9月3日 空港公団総裁への要望書

新東京国際空港公団総裁 黒野匡彦 様

平成14年9月3日

要望書

成田空港から郷土とくらしを守る会
会長 木内 昭博

 日頃から、私たち周辺住民の環境整備のためにお骨折りをいただき感謝しております。
 私たち、「成田空港から郷土とくらしを守る会」は成田空港建設が本格化した1971年3月より、31年にわたり、周辺住民の生活と権利を守るために活動してきました。
 さて、新総裁が就任したこの時期に当たり、下記重要事項について要望いたしますので、誠意ある対応をよろしくお願いいたします。

要望事項

1,「成田空港は軍事利用しない」との約束を必ず守ること
 成田空港建設中の昭和47年当時、現4000m滑走路南端に三里塚平和塔がありました。
 この平和塔が存在する限り成田空港は開港出来なかったのです。
 そこで、当時の運輸省と新東京国際空港公団は千葉県知事の仲介のもとに、日本山妙法寺と平和塔奉賛会に対し平和塔の移転を懇願してきました。
 このため、我々「成田空港から郷土とくらしを守る会」も含めた3者との度重なる交渉の結果、平和塔奉賛会は「成田空港の軍事利用は絶対に行わない事」、「周辺住民の生活と環境の維持に最大限努力する事」を条件に 平和塔を現在の場所に遷座する事に同意いたしました。
 この交渉の結果、昭和47年4月15日付けで、平和塔奉賛会と運輸大臣・千葉県知事・空港公団総裁の間で、『取極書』を取り交わし、その第3条で「成田空港の軍事利用は絶対に行わない。」事を約束いたしました。
 また、本会事務局長と空港公団総裁の間で、昭和47年9月20日付けで『交渉覚書』が取り交わされ、ここでも、「一、新空港は、純然たる民間航空のためのものであり、軍事利用させることはない。軍事施設と思われるものの設置も一切認めない方針である。MACのチャーター機問題についても約定どおり処理する。又、民間機覆先の原則は、新空港においても貫かれており、このため百里空域は、御要望どおり、北方に縮少して民間機との接触の危険がないようにする。」と明確に約束しております。また、これらの約束だけではなく、当時から「成田空港を軍事利用しない」ことは賛成派・反対派を問わず、周辺住民の共通の認識となっております。
 昨今、有事法制の問題と絡めて、成田空港の軍事利用が取りざたされていますが、これらの約束を必ず守るように要望いたします。

2,騒音算定方式を被害実態を反映するものに改めること
 暫定平行滑走路が供用開始された後の成田市の騒音測定で、一部とは言え、A滑走路の航空機の音と暫定平行滑走路の航空機の音を合算して計算したWECPNL値が暫定平行滑走路の音だけで計算したWECPNL値よりも小さくなることが分かりました。
 これは、どう考えても不合理で騒音被害を被っている住民の被害実態とかけ離れていると言わざるを得ません。
 本会は成田空港が開港した昭和53年7月1日に『研究資料第5部 成田空港における騒音軽減に関する五つの提言と参考資料』を発行し、「資料17 WECPNLの問題点」として、「WECPNLは被害との相関関係が十分立証されていません。」「WECPNLの算式では'騒音をほんの少し3ホン低くすれぱ飛行回数を100回から200回にふやしてもうるささは変らないという被害感覚からはとうていうなづけない結果がみちびかれます。このことは一方で、"増便しても指数が変らないのだから対策も変えなくてよい"という航空会社や運輸省、空港公団にとっては大変好都合な結果をもたらします。」と指摘しました。
 今回の測定結果はこの指摘が正しいものだった事を証明しました。
 世界ではWECPNL値を採用している国はほとんどなく、国際民間航空機関(ICAO)も議定書から削除しています。
 騒音の評価単位を被害住民の感覚に合ったものに早急に改めていただくよう要望します。

3,暫定平行滑走路のさらなる北延ばしは行わないこと
 昨今、暫定平行滑走路をさらに北に延長して2500m滑走路にする案が取りざたされています。あなたも就任後のインタビューの中で「2,3年の内に結論を出したい。」と述べたと伝えられています。
 現在でも、北に延ばされて建設された暫定平行滑走路のために、予期せざる騒音に悩まされている住民が成田市・下総町・茨城県などに数多くいます。
 これを、さらに北に延長することになれば、この地域の住民は飛行高度がさらに低くなる事による騒音の増加と、運航が開始される騒音の大きいジャンボ機の騒音に悩まされることになります。
 さらに、北に延長する結果、百里空域との間隔が短くなり、空域が狭くなることによる安全上の問題も発生することが予測されます。
 これらのことから、暫定平行滑走路の再度の北側延長は行わないよう要望いたします。

4,環境基準の早期達成と、未達成地域への民防対策を実施すること
 成田空港周辺の環境基準達成率は達成期限を19年過ぎた今も35%未満で推移しております。環境基準では、「達成できないときは屋内で環境基準が達成されたと同等の対策を実施すること」になっております。
 環境基準の1日も早い達成を要望するとともに、未達成の地域で民家防音対策が実施されていない世帯については、直ちに民家防音対策を実施しするよう要望いたします。

5,周辺対策をより一層充実すること
 現在、国土交通省を中心に新東京国際空港公団の民営化の議論が進んでいるようです。
 新東京国際空港公団が民営化するにしろ、しないにしろ、周辺住民の関心は周辺対策の充実にあります。
 現在までのところ、あなたのインタビューも含めて空港公団関係者の話は「民営化しても周辺対策を低下させるようなことはありません。」と言うものです。
 しかし、周辺住民の願いは『現状維持』でなく、『より、充実した対策』なのです。
 3空港の上下分離民営化の議論の中で、国土交通省は「成田空港は陸上空港で建設費が安かった。他の2空港は騒音対策のために海上空港にしたことにより、建設費が高くなった。この不公平をなくすために成田空港に応分の負担をしてもらわなければならない。」と言っています。
 周辺住民から見ると、「我々の犠牲の上に建設費を安くして、関西国際空港や中部国際空港に金をまわすのか。そのような金があるのなら、民家防音区域の拡大や周辺対策交付金の増額や環境基準の達成など、もっと、周辺対策を充実してくれ。」と割り切れない思いが吹き出てきます。
 より一層の周辺対策の充実を要望します。

以上

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