観測方法


 私の小惑星による掩蔽現象の観測方法を紹介します.

 基本的にはCCDカメラによる流し撮りです.
 当初,勤務先の望遠鏡にI.I.(イメージインテンシファイヤー)を取り付け,ビデオで記録する方法をとりましたが,次の理由でその後は流し撮り法に切り替えました.

 1.勤務先まで出かけるのが面倒...夜中などにわざわざ出かけるのは大変.自宅が一番
 2.セッティングが面倒...あちこちから機材を搬入,搬出しなくてはならない
 3.思ったほど暗い星が撮れない...屈折,口径20cmのためI.Iを付けても10等星位が限度
 4.後処理が面倒...時刻決定などに手間がかかる

 要するに「面倒」の一言からです.

 新天体等の迅速な確認のため,家の望遠鏡はいつでもすぐに撮像ができるように,CCDカメラはピントを出した状態で付けっぱなしです.従ってCCDによる流し撮りは空さえ晴れていれば,何時でもすぐに用意ができます.

 1.対象となる星を画面の東隅に置く
 2.追尾モーターの回転を止める
 3.数秒経ってからCCDの露光を始める

これだけです.注意するのは露出時間の決定と,いつから露出を開始するか,その時刻の決定だけです.焦点距離とCCDカメラのチップサイズがわかれば,その中を星が日周運動で移動する所要時間はすぐに求められます.ちなみに私の現行システムでは焦点距離約1500mm,赤経方向13.8mmのST-8ですので,露出時間としては90秒としています.露出は事前に求めた予報時刻をほぼ中心に置き,おこなっています.
 明るい星の場合は,ブルーミングでツノが出ないように適当なフィルターを使います.
 撮像後は,ダーク画像,フラット画像の補正をおこない,流し撮りした光跡の光量変化から現象のあるなしを判定します.1等近い減光幅があれば,目視で充分に光量変化がわかりますが,ピクセル強度をトレースし,現象の起こった時刻,継続時間を求めます.減光幅の小さかった1999年9月26日のPallas食では,目的星をはさむ,縦に8ピクセルほどの強度変化を調べて現象を確認しました.

 この方法の利点
 1.手軽(記録,解析)
 2.客観的なデータが残せる
 3.薄雲通過などがあったかどうかを,画面中の他の星の光跡から判断できる

 一方,この方法の欠点としては分解能の低さが少しあげられます.
 もちろんこれは撮像系の焦点距離,CCDピクセルサイズにもよります.私のシステムでは現在露光開始,終了時刻を秒単位でしか記録できません.
 一方,ピクセル分解能は焦点距離1490mmですから,ST-8の9μm画素で1".2,18μmビンニングで2".5となります.1秒間で15"ですから継続時間の記録精度としては,そう悪いものではありません.
 地球近接小惑星の撮像の時にも問題になりましたが,時刻精度の向上とその記録が今後の課題です.
 また,画像上あまりに星が密集してしまうと,光跡が重なり処理ができない or 難しくなる可能性があります.


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