東京乾電池『TVロード』

『赤旗』劇評はこちら

もともと卒業公演用の戯曲。31人の登場人物が幾つかのグループに分かれ、それぞれ小さな物語を紡いでゆく。

だから観客は、知り合いの役者の見せ場を見て、その小さな物語を楽しめば良い。

楽しめるのなら。

一つ一つの話は、どれもややリアリズムの枠が外れていて、統一した情景を思い描くのが難しくなっている。便利屋の二人は、結局登場しない客の依頼で、部屋の家具を駅前の公園に降ろすが、その設定の唯一の機能は、こうして舞台に登場したテレビとこたつを使って別のグループが室内場面を繰り広げることだ。リアリズムからの逸脱はちょっとしたスキットがそこでなされることしか正当化を持たない、というか始めからそうした正当化を必要としていなくって、一設定あたり大体三十分程度の、それもどの人物にも対等に台詞が割りふられる退屈な物語が並べられている。出演者の家族と友達向けの舞台。

途中で帰りたくなった。