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北朝鮮工作船見学

2006年10月24日。北朝鮮の工作船が展示されている「海上保安資料館横浜館」を見学してきました。

巡視船「しきしま」

早朝に行ったので、まだ開館時間前。手持ちぶさたで隣接して接岸していた海上保安庁の巡視船「しきしま」を撮影していたら、職員の方がこちらの方へ。曰く、「これからヘリのエンジンを動かすんで、飛んでくる砂とかに気を付けてください」とのこと。

あ〜、道理で格納庫まわりに人が出てると思ったら。「エンジンテストですか?」と聞くと、「いえ、パトロールに出すんです」とのこと。一応、撮影の可否を訪ねると問題ないとのことで、離船の様子を撮影させていただきました。

確かにダウンウォッシュは強烈ですけど、船上からなので砂が飛んでくるようなこともなく。

前日の雨で地面が湿っていたせいもあるんだろうけど。

「しきしま」搭載のスーパーピューマは防弾仕様だと聞きます。

機首下にあるのはレドームでしょうか?

「しきしま」は、ヘリを飛び立たせると、すぐにハンドレールを起こしていました。

北朝鮮工作船見学

思わぬものを見学できて喜びながら、30分ほど公園の鳩を撮ったりして時間を潰します。で、午前10時の開館時間とともに海上保安資料館へ。

かまぼこ型の建家の中一杯に、工作船が展示されていました。建家の中で見ると、思ったより大きく感じます。

館内は無断撮影禁止とのことなのですけど、係の方に訪ねたら、あっさりと許可を頂けたので遠慮無く撮らせてもらいました。

船首右舷側。一度沈没した為か、それとも船体の構造材のせいか、かなり錆び付いています。

右舷側には階段と通路が設けられていて、甲板を上から見学できるようになっています。

上甲板の船首側。

通常の漁船なら船倉がある部分にエンジンが収められています。機関区は前後に2区画あり、排気は舷側から排出するようになっています。

上甲板の船尾側。

操舵室の一部が残っています。上甲板が膨れていますが、自爆時の損傷でしょうか?

甲板上のレールは、14.5mm機銃座を引き出すためのものだそうです。

スクリュー。機関が4基で、4軸推進です。

船体後部のウェルドック。小型艇を格納してあったそうです。

船体を後方から。

観音開きのスターンゲートが開かれています。

船首左舷。

海上保安庁の巡視船による正当防衛射撃の弾丸による、射入口が開口しています。この部分への射撃は、報道の映像でもよく使われていましたね。

喫水線のかなり上部に弾痕が集中しているのに注目。容疑船を浸水させないように、相手船の動揺に弾着のタイミングを合わせて射撃(1)した巡視船の高度な射撃技術は賞賛されるべきでしょう。

館内には、工作船が搭載していた装備品も多数展示されています。

工作船のウェルドックに格納されていた小型艇。元画像は、逆光で真っ黒になっていたので、画像処理でティテールを起こしました。

工作船も4軸推進の高速船でしたが、こちらも結構な速力が出せるようです。

工作船に搭載されていた14.5mm連装機銃。

防弾装備のない巡視艇が、もしもこれの掃射を受けたとしたら…。考えたくもないですね…。

自爆用スイッチ。

工作船から回収された火器類。

自動小銃のみならず、対戦車ロケットや携帯対空ミサイルまで持っているという重武装です。

改めて、恐るべき重武装に戦慄しました。

構造的にいって既存の船舶の改造ではなく、この種の作戦用に新造された専用船であるのが判ります。こうしたフネが日本海を我が物顔で航行していたんですから…。

百聞は一見にしかず。海上保安資料館は赤煉瓦倉庫のすぐ近くですし、機会があれば是非とも訪れてみましょう。

1:容疑船を浸水させないように、相手船の動揺に弾着のタイミングを合わせて射撃

あくまで停船を促すための射撃ですので、沈めてしまっては意味がありません。

外洋を航行中の小型船は、うねりの影響で常に船首を上下させています。船首が持ち上がった瞬間に喫水線下に弾丸を命中させて破口を開けると、容疑船に大量の浸水をもたらし、沈めてしまうことになります。

海上保安庁の巡視船は、容疑船の船首が沈下した瞬間に砲弾が弾着するようにタイミングを取って発砲していました。これならば、砲弾の破口は水面上に開くことになり浸水の可能性を小さくできます。

20mm機関砲弾の初速はおよそ1000m/s。数百メートルの距離を置いての射撃は、発砲から弾着までコンマ何秒かの差ができますので、この時間差を計算に入れて発砲しなければなりません。

あの緊迫した場面でこうした冷静な対処が行われたことは、海上保安庁の職員の技量の高さと、冷静な判断力によるものでしょう。