レイクス高度2段階化問題の技術面公開質問状と回答と批判
3月3日に県から回答が届きましたので、質問事項の下に回答を茶色の字で追加します。
県からの回答に対する批判を青字で追加しました。
千葉県総合企画部空港地域振興課長 高木健一様
平成18年2月13日
成田空港から郷土とくらしを守る会
会長 木内 昭博
質 問 状
レイクス高度引下げに関し、主として技術面の質問状を提出します。2月8日の話合いの際、貴職は質問には「誠実に対応します」と回答されました。回答を具体的にいただけるように、質問します。
ご多忙中でしょうが、ご回答は2月21日までに返送して下さるようお願い致します。
A 航空機騒音の影響について
航空機騒音の強さや回数、及び望ましい環境値について、関係者の相互理解に基づいて議論を進めたいので、次の細目ごとにご回答をお願いします。
1 70デシベルを超える騒音は、会話・睡眠などに障害を起こすことは各種調査で明らかです。
新幹線騒音の限度は70デシベル、騒音規制法の限度も工業地域であっても70デシベルです。
航空機騒音も70デシベル以下が望ましいと考えますが、貴職の見解を伺います。
なお佐原周辺は夜間にかけ数十機が70デシベル以上で飛行することを前提に伺います。
<A-1について 航空機騒音に係る環境基準は、専ら住居の用に供される地域においては70WECPNL、それ以外の地域であって通常の生活を保全する必要がある地域においては75WECPNLと定められており、行政が目指す目標値であると理解しております。>
質問の主旨は騒音の大きさ(デシベル値)です。県担当者は回答を避け、国の常套手段であるWECPNLに追随しています。
2 4000フィート騒音値について、国は本会の指摘後に平均69.0デシベルと訂正しました。
千葉県が木更津市畑沢の実測値を精査した結果から4000フィート騒音値を推算すると、ボーイング747は平均71.7デシベルです。この数値を県の見解としてお認めになりますか。
<A-2について 木更津市畑沢の直上機の実測値は、高度3000フィートで73.8デシベルでした。>
回答に間違いがあります。県の元資料は高度を「〜3300フィート」と記述していますが、これを「3000」と低く記述し、その上簡単な4000フィートの推算も避けています。本会推算値は検討資料に記述。
3 県資料(平成17年11月7日付け)に南風運航時の着陸機数が日平均193と記載されています。いずれの地点の資料か出典を教えて下さい。
<A-3について 財団法人成田空港周辺地域共生財団が公表している「平成16年度成田国際空港周辺航空機騒音測定結果(年報)」です。>
地点名を答えていません。
4 騒音機ボーイング747は大型民間機の中でも騒音が高い部類です。この高騒音機は現在一日平均159機、10年後一日平均146機です。この数値の確認を求めます。
<A-4について 財団法人成田空港周辺地域共生財団が公表している「平成16年度成田国際空港周辺航空機騒音測定結果(年報)」では、着陸機数106機でその内北側からの着陸機数は51機です。成田国際空港株式会社が平行滑走路整備に係る2015年度の騒音予測コンターを求めるために想定したダイヤでは、着陸機数146機ですので北側からの着陸機数は73機になると思われます。>
「その通りです」だけ答えてもらえばよいのに、南北に分けた平均数を用い“機数を少なく見せよう”としています。南風が終日吹く日は全機が北側から着陸します。県は、木更津については季節変動が大きいので、最も着陸機数の多い場合を強調して国と交渉しました。佐原については、全く逆の態度。平均の魔術は国も良く使う小手先の弁解手法です。
5 レイクスポイント付近のうるささ指数を、現在と変更後及び2015年度値で示して下さい。
この指数について、国に資料の提供を求め説明を受けていますか。
<A-5について W値としては把握しておりませんが、国からレイクスポイントの飛行高度変更後の騒音は平均約2デシベル増加して67.6デシベルになると説明を受けています。また、最もレイクスポイントに近い常時測定局の手賀組新田局の平成16年度のW値は、60.5です。なお、千葉県からW値の提供を求めておりません。>
羽田問題で国は68WECPNL線を提示。関西空港では65WECPNL線を提示しています。レイクス問題では要望もしていないことが明らかになりました。
6 前項のうるささ指数の日最大値を、現在と変更後及び2015年度値で示して下さい。
堂本千葉県知事は、千葉県環境影響評価委員会の答申を受け、「WECPNLが最も大きくなる条件時の1週間及び1日最大値の予測・評価を行うこと」と国に意見書を提出しています。
本件について羽田対応と同様の検討を国に求めましたか。
<A-6について 千葉県からW値の提供を求めておりません。>
羽田では「最大値」を求め、佐原レイクス問題では要望しないことが明らかになりました。求めない理由も質問すべきでした。
7 国にコース別の離着陸別飛行回数について、資料提示を求めましたか。レイクスに東、南東、南方向から到着する割合は、それぞれおよそ何%ずつか示して下さい。
羽田の環境影響評価準備書への意見について国は「木更津市、君津市上空の飛行便数」の試算結果を回答しています。
<A-7について 国から、平成17年8月の南風時の着陸飛行コース実績で、九十九里方面から概ね60%、銚子方面から概ね25%、鹿嶋市方面から概ね15%であったと聞いております。>
会の検討資料は5、3、2割と推定。ほぼ一致していることが確認されました。千葉県側の便数が8割程度となります。
8 国は、「全機材が4000フィートと仮定(平成15年度データで69.0デシベル)しても昭和60年当時の騒音(68.9デシベル)と同程度」と説明しています。開港年の佐原市公害交通課測定資料から、千葉県の精査方式と同じように直上データを集計した平均騒音値は66.0デシベルでした。
一方、ボーイング747の騒音は千葉県の精査結果から4000フィートで71.7、6000フィートで68デシベルです。日平均発着回数は開港時の167機から平成17年度516機に増加し、今後644機まで予定されています。航空機騒音の最大値は平均値より10デシベルほど高くなります。70デシベルを超える騒音区域の拡大や回数増大は明らかです。
佐原付近の環境は悪化すると考えられませんか。見解を伺います。
<A-8について 高度変更によって佐原付近の騒音値は増加すると考えられますが、国から環境基準である70WECPNLには達しないとの説明を受けております。航空機の騒音は、機材の低騒音化やICAOで定められた騒音基準値を満たさない航空機の乗り入れ制限等により、改善されていくと思います。また、成田国際空港株式会社が昨年の10月に導入した低騒音の航空機ほど国際線着陸料が安くなる騒音レベル別の料金体系の結果に期待しているところです。>
ここでもうるささ指数WECPNLに逃込みました。うるささ指数は確かに現在の一つの基準です。しかし問題があり環境省で見直し作業が進められている評価法です。ですから、うるささの原点である騒音の大きさと回数について質問しましたが、回答がありません。
羽田問題で千葉県の取った態度と180度異なります。県資料の年間平均WECPNL平成14年度固定測定局データは木更津市畑沢66.4、貝渕66.2、大久保64.6、君津市坂田52.3、糠田60.8、浦安市高洲60.3、当代島54.3、いずれも環境基準以下の低い地域についても、千葉県は頑強に国と交渉しました。
B 「混雑緩和」について
高度引下げの理由は「混雑緩和」ですが、国の説明が不十分で状況資料もなく対応も不明確です。県民保護の立場にある千葉県の担当部局は、どのように対応されているのか、また把握している資料があれば、以下の細目についてお教え下さい。
1 恒常的な混雑は朝日新聞が「午後」、本会が「午後1〜5時」と指摘しています。
混雑時間帯とその状況について国からどのような説明をうけたのか、内容を示して下さい。
県は混雑時間帯を独自に調査しましたか。調査結果があれば回答に添付して下さい。
<B-1について 国から、上空空域における運航の実態は、着陸における混雑状態とは必ずしも一致していない。上空空域の混雑状況に応じて水平・垂直の間隔を駆使し空域を最適に使用することが管制業務に求められているとの説明を受けております。>
回答そらし質問に答えていません。関西空港資料では詳細な、遅延資料が国から大阪府に示されています。
2 年度別の遅延資料(定義・便数・割合)の提示を国またはNAAに求めましたか。
要望し資料の提出を受けていれば、その資料を回答に添付して下さい。
<B-2について 国から、空域における遅延資料はないと聞いております。>
主旨は「混雑、遅延」を抽象的に言うだけでなく、関係者に納得させる資料の提出です。誰でも分る主旨を、あえて「空域の遅延資料」に限定して回答をしてもらえませんでした。
3 7年前に運輸省は「面的飛行を導入すれば混雑を回避し年間22万回まで運用可能」と説明しました。今回説明と矛盾します。この説明をどう判断しますか。
“当時の判断は間違っていた”とお考えですか。7年前の説明と今回説明についての違いについて、見解を説明して下さい。
<B-3について 国土交通省から、利用者はより効率的な運用を求めており、実際に航空交通量が増加してきた中で明らかになった運用上の問題点を改善するため、高度差を活用した立体的な空間利用が必要となったので今回の提案に至ったと聞いております。>
質問に対する回答になっていません。「効率的な運用」も「航空交通量の増加」も、国は7年前考慮していました。運用僅か2年19万回弱で「問題点が明らかになった」とは、お粗末すぎます。関西空港では、国は大阪府に対し、予想が異なった理由を詳細に述べ「申し訳なく思っています」と、すっきり回答しています。大阪府の48項目の質問は、核心をつく内容です。千葉県としての判断を質問しているのに、独自の判断が無く、国の見解に追随するのみでは情けない。千葉県は大阪府を見習うべきです。
4 レイクス高度4000フィートは「機材の約半数」と提案されています。「機材の約半数」は「運用全時間帯使用」が前提でなければ説明がつきません。
この点を国土交通省に質しましたか。その回答内容を明らかにして下さい。
貴職は、4000フィート全時間帯使用を了承されるのでしょうか、見解を明らかにして下さい。
<B-4について 国から、航空機の前後に関係機がない場合は従来どおりの運用を行い、常時4000フィートを使用することはないと聞いております。>
「前後に関係機がない」とは、どのような場合ですか? 4000フィートを使用した場合「前後に関係機があった」とする説明資料を住民に提示できますか? 限定使用の担保まで明らかにすべきでしょう。
時刻別の関係機有無の平均状態を、航空ダイヤ及び着陸実績から説明することを求めます。
C コース設定について
貴職も「高度が下がれば騒音は増す」「6000フィートが維持されることが望ましい」と発言されました。この点の検討や対応について伺います。
1 国の2層提案は 年間発着23.53万回まで混雑を回避し運用可能なのでしょうか。それとも、当面の措置だけで、数年後には別の方式になる可能性もあるのでしょうか。国から受けた内容を明らかにして下さい。
<C-1について 国から、到着機間の間隔を確保し、交通量をより効率的に処理するため、現時点で必要であると説明を受けています。>
暫定B滑走路供用前の運輸省説明は「面的運用で22万回まで可能」でした。回答がいう「現時点」とは今回の提案が「22万回あるいは23.53万回の時点の処理は検討していない」ということでしょうか? とすると、今後2〜3年ごとに泥縄式に変更していくのですか?
2 7年前「面的運用で年間22万回まで対応できる」と国は説明しました。現在約18万回で変更することに「国の提案は不安定で信用できないものなのか」と不信感が生まれています。
僅か2年余の面的運用で対応できなくなった理由も不明確です。
貴職の見解を伺います。
<C-2について B-3の回答と同じです。>
千葉県の担当部局は、県民の不信感を払拭し、国と調和をとる責務を放棄しないで努力して下さい。
3 面的運用は、「混雑緩和」が目的で導入されました。緊急事態に標準経路を外れることは当然ですが、定常状態で2層化の新方式にすれば、面的運用は廃止するのが筋です。
国の説明図には、面的運用が残っていますが、国に確認された内容を明らかにして下さい。
<C-3について 国から、より効率的な運用のため、引き続き面的運用を行なう必要があると説明を受けています。>
面的運用は、結果として騒音をばらまいています。「より効率的」という説明に追随する姿勢は、友納元知事が“騒音を狭めて対策を”とした千葉県伝統の環境方針の大改悪です。75WCPNL未満の騒音下で苦しむ住民のことを考慮すれば、高度引下げと面的運用を併用する大いばりは許されません。例えば「午後1時から5時まではレイクス4000フィートも使用するが、他の時間帯は現行もままレイクス6000フィートの面的運用」という提案なら、共生を目指して協議にも入れます。大空は運航側の独占物ではありません。
4 貴職も「6000フィートが望ましい」「その方法も検討したが」と述べられました。どのような検討だったのか具体的に説明して下さい。
<C-4について 面的な運用を拡大することにより解決できないか検討しましたが、計器進入開始点と百里空域の制約から、水平方向の運用改善で対処することは現実には困難と理解しています。>
具体的な説明を求めましたが、どのような「制約」=百里空域との間隔が何海里だから困難なのか? 面的運用が幅10km以上に広がっている実態をみれば、抽象的な回答だけでは住民を納得させるものになりません。
5 航空関係者の中に、ワーフノースアライバルを活用し混雑緩和が図れないかという意見があります。この意見について見解をお聞かせ下さい。
<C-5について 国から、ワーフノースアライバルは、百里空域を通過するルートで日常的に使用することは現実として困難と説明を受けています。>
「百里空域を通過する」と言うが、上下の安全間隔を確保した上で飛行経路は設定されています。羽田空港の航空機も横田空域を通過しています。ワーフノースアライバルは、臨時の限定された飛行経路ではありません。それとも「日常的に使用困難」とは、“戦闘機が指示された空域を飛び出し民間機をおびやかす”ことを千葉県当局が認めるのですか?
6 国の説明に「レイクスからB滑走路への着陸は高度処理に余裕が少ない」と記述されています。しかし、7年前に国は「レイクスを東へ移設し国際基準の最適降下率8%にする」と説明しています。同じ国の説明で違いがあります。
貴職はどのように国に質し理解されましたか。
<C-6について 国から、8%は最大値であり高度処理に余裕が少ないと聞いています。>
8%が最大値であっても「国際基準の最適降下率」です。「高度処理に余裕が少ない」と言う国の説明に疑問も示さず調査もしない回答には驚きます。本会は複数の操縦士に状況を聞きました。「操縦がきつくなるのは、レーダー誘導で指定経路より内回りの近道を指示されると降下する勾配が強まるため」「標準の指定経路ならレイクス6000フィートからの降下は問題が小さい」ということでした。
7 国の飛行断面の説明図は、レイクスからパーチとバーディまで、水平飛行区間なしの斜め滑降を示しています。通常着陸機はILSのグライドパスを水平飛行で下からキャッチします。現在のAIP指示もそうです。変更後の指示は、水平飛行をしない方式になるのか調べましたか。
レイクス4000フィートから8%以下で降下し1800フィートで水平飛行すると、成田管制空域の下面を突き抜け百里管制空域の上面に接する危険があります。標準経路より北にふくらむほど危険性は増します。このことは、レイクス4000フィートを採用することにより発生する安全上の問題ですので充分調査の上回答して下さい。
<C-7について 国の飛行断面の説明図は、一般の方に分かり易いように模式的に描かれたものと理解しています。実際の運用としては、ILSのグライドパスに会合する部分は水平飛行を行なうとのことです。国から、管制官がレーダー管制により常に監視しているため、安全性に関して問題はないと説明を受けています。>
外国機で模式図のような飛行をする実例があるので質問しました。この点についても、本会は複数の操縦士に状況を聞き、「指示された位置で2800及び1800フィートを守って飛ぶ」ので問題はないと理解しました。県の説明は「レーダー監視」だけですが、飛行方法を指示する航空路誌が安全のベースにあり、操縦士もこの指示に従って安全飛行を行っています。
8 国の着陸断面図は、レイクスからパーチ・バーディ間が直線で結ばれています。このような一定角降下方式は試用段階で採用できない機種もあると聞いています。通常ILSのグライドパスには水平飛行で会合します。その場合レイクス4000フィーから8〜6%程度で降下すると成田管制空域の下面2800フィートを突抜け百里管制空域の上面1800フィートに接する危険が考えられます。実際の飛行コースが指示された標準経路から北にずれる程、この危険性が高まります。
レイクスからバーディ間の飛行方式と安全性について説明して下さい。
<C-8について 国から、管制官がレーダー管制により常に監視しているため、安全性に関して問題はないと説明を受けています。>
この項は、質問者の手違いで前項と同じです。
9 本会の提案図は8日に手渡しました。現レイクスを東西に2分割(間隔4海里)し、これより約10海里手前から2層化する試案です。この試案の致命的な欠点があれば指摘して下さい。
<C-9について 具体的な航空管制に関することなので、所管する国土交通省に聞いたところ、「様々な検討をした結果、今回の提案が最適である。」との回答でした。>
本会は具体的な試案を提出し「致命的な欠点があれば」と指摘を求めました。しかし、欠点の指摘はありません。と言うことは、本会の試案に「致命的な欠点がない」ことを千葉県担当者が認めたことになります。
県は「国は、様々な検討をした」と述べています。とするなら、様々な検討の中には、平面2経路案・4000フィート使用条件、上下2層高度も7000と5000フィートとするなどが含まれているはずです。本会は騒音の少ない別案の提示を求めています。羽田再拡張問題で堂本知事は、複数案の提示を国に求めました。「様々な検討をした」結果だけでなく、検討内容の公開を県は国に求め関係県民に明らかにするべきでしょう。
以上