シャマラン 『ハプニング』

卒業論文でヒッチコックの『鳥』を扱った学生さんがいたので、ついでに借りた。続けて見た感想。映画で、劇でも本でもないけれどここに。

あまり不気味でも、ホラーの対象になりそうにもないものを対象にしてホラーを作る、ってのが『鳥』と『ハプニング』の共通の特徴だ。『鳥』は映画が匂わない、というメディア上の特徴に頼った場面が今回やや白けたが、それでも無理なく、鳥には不可能な暴力性へのエスカレートを描いている。キツツキじゃあるまいし、かもめやカラスが木製のドアを突き破るのは、そのシーンだけ見れば「なんじゃこりゃ」なんだけれど、それまでにガラスを突き破ったりしているので、むしろ怖さが先行する。

理由もなく突然自然が人間を攻撃し、その攻撃は突然止む、というのは「鳥」と「ハプニング」で同じなんだけれど、
(1)やっぱり動かない植物さんでは怖さが感じにくい。
(2)「植物が出す毒素が原因」という変な説明が最後に与えられているのがださい。
(3)テレビショーで「その説明は受け入れられませんね。同じことが別の場所で起きたら別ですが」とキャスターに言わせて、どんな落ちかわざわざ想像させることの意味が分からない。
(4)だいたい、原因が解明されてしまったんだから、みんな簡易毒マスクを持つようになるか、対抗薬が開発されるかだろうし、ラストは中途半端。
(5)ホラーの特徴だと思うのだけれど、「本当に怖いのは人間だ」のフェーズも中途半端。ゾンビもののようにもっと強烈にするか、「鳥」のように殆ど目立たなくするかでないと。「あ、このフェーズがやっぱり要るのね」の確認でしかない。スプラッタも中途半端。スプラッタ見せるならもっと笑えるように。ライオンさんのも草刈り機さんのも「スプラッタレスペクトしました」というメタメッセージが見え見え。
(6)最初が一番怖いのは損。いや、本当に冒頭は期待させたんだけれど。
(7)ぶっちゃけ、花粉症の恐怖を比喩的に描いた映画にしか見えなかった。

これから怖い季節がやってくる.。