古典ギリシア語学習案内2011(初等文法を終えた後に)

ギリシア語文法をようやく終え、さて、何か一人で読んで見ようか、あるいは講読の授業を受けようかという人に、紙に書かれたギリシア語テキストを読むためのお手伝いです。

紙の辞書と文法書

初等文法を終えて、授業で、あるいは自分でギリシア語の文章を読む、って場合。ギリシア語のテキストは既に入手しているものと前提しています。

後は(1)変化形から原形を割り出して、(2)辞書で意味を調べて、(3)構文を理解して、(4)訳す。古典ギリシア語の場合訳読が大切。

(1) 変化形から原形を割り出す

(a) 専用の辞書があります。但し動詞だけだけれど。名詞や形容詞や代名詞は頑張って覚えよう。

N. Marione 著 All the Greek Verbs
Amazon.co.jpで2000円位。直リンは避けます。Amazonで検索して下さい。これは合成語が全く収録されていないのが欠点かなぁ。

(2)辞書を買う

入門辞典としてお薦めは、James MorwoodとJohn Taylor編のThe Pocket Oxford Classical Greek Dictionary。いちばん権威があるLiddell-Scott-JonesのGreek EnglishLexiconは初心者には大きすぎますし、その中型縮約版はやや英語が難解。

あるいは、図書館で勉強するなら、古川晴風 『ギリシャ語辞典』 定価42000円でしたか。中規模の図書館には大体あるはずです。

これらの辞典は、変化形も、不規則な場合には収録しています。

(3) 構文を理解する

文法の授業で使っている「古典ギリシア語入門」は良い本なのですが、学習用なので、体系的に整理されていません。以前は、初等文法を終えたら必ず田中美知太郎・松平千秋の「ギリシア語文法」(岩波書店)を買ってそちらを使うことになっていました。しかし現在はそれは絶版のようです。継続的な需要はあるのでそのうち再版されると思いますが、それまでは入門書の索引を参考にして下さい。同じ出版社から出ている高津春繁「ギリシア語文法」はとても詳しくて、初心者には却って使いにくいと思います。

(4) 訳す

最初はテキストを手書きにして写して訳すのが良いかなぁ。

パソコンを使って

さて、上の(1)と(2)は、フリーウェアのパソコン用辞書ソフトと著作権フリーのコンテンツを用いることも可能です。

頑張って紙の辞書で調べて、同時に変化を覚えて行った方が身につく良くつくんですが、そう言う私も長いこと紙の辞書とは無縁の生活をしているので、なかなか「辞書は紙に限る」なんて他人にも言えません。

ネットを使うのならばPerseus見てね、で終わりなのですけれど、Perseus遅いしネットにつながってないとだめだし、図書館でノートパソコンで下調べするのに使えない。で、最初は面倒でも次の手順で希英辞典をダウンロードし、セットアップして、自分のパソでギリシア語辞典が使えるようにしておきましょう。

コンテンツは上のLiddell-Scottの少し古いヴァージョンと、その中型版ですが、英語がやや難しいという難点はありますが、非常に優れた辞書であることに変わりはありません。

(a) EPWING用のフリーソフト(EBWIN)と、それに対応した著作権フリーの辞書データをダウンロードする。

この場合、辞書データの中に、変化形から原形を割り出す機能がついています。上記の(1)と(2)はこれ一つで可能。さらに規則動詞の変化にも対応しています。

EBWindowsのページへ行ってEBWin (Unicode版)をダウンロード(アップデートでファイルの場所が変わりますから直リンしません)。フリーウェアです。EBWINはUnicode対応版とShiftJIS版がありますが、ギリシア文字がきれいに出て欲しいので、ここはUnicodeに対応したEPWINGソフトを使います。同じページに両方のリンクがありますので間違えないように気をつけましょう。

次にEPWING for Classicsのページへ行きます。
ギリシア語、ラテン語辞書、古典辞書、シェイクスピアのデータなどがEPWING形式で配付されています。とりあえず関係あるのはギリシア語。Liddell Scottの大きな辞書とその縮約版のIntermediate Liddellのファイルがありますので、それをダウンロードします。初学者に必要なのはIntermediateだけかも知れませんが、大きな辞書も持っていた方が安心だと思います。ダウンロードのページはこちら。「希英辞典」の所から、ml-morph-allidxで始まるzipファイルと、lsj-morph-allidxで始まるzipファイルの両方をダウンロードしてください。最近のWindowsではzipファイルはダブルクリックで解凍できますので解凍したフォルダを適当なディレクトリに保存しておきましょう。マイドキュメントの中に「辞書」というフォルダ(ディレクトリ)でも作っておいて、そこにこのフォルダを移動すると良いでしょう。

次に同じページの、EBseries専用ファイルってところを見ます。ebseries-confで始まるzipファイルをダウンロードし、解凍します。これはすぐに移動しますのでデスクトップにおいたままで構いません。ebseries-confで始まるフォルダができるはずです。その中にはalternate.ini、CLSEPW.map、CLSEPW.plistの三つの書類があるはずです。

(b) ソフトウェアと辞書のセットアップ

(1) EBWinを起動します。
(2) ファイル→辞書の追加メニューを選択
(3) このメニューで、先ほど解凍した辞書フォルダ(lsj-morph-allidxおよびml-morph-allidxの名前がついたフォルダ)のそれぞれからCATALOGSのファイルを選択し、追加します。これで二つの辞書が追加されました。
(4) 一旦EBWinを終了します。
(5) ここからがやや面倒。コンピュータのC:\Documents and Settings\ユーザー名\のフォルダを開きます。(ユーザ名のところは自分のパソコンの名前になっていると思います)
(6) XPだとApplication Data、Vista、7だとAppDataのフォルダが見えれば次にすすみますが、見えなければ、エクスプローラーのそのフォルダのメニューから、「フォルダオプション」でフォルダを見えるようにします。
  XPの場合、フォルダからツールメニューを開き、表示タブをクリック、いろいろ現れるリストの中に「ファイルとフォルダの表示」というのがあって、そこの「すべてのファイルとフォルダを表示する」というボタンをチェックして「すべてのフォルダに適用」をクリックしてOKをクリックします。
  7だと、「整理」メニューを開き、表示タブをクリック、リストの中に「ファイルとフォルダーの表示」があって、そこの「隠しファイル、隠しフォルダー、および隠しドライブを表示する」をチェック、フォルダーに適用をクリックして出てくるダイアローグで「はい」をクリックしてをOKをクリックします。Vistaも似たような方法でしょう。
(7) XPだとApplication Dataフォルダの中にEBWinのフォルダが見えます。それを開きます。Vistaと7だとAppDataフォルダの中にRoamingフォルダがあり、その中にEBWinのフォルダがあるのでそれを開きます。
(8) そのフォルダのなかのalternate.iniというファイルを削除します。(a)でデスクトップ上に作ったebseries-confで始まるフォルダの中にあるalternate.iniのファイルをEBWinフォルダーに移動します。
(9) ebseries-confではじまるデスクトップ上のフォルダからCLSEPW.mapのファイルもコピーし、EBWinフォルダーの中にある辞書フォルダー(lsj-morph-allidxなどのフォルダ。ml-morph-allidxも使うのであれば両方のフォルダに)にペーストします。
(10) ようやくセットアップ完了。

(c) 単語の検索方法

この辞書は、前方一致でも後方一致でも検索できます。他、クロス検索、条件検索も可能ですが、いまいち使い方を私が理解していません。

また、ギリシア文字だけでなく、ローマ字表記でも検索可能です。パソコンでギリシア語を入力できるようにしなくても、ローマ字表記でギリシア語辞典が検索できるのは便利ですね。

ローマ字表記の場合、転記の規則はこちらを見て下さい。アクセント、無気記号、下書きのイオタは書かない。有気文字はhを使う。φ=ph, χ=ch, θ=th。ηとωはそれぞれeとoで大丈夫。それ以外には、κをcで、ξをxで示すのがやや独特です。υはyでもuでもですが二重母音のときにはau eu ou (u)です。