燐光群『バグ』

赤旗の劇評はこちら。

美保純で見たかった。準備期間の短さを考えれば、西山水木は悪くない。けれど演出が美保純向けになされているような感じ。あの独特のけだるさがあるから、最後の狂気の場面が凄絶になるんだと思う。西山さんの雰囲気だと、最後はもう少し強弱をつけないと観ている方が冷めてしまう。

映画版を見ていなければもう少し不満は少なかったかも知れないが、映画版を超えるところが何一つ無いように思われた。アメリカでずっとピーターをやり続け、この人の人格の一部になってるんじゃないの?って思わせるようなマーティン・シャノンのピーターに比べると、今回のピーター役は全然物足りない。演出の緊迫感は、映画だからこそ出せるってのもあるかも知れないけれど、14インチのぼろブラウン管テレビで見たビデオに緊張感が負けていてどうするのよ。まぁ、相手はエクソシストとフレンチ・コネクションだからね。しかしこんな、誰がどう考えても絶対に流行らない映画を撮るんだな(主演女優自体が、多くの人がこの映画を「二度と見たくないと思うだろう」って誉め言葉として言うような類の映画だもの)。

パンフレットでも宣伝でも映画版のことに全く触れないのはあっぱれ。