 2ndは便利に使っています。
興味のある人はFreePWINGのページを参考にしてください。やや手続きが必要なので、辞書データへの直リンクは避けます。マックの上記のソフトでFreePWING辞書を検索するための手順もこのサイトには含まれています。
これまで見たように、電子ブックとEPWINGに関しては、日本の辞書はかなり恵まれていますし、海外でもドイツは電子ブックが結構そろっていてありがたいのですが、それ以外の言語については単独規格の辞書を買った方がよいと思います。
英語の場合は、その方が廉価で便利だから、そのほかの言語の場合には、多くの場合単独規格の辞書しか存在しないからです。
しかしながら、世界のパソコンシェアの5%を割っていると言われ、さらにそのほとんどがアメリカと日本、フランスであるようなマックにとって、電子辞書にそれほど多くの選択肢があるわけではありません。いくつかの言語を除いては、紙の辞書に依存するか、(Soft)Windowsに転向するしかないかもしれません。
英語については、いくつかの代表的なソフトを挙げ、それ以外の言語については私の知っている範囲でランダムに紹介してゆこうと思います。
あくまでも独自形式の辞書にこだわる典型的な例として「ランダムハウス英和辞典」があります。定評のある「ランダムハウス英和第二版」の電子化ですが、電子辞書の出来としては最低の部類に入るでしょう。駄目な点を列挙します。
この辞書の良いところは辞書データでしょうが、電子辞書の使用者へのマーケティングが全然出来ていないという点で、ちょっと画期的だと思いました。
英語の中辞典は輸入CD-ROM店や、インターネット上のCD-ROMショップ(たとえばここ)で購入できます。輸入の場合、書籍ほど送料はかかりません。
American Heritage English DictionaryはRoget's
Thesaurusがバンドルされていて、3000円程度で入手できるはずです(ただし正規に日本で販売されているものはその倍以上する)。大体音声抜きで15メガバイトの大きさです。検索性はまあまあ。あまり複雑な検索には対応しておらず、単語検索・アナグラム・別綴り検索とWordHunter(語彙属性など定義内文字による検索)位です。
また、HDにコピーして使えます。その場合、音声ファイルはコピーしなくても構いません。起動時に辞書ファイルと音声ファイルのありかを聞いてきますので、辞書ファイルは指定してやり、音声ファイルはCancelを押してやると何事もなく起動します。ただし、ヴァージョンによっては、検索速度が遅いものがあるという話も聞きました。最近のマックだと心配ないと思いますが、旧世代のものだと、検索スピードに不満が出てくるかもしれません。(以上の動作確認はAmerican
Heritage Talking Dictionary ver.3)
またもう一つ紹介すると、Merriam Webster's Collegiate Dictionaryがかなり優れていると思います。辞書の規模としてはAmerican Heritageよりはやや大規模で、検索→検索語一覧→定義という手順をふまねばならない代わりに、(簡単な引用辞典になる)引用著者による検索、定義の中にある語句による検索など、多様な検索手段を用意しています。その結果、50メガバイトほどのメモリを占めますが、これはそのままマックにコピーしても使えません。基本的にはCD-ROM媒体で利用するのですが、マックの場合、そのようなソフトの場合でも、後述するようにイメージファイルとしてHDにコピーして利用することが出来ます。この辞書は5000円程度で入手可能です。
この規模(いわゆるCollegeate Dictionary)の電子辞書はいくつも発売されており、いずれも3000円から5000円程度の金額です。有名どころではWebster's New World Dictionaryも電子化されています。また、Compton's Interactive EncyclopediaやInfopedia、MICROSOFT ENCARTAなどの百科事典CD-ROMに付属している辞典も大体この規模の中辞典です(Compton'sはWebster's Intermediate、InfopediaはCollegiateをはじめとする様々なWebster辞書)が、言語辞典としての使いやすさとスピードは、百科事典CD-ROMの「辞書」機能よりも単品の辞書ソフトの方が上です。またHD利用も単品ソフトの方が場所をとりません。
マック版の英語大辞典としては、かつてはOED2とRandom House Unabridged Dictionaryがありました。現在ではRandom HouseはWin95版のみになっているようです。かつてのマック版Random Houseは使いものになりませんでした(少なくとも私の環境ではすぐに落ちる)ので、OEDだけを紹介することにします。
この辞典については、細かい説明は必要ないでしょう。Oxford University Pressから出ている紹介はこちら。第二版になって定義がわかりやすい英語で記述されていること、見出し語検索のほかに、定義内単語、引用、語源などの検索項目が標準で備わっていていずれも簡単に検索できること、さらに、ブール代数を使った複雑な検索項目も設定できることなど、この辞書はOEDの書籍版だけではなく、他の電子辞書とも比較にならない孤高の存在になっています。引きやすさは特筆すべきで、電子辞書を使う便利を実感させてくれます。マック版とWindows版が別ですので、自分のOSに合ったヴァージョンを持たねばなりません。一時は国内の代理店経由で13万円から11万円の価格がついていましたが、現在では7万5000円にまで落ちています。国内版は、ヘルプとマニュアルが日本語で、これはこれで便利ですね。海外の取扱店経由では、一時は4万円ほどで買えました。現在の円安のせいでこの価格ではさすがに無理でしょうが、アメリカでは395ドルで売られています。これは輸出禁止商品になっていなければ、Amazon.comなどのオンライン書店で買えるはずです。
3種類の代表的な仏仏辞典が簡単に入手できます。フランスの書籍を輸入している洋書店でも買えますし、フランスのオンラインショッピングで購入できるものもあります。いずれも高価なのが玉に瑕。
これはラルースのいくつかのフランス語の辞書を単独で、ないしはセットで販売しているもので、含まれる辞書にはラルースの小フランス語辞典(一番小規模なもの)、英仏・仏英小辞典、コンピューター・サイエンス用語辞典(英仏・仏英)、ビジネス用語辞典(英仏・仏英)、類義語辞典、引用辞典、同義語辞典があります。フランス図書・丸善などフランス書籍取扱店で購入できます。日本語マック環境では一部フォントが日本語になり、アクセントなどが文字化けするので、その回避のためにFont Patchin'やRelieverなどの表示フォント変更ソフトが必要になります。
Petit RobertのCD-ROM版。フランスのFNACのオンラインで調べると750フラン。日本でも18000円ほどで発売されているようですから日本で買った方が良いかもしれません。音声が入っています。これはWindowsとマックのハイブリッド仕様なので、一枚持っていれば両方のOSで利用できます。
フランス語の辞書の最高峰ロベール大辞典も電子化されています。ただし高価で、フランスのオンライン書店でもそんなにやすくはありません(FNACだと2800フランでした。1フラン=22円として約6万円+送料ですね。日本で買っても8万位だったような)。これもハイブリッドCD。
ただし使い勝手は考えられていて、簡単に語義だけを調べたいという用途にも対応し、かつ、高次の検索にも耐えます。また、テキストとの連関も考えられていて、エディタで単語をコピーてロベールに切り替えるだけで、自動的にロベールで検索し、候補を提示してくれます。
手入力の場合、検索語入力画面では、入力するにつれ候補が絞られてゆき、求める語に到達した時点でリターンキーを押せば定義画面に移ります。そこでは、簡略・詳細・語源・引用などのボタンがあり、簡略表示と詳細表示があるために、簡単に語義を調べたいという用途にも、より詳しい調査の用途にも対応できます。
詳細表示でも、引用はボタンリンクになっていて、ボタンを押すとポップアップで表示されます。
(スクリーンショット)

リトレの辞書もマック用が発売されました。そのままでは文字化けしますので、Fontpatchin'3を使ってフォントを強制的に変更してやる(8.xまでの場合)か、Language Registerというソフト(OS9.xでLanguage Kitをインストールすると一緒にインストールされます)で、フランス語のアプリとして登録すれば大丈夫です。うちでは、CDの中のアプリそのものを使わないと落ちます。不思議だ。使い勝手は、ドラッグアンドドロップに対応していないこと、ランダムハウス英和と同様に、連続して検索するためには前の入力を消さねばならないのが不便です。テキスト本文からの複合検索、世紀ごとの検索、著者を指定しての検索など、さまざまな便利な機能を持っています。
マックにも対応している市販の多言語辞書ソフトはいくつかあります。まずその一つ、WordAce for MacintoshはTransparent Language社が出しているもので、語彙数はそれほど多くない(10万語規模)のですが、変化形解析の機能がついていて、初心者には結構役立つものです。完全一致でヒットしない場合に代替案を出してくれるのも親切です。
一応、マック版とWindows版が別に販売されていますが、おそらく中身は同じで、実質上ハイブリッドCDになっているはずです。少なくともマック版はWindowsでも利用できました。独・仏・伊・西とロシア語・オランダ語・スペイン語・ポルトガル語とそれぞれ英語との辞書(独英/英独etc.)がありますが前4者の間では相互参照も可能です。(私が持っているのはロシア語とイタリア語なので、相互翻訳は出来ないようですが...)。約3分の1の単語が音声付きですが、音声ファイルを別にすればHD収納が可能です。
なお、ロシア語はソフト内部で処理しているので、ロシア語対応のマックでなくても表示できますが、単語をソフトの外に持ち出すことは出来ません。なお、このソフトのロシア語版は、我が家の日本語Windows95マシン (OSR2)をロシア語対応にしているにも関わらず、ロシア文字を表示できませんでした。日本語Windows95には対応していないように思われます。
(スクリーンショット。画質はかなり落としています。以下も同様)

Alphabyteは、ロシアで出た初めてのマルチメディア英露・露英辞典だということです。ただしこの「マルチメディア」とは、「英単語の見出しをクリックするとその語を発音する」というだけです(あと、起動時に短いムービーが流れる、ってのもあるか)。この音声ファイルとムービーが398メガバイトのディスクのうち390メガバイトも占めています。つまり辞書としては8メガバイト程度の規模(それでも英露・露英合わせて30万語あるそうです)ということになります。定義は、基本語彙についてはかなり丁寧です。ただ、ロシア人向けの英露・露英辞書であることは否めません。英露・露英は一つの辞書として提供されています(別窓ではありません)。
この辞書を使うためには、まずマックをロシア語対応にする必要があります。(そのための手順は「マックでロシア語・東欧語」をご覧下さい。とくに「ロシアのソフトウェア」の項にはAlphabyteを利用するためのチューニング(って言うのかな)の方法が書いてありますが、ここで要点をコピーすると、
そのままではメニューなどのロシア文字が文字化けするので、 Fontpatchin' 3(「林檎の花」サイト)という、アプリケーションごとにシステムフォント・アプリケーションフォントを変更できるユーティリティを利用して、次のように設定する。
ただし、辞書の設定で、表示文字を小にしている場合にはそのままで利用できるようです。(文字がとてつもなく小さいのですが)。表示文字を大にするとき、次のようにFontpatchin'3を設定すると、ロシア語・英語ともほぼ正しく表示されます。(英語の発音記号でやや問題が残りますが...)
Original Font = Any Roman Font
Replace Font
2-bytes Part = Original Font
1-byte Part = 好きなローマ字フォントを選んでください。
上記はOS 9.xの場合の設定です。8.6の場合いろいろと試してください。
この辞書の大きな欠点は三つあると思います。第一は検索結果を全く外部に持ち出せないことです。コピーできるのは検索窓の内容だけです。(これは間違い。結果窓のクリップボードアイコンを押せばコピー可能な状態になる。)第二は、辞書内容は8MBしかないにも関わらず、全部をイメージディスク化する(あとの「電子辞書をHDDにコピーして使う」を参照)以外、ハードディスクに辞書を落として使う方法がないと言うことです。最後に、この辞書では、二文字ずつしか検索窓に表示できないので、奇数文字の単語を調べるときには最後にスペースを挿入するか、一つ手前までしか入力しないか、どちらかの必要があります。(これは8.6Jでの話で、9.xJではまとも。)
購入は、メーカーのサイトもありますが(支払方法が分からない)、ロシアへ送金する手間などを考えると、日本の輸入業者を通した方がよいでしょう。テクノウェア社から購入することが出来ます。
(スクリーンショット)

12ヶ国語辞典は、三修社が出しているもので、かつてマッキントッシュ版とウィンドウズ版に分かれて出されていた「CD-Word 12か国語電子辞書」をハイブリッド仕様にしたもののようです。後者は、現在第二版のはずですが、初版が出た当初は5万円近い定価がつけられ、店頭でも3万円程度していたものです。現在では、「大辞典」も「電子辞書」も定価で1万円を割ります。本稿では、基本的に現在発売されている「12ヶ国語辞典」が「CD-Word」と変わらないものだとして話を進めます。対象言語は日・中・英・独・仏・伊・西・蘭・デンマーク・フィンランド・ノルウェイ・スウェーデンです。三修社らしく、それぞれの辞書は基本的に紙メディアで流通しているものの電子化で、その点、上の二つのソフトよりも定義の信頼性は高いと言えるでしょう。北欧系言語の学習者にとってはうれしい辞書ですね。
「CD-Word 12カ国語電子辞書」初版は、二カ国語辞典としては使いものにならないものでした。この辞書は、検索欄に入力すると左側に見出し候補が示され、クリックすると右側に訳語一覧が並ぶという構造で出来ていますが、驚くべきことに、辞書の説明本文を見る機能が装備されていなかったのです。
CD-Word第二版ではこの点が修正されています。スクリーンショットに見られるように、右端にFull Entry欄が設けられ、それをクリックすると辞書本文が確認できます。ただし、CDからの使用では、Full Entry検索がとてものろのろしていて、その間パソコンがどんな操作も受け付けなくなるのが印象的ですが、後述の方法でイメージディスクを作れば少しましになります。
CD-Word第二版は、イタリア語辞書を簡略化し、その代わりに研究社の中英和・和英を組み込んだもので、イタリア語辞書めあてに買った人間にとっては少し残念でした(初版のディスクを新版のソフトで使えたので実害はなかったのですが)。
この辞書はむしろ熟語辞典としての機能が高く、見出し語検索以外にもSubheadword(定義中の熟語の冒頭語)やLast Word in Compoundでの検索が可能です。
(スクリーンショット)

辞郎は、パソコン通信のニフティサーブのFENGC会議室でEDP(Electronic Dictionary Project)によって開発されている辞書が採用している形式で、その中心にある「英辞郎」は、語数約30万語の大辞典です。ただし、この「英辞郎」はニフティのFENGC以外からはダウンロード出来なかったのですが、技術評論社から「Hyper Dictionary 英語辞典」という名で、検索用ソフトとともに発売されました。この形式で書かれた辞書を読むマックのソフトはいくつかありますが、Jammingが対応していますので、ここでは他のソフトについてはふれません。関心のある人は味園慎一さんの英辞郎紹介ページを参照して下さい。
辞郎はテキスト形式の辞書仕様で、大まかには次の規則で出来ています。
そして、最初の二つの規則を守れば、Jamming2.5までは支障なく検索することが出来ます。
(98/03/23追加。ただし、辞郎形式の辞書は今後サポートされなくなる予定ですので、次のJammingユーザ辞書形式に再変換する必要があります。)
(1998年3月23日追加)さて、Jammingでは上述したように2.4.1からユーザ辞書が独自の形式に変わりました。これは、見出し語を■と改行で挟み、検索語は△▽で挟み、キーワード(条件検索語)は□□で挟み、後に▼をつけ、その後に本文を書く形式です。上述したように、Jammingの作者のホームページには辞郎形式の辞書をJammingユーザ形式の辞書に変換するソフトがありますので、そちらをご参照下さい。
Jammingユーザ辞書形式の羅英辞典(ラテン語の辞書)がこちらにあります(約1MB)。これはもともとはsetext形式で作られていたフリーの辞書データを、一旦辞郎形式にしてからJammingユーザ辞書形式に変換し直したものです。Cassellの小型Latin-English Dictionaryに準拠した、約1.5000語規模の辞書です。Stuffitで圧縮した後にhqx形式にしていますので、リンク先に、Latin.sit.hqxと名前をつけてテキスト形式で保存し、Stuffit Expanderを使って解凍して下さい。解凍後は、「ラテン語」フォルダにDATAとINDEXのフォルダが現れますので、任意の場所に保存し、システムフォルダの初期設定フォルダ内のJamming 2 PrefsのUserDic Aliasフォルダ(なければ一旦Jammingを終了して再び起動すると出来るはず、とJammingのマニュアルには書いてあります)にこの「ラテン語」フォルダのエイリアスをコピーすると使うことが出来ます。
辞郎用辞書に代表されるフリーの辞書データの良いところは、テキスト形式であるため、利用者が必要に応じて編集し、単語を付け加えたり、訳語を変更したり出来ることです。他方、その性質上、これらの辞書に言語学的な権威を求めることは出来ないでしょう。At one's own riskでの利用にならざるを得ません。
上記の辞書データは、Macromedia
Directorを用いたスタンドアロンの辞書ソフトの形に加工されて、Digital
Latin
Lexiconのページに置かれています。これもフリーウェアです。インターフェースは悪くなく、辞書を起動し、二文字以上打ち込むと、それに対応する辞書データがデータ表示欄に現れる、という仕組みです。打ち込んで調べる場合にはリターンキーを押さなくてよい分、私が加工したJamming版より簡単でしょう。但し、E-Textから検索するには、Jamming版の方が便利ですが。
ただ、問題点は三つあり、一つは辞書がモニターの中央に開いて大きさも場所も変えられないことです(右の図は長さの比でオリジナルの約2/3のサイズです)。ただ、『ぴあシネマ』のように、画面全体を占拠してしまうほどたちの悪いインターフェースではなく、他のソフトと切り替えて使うことは出来ます。この問題は、フリーウェアのNiftydragをインストールすることで半分解決します。これは機能拡張書類で、コマンド+コントロールキーを押しながら書類の任意の場所をプレスすることで、どんなウィンドウでもドラッグできるというものです。NiftyDragのホームページはは申し訳ありませんが御自分で探して下さい。gooでの検索で捜しだせると思います。
第二はインターフェースがマックらしくなく、コピーやドラッグアンドドロップをサポートしていないことです。辞書を起動するとメニューバーも消えてしまいます。但し、検索結果をアプリ終了時にテキストファイルに書きだすことは出来ます。
第三はユーザーが単語を書き加えることが難しいという点です。Jamming版の場合には比較的容易に、ユーザーはテクストファイルを加工でき、語彙を増やすことが出来ます。これらの問題は、ユーザー側では解決が難しいかも知れません。
マックのラテン語辞書には、他に、HyperCardスタックとして開発された商品版のHumanist Latin Dictionaryもありますが、インターフェース、スピード、語彙数ともに上記のフリーデータと比べて必ずしも優位とは言えないので詳しい紹介は止めておきましょう。ノートが作れること、語彙のレベルがついていることがやや優れた特徴かな?
Perseus2.0の紹介を見て下さい。
これは正確には辞書ではなくデータベースソフトです。一万点ほどの洋画、1000点以上の邦画について、製作者・出演者・あらすじ・監督などのデータを網羅したデータベースで、「ぴあシネマ」のCDROM版です。これは単品ソフトとしてもとても便利なものですが、しかし、440メガバイトもあるこのCDの中で、データベースとして必要なものは10に満たない書類であり、合せて20メガバイト程度でしかありません。こちらのページで『ぴあシネマ98』のCDからデータを抜きだしてファイルメーカのデータベースにしてしまう方法を述べていますので是非御参照下さい。
以上紹介した辞書のかなりの部分は、そのままハードディスクにコピーしても検索することが出来ます。しかし、CD-ROMからの検索が原則で、ハードディスクへのコピーは出来ない仕様になっているものもまだ多く残っています。
しかしマックではこれらの辞書をイメージファイルとしてハードディスク上にコピーでき、そのファイルをダブルクリックすることでデスクトップ上に簡単にCDのイメージを作ることが出来ます。そうした出来たイメージを、ソフトウェアは大抵の場合オリジナルのCDと区別できません。つまりそのまま利用できるのです。Windowsでは「CD革命」とか「ヴァーチュアルCD」とか言う名前の高いソフトウェアを買わねば出来ないことが、マックではAppleの提供するフリーウェアで出来てしまうのです。
そのためには次のソフトウェアの一方が必要です。
ShrinkWrap
3.0(以上)。これはシェアウェアです。ShrinkWrapの場合は、まずPreferenceを開いて、右上のSave disk image
files
asの後のCompressionをDiskCopyに設定すれば、上記の圧縮したイメージファイルが作られますし、noneに設定すれば、圧縮なしでファイルを作ることになります。
圧縮の比率ですが、CDによってさまざまで、電子ブックの場合6割以上圧縮されることもありますが、OED2の場合には2割も圧縮されないようです。
さて、これらイメージファイルは、ダブルクリックで展開してやらないとCD-ROMとして利用できません。この点に注意して下さい。
Disk Copyを使った圧縮方法について、より詳しくは、Jammingの作者によるページを参照して下さい。
でも、なぜハードディスク上での利用が望ましいのか? 簡単に利点を列挙します。
最初の点に関しては、たとえば連奏型CD-ROMドライブに期待する人もいらっしゃるかもしれませんが、辞書の場合、CD-ROMの切り替えの時間がとても実用性を持っていません。また、連奏型ドライブの利用は、頻繁にCDの出し入れが起きるため、高価なCD-ROMに傷をつける可能性が増えることも付け加えておきます(これで駄目になったCDを持っています)。
これらがCD-ROMから検索できないような仕様になっている大きな理由は、違法コピーの防止にあるのでしょう。実際、コピーしてもオリジナル商品より品質が劣化することがないディジタルな商品に関して、出版社が違法コピーに敏感になるのは良く理解できることです。ここでハードディスクからの利用法を書いたからといって、違法コピーを推奨するつもりはありません。
しかし、著作権法は、「私的利用のための複製」を著作物の所有者に認めており、それは著作権者にとっては権利の制限事項になっています。したがって、自分の所有するCD-ROMを、私的に利用するためにコピーすることには、(何が私的利用の範囲に入るかは別にして)法的に問題はありません。
他方、ソフトウェア製品の多くは、辞書を含め、「利用許諾」の契約という形を取っており、これが法的に有効な形で締結されているならば、著作権法よりも私的契約が重視されますから、その契約の中に「コピーしない」という条項がある限り、私的利用のためのコピーといえども契約上認められないことになります。
しかしながら、この「法的に有効な形」での契約が締結されているかどうかの判断は難しいようで、一般に店頭で販売されているような商品について、有効な「利用許諾」契約が成立していると言う専門家の意見には、出会ったことがありません。ただし、私はこの点については素人ですので、判断は差し控えます。
いずれにせよ、違法コピーをしないように自己責任で注意して下さい。