森山未來主演 アトリエ・ダンカンプロデュース ロルカ『血の婚礼』

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とても楽しんだ。ソニンは役柄に比して童顔なように思うし、ダンスのリズムがやや和風に見えたが、俳優陣は真剣に取り組んでいたと思う。

ただ、おそらくは予算の関係(純粋な想像だが)なのか、音楽とダンスに厚みがなかったこと、充分な数の俳優を手配できなかったことが、やや盛り上がりを欠く結果に終わったのと、いろいろなカットのため、テキストの上で矛盾や意味不明な箇所が出てきたところが、やはり残念。

例えば、レオナルドの正体を母親は「精霊」というのか、狂言回しの男から聞くが、それだと事柄全体が母親の妄想になりかねない。ここは村人の女であるべきだし、海辺の親戚を舞台に出さないのに、花婿は結婚式のあと彼らについて語り、伏線になるが、最後の追跡の場面で彼らの名前を出さない。

追跡を促すときの母親の心の揺れ(大意「すぐに追いなさい。いや彼はおまえを殺してしまうかも知れない。いや、それでも追いなさい。」)は絶対にカットしてはいけないのではないか。(これ、ずいぶん省略されていたと思ったのだがヴィデオで見直すときちんと語られていた。うーーむ)

何もない空間や大きな布の使い方は、去年のTPTの『血の婚礼』のやり方を取り入れたのだろう。去年は布に色はつけていなかったけれど。(同じようなことは、後の『三文オペラ』でもあった。そちらの方は客層も重なっているだろうに。)

舞台を観ているときにはすなおに楽しんだのに、ちょっと辛口になったのは、観た後で原作を読み返してその圧倒的な美しさと力に打たれたからだ。また、昔アントニオ・ガデスの『血の婚礼』を観ていなかったら、ダンス場面ももっと楽しんでいただろう。そんなのと比較しては可哀想ではあるのだが。