「平行滑走路北伸整備事業に伴う環境とりまとめ」についての意見書


成田国際空港株式会社 エコ・エアポート推進室 様


成田空港から郷土とくらしを守る会
2006年8月10日


 本会は昨年11月17日に「環境影響調査計画書についての意見書」(以下、「計画意見書」とします)で貴社の「環境影響調査計画書」に詳細な意見を表明致しました。
 今回公表された「平行滑走路北伸整備事業に伴う環境とりまとめ」(以下、「とりまとめ」とします)については、本会の「計画意見書」とかなりの点で食い違いがあり、不十分なものと考えます。
 今回はこの中でも特に重要と考える2点について意見を述べます。

1 航空機騒音についてもっと幅広い検討と対策を

 本会は「計画意見書」で空港による最大の環境破壊となる航空機騒音について、「もっと範囲を広げて影響と対策を検討すべき」と指摘しましたが、今回の「とりまとめ」でもこの点は考慮されていません。
 WECPNLについては前回の「計画意見書」でも指摘しましたように、住民の被害感覚とは合致していない、問題の多い評価単位です。
 しかし、現行の環境基準騒防法騒特法がこの単位を使っている事から、ここではWECPNLを使って意見を述べます。
 今回の「とりまとめ」においても影響や対策が全て75WECPNL以上についてのみ書かれています。
 しかし、航空機騒音の被害は75WECPNL未満の広範な地域にも及んでいます。前回の「計画意見書」でも指摘したように、騒音が65dB以上になると睡眠などに影響が出る事は色々な研究結果で明らかにされています。70WECPNL程度の地域では機種や飛行形態によって騒音が90dB近くになる事もあります。
 このような状況を踏まえて、国では「航空機騒音に係る環境基準」を定め、「専ら住居の用に供される地域」の基準を「70WECPNL」と定めています。
 この昭和48年12月27日に告示された「航空機騒音に係る環境基準」で成田空港周辺では「10年以内の達成」を求めています。
 この期限から20年以上も経過した現在でも成田空港周辺の航空機騒音に係る環境基準達成率はほとんどの年が50%未満で推移しているのが現状です。
 今回の「とりまとめ」ではこの環境基準の達成時期や達成するための方法について全く触れようとしていませんし、騒音予測コンターも75WECPNLまでしか提示されていません。
 周辺住民の苦しみを考えるならば、少なくても70WECPNLの予測コンターを示し、この地域についての航空機騒音の影響・環境基準の達成時期・騒音対策について「とりまとめ」の中で明らかにすべきものと考えます。

2 SARSや鳥インフルエンザなどの防疫態勢について

 「計画意見書」でコレラなどの伝染病に対する防疫態勢について検査を徹底するよう、意見を提出しました。
 これについて「とりまとめ」では「現在も実施しているし、外部に流す段階では殺菌して流しているので、心配ない。」との事でした。
 しかし、地球の温暖化が進むにつれて日本も熱帯化し、マラリア・天狗熱・西ナイル熱などの感染症ウイルスを持った蚊などが侵入する危険が増えています。周辺地域住民いとっては心配な事です。
 また、海外で重症急性呼吸器症候群(SARS)や鳥インフルエンザに感染した人が成田空港に到着する可能性も否定できません。
 「計画意見書」でも書きましたが、韓国では今年に入っても到着航空機の汚水検査でコレラ菌が複数回検出され、菌が検出された航空機で到着した乗客に対し追跡調査と注意喚起が行われています。
 成田空港では1月2日にコレラ感染者が見つかっていますが、体調が悪くなったための治療により発見されたもので、汚水検査で発見されたものではありません。韓国で行われているような防疫体制が成田空港にも求められていると考えます。
 これら防疫業務は、成田国際空港株式会社の仕事ではなく、厚生労働省の仕事と考えられますが、空港運営管理者として、監督官庁とも相談して、もっと徹底した防疫対策を取る必要があると考えます。


以上

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