Military

武装編

護衛艦「ひゅうが」の高性能20ミリ機関砲

「ひゅうが」は艦種こそヘリコプター搭載護衛艦となっていますが、実質的にはヘリ空母に近く、護衛艦としては始めて砲の装備を全廃するなど、搭載している武器も近接防御を主体としたものが多くなっています。

「ひゅうが」飛行甲板前部のファランクス

「ひゅうが」の飛行甲板前端部右舷には、対空対ミサイル迎撃用の高性能20ミリ機関砲(バルカンファランクス)が搭載されています。

建造が計画された当初は、艦橋構造物の前後への搭載が検討されていたようですが、最終的には甲板の前後端に搭載されることになりました。

前部の機銃は飛行甲板上に設けられていますが、後部はスポンソンを設けて、甲板より一段低い部分に装備されています。こちらは、ヘリの侵入時の障害になることを考慮されたのかもしれません。

ファランクスの光学センサ

「ひゅうが」に搭載されているファランクスは、光学センサを搭載して、水上目標への射撃能力を向上させたBlock1B

画像は工学センサのアップですが、センサの前面カバーにワイパが備えられているのが判るかと。やはり、水滴やゴミなどが邪魔になるんでしょうね。

飛行甲板の後端右側にはMk41VLSが装備されています。甲板下にミサイルなどを収めておき、ハッチを開けて発射する垂直発射装置です。

様々な種類のミサイルを柔軟に搭載可能なのがVLSのメリットですが、「ひゅうが」の場合は潜水艦攻撃用のアスロックと、近接防空用のESSMが搭載されているようです。

「ひゅうが」のVLS

「ひゅうが」に搭載されたVLSは16セル。垂直発射型アスロックは1セルに1発ですが、直径の小さいESSMは、1セルあたり4発を搭載することが可能とされています。

ただ、搭載数は雑誌などの記事により差異があり、アスロック12発にESSM16発(4セル分)や、アスロック8発にESSM32発(8セル分)などという内容を目にすることがあります。また、予備弾の内容についても様々です。

もっとも、他の海上自衛隊の護衛艦でも、定数一杯にミサイルを搭載していることは少ないようですし、あまり数に拘る必要はないのかもしれません。

FCS3のフェーズドアレイと、イルミネータ

ESSMを管制するためのFCS3は、艦橋に4面のフェーズドアレイが装備されています。

隣接している小型のアレイはESSMの誘導を担当するXバンドイルミネータ。

レーダー本体と、イルミネータのフェーズドアレイのそれぞれの隣接する辺に、壁が設けられています。FCS3はCバンド、イルミネータはXバンドなのですが、電波の干渉を防止するために設置されているのでしょうか?

冷戦終結後、新たな脅威に対抗するために、護衛艦にも機関銃の装備が進み、立ち入り検査隊なども組織されるようになりました。

従来の護衛艦は艦橋ウィングに各1丁の機銃座を設ける程度でしたが、船体が大型の「ひゅうが」は多数の銃座が設けられています。Wikipediaの記述によると7基あるようです。

「ひゅうが」甲板前端の12.7mm機銃

通常は、機銃本体は艦内に格納されていますが、一般公開ということで甲板前端の銃座には機銃が設置されていました。

銃座の防弾板は、以前の護衛艦では一枚板だったのですが、海賊対策に派遣された護衛艦などを見ると、最近はナックルの入った防弾板が使われているようです。計った訳ではないのですが、ナックルの入った防弾板は従来のタイプより少し板厚が薄いような…。

この防盾だけでは、防弾対策として些か心許ない気もしますが、海外に派遣された艦は、銃座の周囲に土嚢などで追加の防弾対策をしているようです。

「ひゅうが」の艦尾左右には、潜水艦攻撃用の三連装短魚雷発射管が装備されています。

これだけの大型艦が射程の短い短魚雷での対潜攻撃を行うというシチュエーションは想定しにくいかと思うのですが、やはりこの辺は艦隊の層が薄い自衛隊の悲しいところなのかもしれません。

「ひゅうが」の魚雷発射管

この日の「ひゅうが」の右舷側発射管は、舷外に向けられていました。

ステルス対策か船体強度を確保するためか、発射管脇の開口部の面積は小さく、ギリギリの大きさに作られているのが判ります。

砲や対艦ミサイルの搭載もなく(艦載ヘリがヘルファイア対艦ミサイルの運用能力を持ってはいますが)、これまでの海上自衛隊の護衛艦とはやや異なる武装の「ひゅうが」。「世界の艦船」の記事によると、「40ミリ級機銃も検討された」そうです。

使用目的が整理されておらず、教育、補給の負荷も考慮されて不採用となったそうですが、これまでにない新生DDHの建造に向けて、様々な可能性が模索されたようです。

続いて建造が予定されている22DDHは、さらに母艦能力を向上させるため、武器類の搭載も限定されたものになることが計画されているようです。DDHを支援するためのDD(汎用護衛艦)やDDG(ミサイル護衛艦)の運用、さらには脅威目標をより遠方で撃破あるいは回避するための航空戦力の活用など、解決しなければならない課題は多いかと思われます。「ひゅうが」のパイオニアとしての任務は重要であると言えそうです。