Military

護衛艦「ひゅうが」一般公開 格納庫編

護衛艦「ひゅうが」の格納庫内から見た後部昇降機と、整備区画

飛行甲板をじっくり見学してから、順路は格納庫へ。…なのですが、どうやらかなり渋滞している様子。

ここで思わぬサプライズが。どうやら、あまりの混雑に艦内の通路だけでは対応できず、前部の航空機用エレベータに人を乗せて艦内まで降ろそうということになったようで。即座にそっちの列に加わったことは言うまでもありません(笑)。

エレベータでの格納庫への降下中は、いろいろと周囲を見回すのに忙しく、ほとんど画を撮りませんでした(苦笑)。「ひゅうが」のエレベータ動画に関しては、投稿サイトに色々アップされているようなので、そちらをご覧頂ければと。

下降した「ひゅうが」前部エレベータ

下降した前部エレベータから見学者が降りてきています。

エレベータの開口部の構造がよく判るかと思います。

「ひゅうが」の航空機用エレベータの固定装置

エレベータの固定装置周辺を等倍で切り出してみました。

ピンが1本のものと、二連になっているものがありますが、二連になっている固定装置は丸形のピンと上面を平面にした半円断面のピンがあるようです。

下降した「ひゅうが」前部エレベータ

上昇位置にある後部エレベータを格納庫から見たところです。

「ひゅうが」の航空機用エレベータの固定装置

こちらも固定装置周辺を等倍で切り出してみました。

突出したピンの上に乗るかたちで止まっています。こちらは、半円になったピンですので、おそらく丸形のピンは、エレベータのフレーム部分の穴に挿入することでロックするようになっているのでしょうね。

それにしても判らないのが、下にあるもう一基の固定装置らしい部分。なにか、エレベータを一段下げたところで固定する必要がある用途があるんでしょうか…?

エレベータが飛行甲板から格納庫に降りるとき、最初に僅かに持ち上がる動きをするので、恐らくこのときにエレベータを乗せているピンを引き込んでいるのではないかと思います(丸形のロックピンはそれ以前に抜いておくと推定)。

また、降下してくるエレベータを格納庫から見た動画を見た方はお気づきかもしれませんが、エレベータが上昇端にあっても、隙間からかなり陽光が差し込んできています。エレベータと甲板の間には、それなりのクリアランスが取ってあるそうで、エレベータを固定しているときはシール部分に圧縮空気を送り込んで密閉するようになっているとのことでした。

「ひゅうが」エレベータの構造図

格納庫ではエレベータの構造図も展示されていました。

PLフィルタを付け忘れたんで反射がひどい画ですが、参考用に掲載します。

甲板も広かったけど、格納庫も随分と広大です。これでヘリが数機しか入らないってんだから、米海軍の空母の規模の大きさが判ろうかってモノです。

格納庫の中央部には防火シャッターがあり、前後に区切ることが可能なようになっています。万一の場合は、ダメージを極限できるようになっている訳ですね。

「ひゅうが」格納庫艦首側

「ひゅうが」の格納庫を後部から艦首方向を向いて取った画像です。ちょうど前部のエレベータが降下してくるところですね。

天井部分に区切りがあるのが判ると思いますが、ここが前述した防火シャッターです。

「ひゅうが」格納庫艦尾側

逆に、前部から艦尾方向を向いて撮った画像。奥の黒い部分が後部エレベータで、その向こうは整備区画になっています。

後部格納庫の天井、途中から構造が変化しているのが判るかと思いますが、格納庫の前半部分の天井には防音・断熱材が貼られているそうです。CICなど、震動や温度に弱い区画への配慮とのこと。

続いて、格納庫内各所のディテールなんかを。

「ひゅうが」前部エレベータ脇の操作盤

前部エレベータ脇にあった操作盤。見学者の昇降のため、係員がついています。

エレベータ内にも手すりを付けたり、厳重な安全確認など、さすがに自衛隊の気配りは細やかでした。

「ひゅうが」の格納庫内管制室(?)

後部エレベータ脇にあった区画。前部エレベータのところにもありましたので、恐らく格納庫の管制室ではないかと思います。

「ひゅうが」格納庫内の消火器

格納庫天井には無数のスプリンクラーが配置されていましたが、消火器なども多数設置されていました。

武装などは(安全性に配慮して)基本的に甲板上で機体に装着するとのことでしたが、やはり可燃物の多いヘリ格納庫では、厳重な防火体制をとっているようです。

「ひゅうが」格納庫のホイストクレーン

格納庫中間フラットの上にはホイストクレーンが。

機体整備時など、重量物を移動させることも多いんでしょうね。

「ひゅうが」搭載のフォークリフト

格納庫には、フォークリフトも展示されていました。

状況に応じて輸送ヘリを搭載することもある「ひゅうが」ですし、物資の移送用にこうした車両も必要なんでしょうね。

「ひゅうが」搭載の高所作業車

同じく、展示されていた高所作業車。

航空機の整備用でしょうか?

こうして格納庫内をあちこち見ていると、ふと足許に気になるものが。

後部エレベータ前のハッチ

後部エレベータ前の格納庫の床面に見つけた大型のハッチ状の部品。中心線より右側に2つ並んでいます。

周囲の銀色の部分はステンレスかなにかのカバー状の部品で、なべ小ねじで締めてあり、おそらくコレをはぐると、蓋本体を締めているボルト&ナットが出てくるんじゃないかというのは想像がつきました。

「なんで左右対称じゃないんだろう?」 と考えて、思い至ったのがガスタービンの交換用の開口部。

前部エレベータ後ろのハッチ

「ひゅうが」を含めて、海上自衛隊の大型水上戦闘艦は、機関が左右の軸系でシフト配置になっています。

ってーことは、左軸用の開口部が発見できれば間違いあるまいってことで、格納庫を歩き回って見つけたのがこちら。前部昇降機の直後、中心線より左側です。

COGAGの「ひゅうが」は片方の軸に2基のタービンがありますから、交換時にはここから取り出すんでしょうね。

ガスタービン交換用ハッチ直上にあった吊り金具らしきもの

近くにいた乗員の方に確認したところ、やはりガスタービン交換用の開口部とのこと。

上を見れば、吊り金具らしいものも確認できました。飛行甲板を開けてクレーンを降ろす訳にはいかないから、ここにチェーンブロックか何かを取り付けて、タービンを吊り上げるんでしょうね。あとは、格納庫内を横移動させて、昇降機なり、サイドランプなりからオカに上げる、と。

従来の護衛艦とは構造がまったく違う「ひゅうが」ですんで、艦内も面白い部分が多いですねぇ。

従来の護衛艦と違うと言えば、女性自衛官の乗り組み。

就役直後の報道で女性用居住区も公開されていましたが、三段ベッドが映っていたのですよ。最近の護衛艦は二段ベッドの筈なのに何で? と思って質問してみたところ、女性用区画の面積的な都合で、女性用区画のみ三段になってしまったとのことでした。

護衛艦「ひゅうが」のサイドランプ

出口はサイドランプが使われていました。

「ひゅうが」就役前から気になっていたこのサイドランプ。格納庫に直接車両を乗り入れることで、多目的母艦的な運用も視野に入っているのかと期待していたのです。

結論から言うと、この期待は少々過剰だったようで。

舷側のハッチの大きさの割に、開口部そのものの高さは3メートル程度。横幅も以外と狭く、段差もあったりで輸送艦並とはいかないようです。

雑誌の記事などによると、サイドランプは要求段階ではなくて設計途中で盛り込まれたようで、残念ながら、あまり大がかりなものにはできなかったようです。

あちこち見学して、艦を降りたのは16時少し前。結局、朝から夕方まで「ひゅうが」に乗っていたことに(苦笑)。

見学者の数もとても多かったようですし、「ひゅうが」の注目度の高さが伺えました。従来のヘリコプター搭載護衛艦とは一線を画する新型艦として就役する「ひゅうが」の活躍に期待したいと思います。