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22DDHは多目的母艦の夢を見るか?

防衛省のサイトで平成22年度概算要求の概要が公表されました。

海上自衛隊では、以前から噂されていた「しらね」後継艦となる22年度護衛艦(22DDH)の艦容がいよいよ明らかになりました。

艦容を見て

概算要求の概要に掲載されているイメージ図を見て気が付いたのは、ざっと以下の通り。

船体の大型化
後述するヘリスポットの数からも判るように、船体は「ひゅうが」型護衛艦に比べても大型になっているようです。
ヘリスポットの増加
ヘリコプター発着用スポットの数が、「ひゅうが」の4ヶ所から、5ヶ所に増加しています。内、一ヶ所は救難ヘリを待機させておくとして、4機の同時離発着を想定していると思われます。
サイドエレベータの採用
2基のエレベータの内、後部の1基が甲板縁に設けられたサイドエレベータになっています。
VLSは廃止?
「ひゅうが」では艦尾に設置されていたVLSが、22DDHのイメージ図には描かれていません。母艦機能を充実させる為に廃止になったのでしょうか? でも、アスロックはともかく、対空ミサイルは欲しいような…。
FCS-3は?
VLSが廃止されるとなると、FCS-3も不要ということか、艦橋周りにそれっぽいディテールが見あたりません。でも、何らかの対空レーダーは必要でしょうし、その辺がどう手当されるのかは興味深いところです。
フィンスタビライザが無い?
ここまで船体が大型化すると必要ない(あるいは効果が薄い)という判断なのでしょうか? もちろん、図から省略されているだけという可能性はありますが。
ソナーも小型化
「ひゅうが」には、長大なソナードームを持つOQQ-21が装備されていましたが、22DDHのソナーはそれより規模が小さいように見えます。

概算要求の文言では「現有護衛艦の除籍に対応した対潜戦等における航空運用等の中枢艦として哨戒ヘリコプター等を運用・整備する機能を引き続き保持するため、新型艦を整備」、「国際平和協力活動、災害派遣、邦人輸送等の多様な事態において、洋上拠点となる輸送機能等を強化」とされていますが、従来のDDHに比べて、艦そのものの戦闘力より、「母艦」としての性格を色濃く打ち出した艦と思えます。

近接防御火器

んでもって、PDFファイルのイラストを拡大してじっくり見ていたのですが、おや、艦橋前の近接防御火器が何か違うぞ…。

これって、ファランクスの銃塔にRAM対空ミサイルの11連ランチャを搭載するというSeaRAMじゃないですか? ひょっとして、VLSを廃止したことによる対空火力の減少を、近接防御火器の増強で補おうということなんでしょうか?

他の銃座はどうだろうとじっくり見てみたのですが、あとは通常のファランクスのように見えます。でも、火力のバランスを考えるなら、SeaRAM 2基+ファランクス2基の方が良さそうな気はしますよね。まぁ、あくまでイメージ図でしょうから、多分に願望も入っているのかもしれませんが。

9月3日追記:

防衛省の平成21年度 事前の事業評価より護衛艦(19,500トン型DDH) 参考(注:PDF)の性能対比表だと、搭載火器は高性能20ミリ機関砲2基、対空ミサイル発射機2基とされています。

イメージ図と考え合わせると、艦橋前と右舷後部の近接防御火器がSeaRAMと想定されているのでしょうか? この配置だと射界の制約が大きそうなので、配置は今後検討されていくんでしょうね。

報道発表

概算要求の提出にあわせて、幾つかのマスコミが22DDHについて報道しています。

全長248メートル、基準排水量1万9500トン。全長や排水量の数字に、“大台”をギリギリ越えないようにしようという海上自衛隊の苦労が伺えるように思うのは気のせいでしょうか?(笑)

ヘリの搭載可能数は14機というのは、船体サイズを考えれば妥当な数字と思えるのですが、問題は時事ドットコムが報じている「人員約4000人を運ぶことができる」という輸送能力。いくら何でも多すぎないでしょうか?

基準排水量8900トンの「おおすみ」型輸送艦の輸送人員が330名ですので、文字通り桁が違います。あるいは、短期的に格納庫を開放して搭載可能な人員を4000人と算定しているのかもしれませんが、例えば陸上自衛隊の隊員を、装備込みで4000人ってのはいくら何でも眉唾モノ。この辺は、今後の発表を注視したいところです。

また、毎日jpでも「同時運用可能な対潜水艦などのヘリ数は5機増の9機」となっていますが、ヘリスポットの数からいけば、1機増ってあたりが妥当なラインではないかと思います。

9月3日追記:

防衛省の平成21年度 事前の事業評価護衛艦(19,500トン型DDH) 参考(注:PDF)の性能対比表だと、搭載機が哨戒ヘリコプター7機と、輸送・救難ヘリコプター2機となっていますので、同時発着数ではなくて、搭載定数が9機という意味のようです。

う〜む、機体をどこから持ってくるんだろう…。

あと、気になるのは「輸送・救難ヘリコプター2機」という表現。これ、モノは何を想定しているんでしょう?

最初はMCH-101かと思ったのですが、MCH-101は、16DDHの主要性能対比表でも、22年度の概算要求でも、「掃海・輸送ヘリコプター」として記述されているんですよね。仮にMCH-101とUH-60Jを各1機搭載する予定だとすれば、「掃海・輸送ヘリコプター1機」「救難ヘリコプター1機」という記述になる筈だし。

あるいは新しい救難ヘリ導入の構想なんかもあるんでしょうか?

9月20日追記:航空ファン 2009年11月号「最新航空ニュース」によると、「輸送・救難ヘリコプター」は新機種とのことです。SH-60K系列の機体になるのか、それとも欧州系のヘリになるんでしょうか?

その他

「ひゅうが」型護衛艦も、他艦への洋上給油機能を付与される予定とは聞きますし、格納庫へのサイドランプも設けられています。

しかし、これらの装備は事前に要求されたものではなく、建造中や就役後での後付け装備で、必ずしも使い勝手は良くなさそう。

これに対し22DDHは、当初から補給機能や輸送能力の要求が盛り込まれ、多目的母艦として、より有効に機能するように計画されているようです。

この種の艦は世界的な流行のようですし、自衛隊の国際貢献任務も増加していくことが予想されますので、方向性としては理解できます。

問題は、政権を取ってしまった民主党がそれを認めるかどうかで。早くも、予算の組み直しとか、防衛大綱改定の先送りなんて話も聞こえてきますし、22DDHも前途の多難が予想されます。無事に建造されれば良いのですが…。