KENWOOD L-D1  Pickが昇天で焦点合わず

酷暑の中、店に通い続けていました。
「お客さんも意地だね」
「かわいそうだから譲ってあげるョ」

「暑い中、シツコクご来店ありがとう」の価格でした。
安いだけあって、サイドウッドは剥がれあり。
前ユーザーはかなり酷使した感じです。


久しぶりの緊張感。
ドキドキします。
さっそく内部を見ましょう。

CDを逆さにセットする「倒立メカ」です!
さらに自分で重りを置く珍しい方式です。
ほほ〜、初めて見たよ!
P社のターンテーブル式とは違うね。
重りがす〜っと沈んでCDをクランプします。
そしてターンテーブルにピタッと吸い付きます。
チャッキングのミスもありません。
ものすごい高級感です?!



内部は3つの部屋に分かれています。

「電源部」には3つのトランス。
デジタルとアナログ。
小さいのはディスプレイ駆動用です。
待機用も兼用しています。


安定化電源です。OPアンプとトランジスタを使った方式です。
±5V ±8V ±14Vです。
値段以上の作りでしょうか。



読み取りメカです。
CDの上を覆いかぶさるように動きます。
クレーンでピックを吊ってる感じでしょうか

直接レンズを見ることはできませんが、
ほこりには強いでしょうね。



ここまで分解掃除。
組み上げたら、動かなくなりました!
キョエー、
CDを読みません。

何回やってもビクともせず。
自己破壊だあ(>_<)
店の人が言ってた言葉を思い出します。
「中々良い音してたよ」
まだ聞いてないんだけど。

ここは冷静にもう一度分解することに。
何とかして「ピック」までたどり着かなくてはなりません。
写真がそれです。
ちょっと無理のある作りです。
配線がうねっています


虫メガネで細かく見て行きます。
なんと、配線が切れてる!
アクチュエーターを駆動する部分です
これが切れるとフォーカスとトラッキングが効きません。


前ユーザーの酷使で、弱ってたのでしょう。
どうやらとどめを刺したようです。
しかしこの設計は良くないねえ。
フレキケーブルの強度を無視してます。



そこで・・・
こんなん考えました。

かっこ悪い!
インチキ修理だ。
スライドしてるうちにまた壊れるでしょう。

やっぱりピックアップを探してこなければなりません
型番は下記です。

調べてみると、SONYのポータブルプレーヤーと同じものらしいです
KENWOODさん、ちょっとなめてませんか>
多分、薄型はこれしか無かったんでしょう。
まあこっちはラッキー。
さっそく車を飛ばてHOへ。

1軒目 なし  まあ最初から見つかるわけないわ。
2件目 なし  ガマンガマン 腹減ったなあ 松屋で牛丼喰おう
3軒目 なし  おいおい
4軒目 なし  疲れで目がショボショボしてきた
5件目     ここが最後だ! エイやで乗り込む


D-335というヤツです。
ピックの形を吟味して捕獲。
「再生しない525円」でした。

こんなにHO巡りしたのは久しぶり。
疲れました。
しかし最近、臭めのジャンクが多いですね。
値段が微妙で他には手を出さず。
ピックは「KSS-331D」となってましたが
形状は全く変わらず。
ドナー提供させてもらいました。
これでちゃんと動くようになりました。
以上 終わり・・・





いやちょっと・・・
せっかくだから、もうちょっとちゃんと直せって!
新品に交換してサッパリさせる。
SONYのいつものサーボスステーションに行きました。
全国で在庫が2個のみ。
KSS- 331A(純正) → 331D(HOで捕獲) → 330A(サービス購入)
全部一緒のようです。



調整をします
本体側面に半固定抵抗があります
RF信号 FE信号 TE信号なども取り出せます。

・RF信号 → ピックのフォトダイオードが受信した信号
・FE信号 → フォーカスエラー信号
・TE信号 → トラッキングエラー信号

・フォーカスサーボ  → レンズを上下してピントを合わす
・トラッキングサーボ → レンズを左右に動かしてライン(ピット)を追いかける
・スレッドサーボ    → ピックアップ自体を動かしてラインをトレースする
・スピンドルサーボ  → CDの回転を制御する


オシロでアイパターンを出します。
その信号をジッターメーターにも入力します。
新しいピックはレーザー出力が大きいのでアイパターンも大きく描けます。
キレイでボケなくなるように調節します。
ジッターメーターも見ます。


キレイに見えています。
これが良い例です


こちらは滲んでボケ気味。悪い例です

はっきり言って市販のCDでもひどいのがあります。
プレスがいい加減なのか。
これを見ると分かります。
良いものはジッターも少なくアイパターンもキレイです。
偏心しているCDも一発で分かります。
自分で焼いたCD-Rの方が良いなんてこともあります。

ですので調整は難しいです。
どれに合わせるか。
カセットのアジマスみたいです?



調整はいったん終わらせて、再び内部を見て行きましょう。
こちらは下から見た写真です。
真ん中がCDメカです。

RF部やDAC部もあります。


モーターはこんなに大きい。
レーザーディスク用だそうです。
トルクが大きいので、
ターンテーブルを重くして回転ムラを吸収するように作ってあります。
これが高級感につながっています。

ピック移動用の歯車です。
歯付きベルトを使っています。
ギヤ鳴りが気になります。


今度は、
回路を追っていきましょう。
こちらがDAコンバーターです。

TDA1547のダブルディファレンシャルです。



背面には、

ということで「DAC7」になります。



デジフィルはこれ

どこかのメーカーにクリソツです。



ここからが違います
DACからの出力をこんな基板にぶち込んでます。
バッファアンプのつもりでしょうか。
どう見てもパワーアンプです。
実際、基板のシルク印刷に「POWER AMP」って書いてあります。
回路は良く分かりませんが、
LAPTトランジスタなど使っています。
終段は2SD2012/B1375のプッシュプルです。
0.47Ωの
エミッタ抵抗なんぞも付いてます
さらに発振防止用の
コイルも
0.1Ωの駆動力だそうです。
音色はここで決まっている。



最後にもう一つ特徴。
大きな基板が。
ピックのアクチュエーター駆動用です。
これで小さいコイルを動かします
ディスクリートでパワーアンプ化してます。
さらにピック移動スレッドモーターも。
過剰設備です。
意味あるんかい?
容易じゃないね。



ということで紹介は終了
一方、調整はもう少し必要なようです。
当方はプロでなくサービスマニュアルも無し
自己流でやっています。
笑っていただくのは結構ですが、修理される場合は
自己責任でお願いします。


せっかくです。
音を聴いてみましょう。
おおっっと、
DAC7の予想を大きく裏切られました。
お約束のスムーズサウンドは一切無し。
エッジの効いたパワーのある音。
低音が強く出て、高音も研ぎ澄まされています。
これは技術者が試聴を重ねて創り上げた音だ!
オーディオマニアは嬉しくなる。
自分も嫌いじゃない。
でもCDに入っている本当の音?
色付けされているか、

悩んでしまいます。
1ビットの変調音が無いのは優秀
もう少しソフト志向でも良いですが。

いずれにしても
L-D1は、
ケンウッド技術者の渾身の作であることに間違いなし。


07年8月記事作成

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