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「河口湖飛行館」見学記

2006年の8月18日、山梨県にある私設の博物館「河口湖飛行館」を訪れました。

往年の名車の数々を展示している「河口湖自動車博物館」に併設されている「飛行館」は、体育館くらいの大きさでしょうか? 中には多数の機体が所狭しと展示されており、秘密兵器として導入したオリンパスの超広角レンズZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4.0と、可変アングル液晶モニタとライブビュー機能を持つデジタル一眼レフカメラOLYMPUS E-330が非常に役に立ってくれました。…これで手ブレ補正があれば完璧なんだけどなぁ…。

入り口を入っていきなり目に入ってくるのは日本海軍の誇る名機、零戦21型

胴体下には増槽、主翼下には(恐らく)3番(30kg)爆弾を懸吊し、左の主翼端を折り畳んだ状態で展示されています。また、カウリングも取り外されており、「」エンジンを目にすることもできます。

爆装状態での展示なので、風車押さえや振れ止めといった爆弾架のディテールを目にすることができるのも嬉しいところ。

主脚まわりも、子細に見ていると色々と発見があります。

基部のカバー部分にガイドレール(?)が付いているのは面白いですね。主脚のカバーにはアクチュエータがついていない筈ですから、主脚の動きに連動して可動するように、レールの曲線なんかも試行錯誤があったんでしょうねぇ。

翼端の折り畳み部も興味深いです。

最初は、「翼面下に突出している棒状の部分を持って折り畳みするのかなぁ」程度に思ってみていたのですが、よく見ると、この柄の部分、付け根に回転すると思わしき半円形のパーツが。対する翼端側にも同様のパーツがついています。

そうすると、コレって展開操作に使うレバーじゃなくて、翼端を伸ばした時にロックをかける為の操作機構?

翼端が伸びた状態になると、主翼本体と翼端の半円パーツ同士が噛み合い、そこでこのレバーを90度倒すと、連動している円の部分が回転して、翼端が折り畳まれないようにロックされるんでしょうね。

主翼下面のディテールを観察すると、このロックの噛み合わせ部は前後の翼桁に設けられています。

零戦の11型と21型の相違点としてよく言われる翼端の折り畳み機構ですが、こうしてみるとなかなか複雑な機構になっているようです。後期の零戦で、主翼のスパンを縮めて折り畳み機構を廃した理由のひとつに、生産簡易化があったと言われるのも判る気がします。

館内にはもう一機、レストア途上の零戦が展示されています。こちらは後期生産型の52型。

まだエンジン架も取り付けられていない状態なので、コクピット内や、7.7mm機銃の装備状況までよくわかります。

零戦は軽量化の為に操縦席の床がなかった(胴体を貫通して取り付けられている、左右一体の主翼の上面外皮が床板代わりになっている)と言われていますが、この状態の機体だとそれがちゃんと判りますね。

零戦以外にも、館の内外には多数の航空機が展示されています。

  • 93式中間練習機
  • パイパー スーパーカブ
  • F-86 セイバー
  • ロッキード T-33

また、多数の発動機がレストアされたり、部品状態で展示されているのも嬉しいところ。

やはり数が多いのは、零戦にも使われた中島飛行機の空冷星形発動機「」。

綺麗にレストアされていたり、汚れを落としたところかな?という状態だったり、部品レベルまで分解されていたり。

シリンダーを外してクランクケースだけになっている「栄」は、星形発動機の構造を知る上でも興味深く見学させてもらいました。シリンダごとのコンロッドの突出量に注目です。

金星」や「熱田」、「」といった発動機も展示されています。

展示されていた場所が窓際だったので、ド逆光になっちゃって、ちょっと画像が見にくくなってしまったのは残念でした。

ここに展示されている「熱田」を見るまで、「彗星」艦爆のエンジンマウントが左右非対称なのを知りませんでした。ダイムラーベンツエンジンの過給器の取り付け位置が左右非対称なのは知っていましたが、マウントの設計もそれに影響されたのでしょうか?

「熱田」と同じく、DB601のライセンスで生産された陸軍の「ハ40」発動機を搭載する三式戦「飛燕」のマウントってどうなっていたのでしょうね? あっちは鋼管ではなくて、胴体構造材でマウントを作っていた筈ですが…。

展示されていた「誉」には、設計者の中川良一氏のサインが書き込まれていました。

あまり広いとは言えない展示スペースですが、中身の濃さは素晴らしく、飛行機好きなら何時間でも入り浸れそうな場所です。

公設の博物館では、積極的に軍用機を展示しようという所があまり多くないと感じる我が国ですので、こうした機体を復元し、展示されている原田氏の情熱と努力には頭の下がる思いです。

公開期間も短く、アクセスもあまり良いとは言えない立地ですが、飛行機好きの人には是非とも訪れて欲しい場所でした。