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宮中ダム訪問

宮中ダム全景

2009年の3月29日、十日町市の宮中ダムを訪問しました。

このダムは、信濃川に建設されたJR東日本所有の発電用ダムですが、発電取水量や放流量に不正行為があり、JR東日本の水利権が取り消されました。これによって、これまでは信濃川の流量のほとんどがダムから放流されるようになり、信濃川中流域は本来の流れを取り戻しました。

現在、取水を停止している宮中ダムですが、ダムから発電所への水路に、地元町村の農業用水路も接続されているため、来月1日より部分取水が始まるとのこと。取水開始前にダムを見ておこうと、この日の訪問を決行しました。

天候は曇り。数日前から天候が不安定で、ときとして雪もちらつく状況ですが、私がダム周辺にいた時間帯は荒れることもなく、晴れ間が見えることもあったのは幸いでした。

ダムは信濃川の河幅一杯に建設され、11の水門が流れを堰き止めています。

この日は、中央の3基の水門が開かれており、大量の水が下流へと流れていました。発電用に取水がされていた頃は、宮中ダムの下流域はほとんど流れがなく、石の川原が広がる荒涼とした景色だったとのことです。

宮中ダム下流の信濃川の流れ

ダムのすぐ下流側にある道路橋、宮中橋から信濃川の下流を眺めます。雪解けのシーズンということもあるのでしょうが、水量は豊富です。これが信濃川本来の姿ということなんでしょうね。

近くの空き地に車を停めて、宮中ダムへと歩いていきます。

宮中ダムの取水口

ダムによって堰き止められた人造湖から、発電所へと取水する水門です。

手前側が沈砂池、遠景が信濃川本流です。

沈砂池

振り返って、沈砂池側を見ます。

取水していない為か、水の流れはほとんど見られません。

発電施設鳥瞰図

建家に掲示されていた、発電施設の鳥瞰図です。

宮中ダムで取水された水は、下流の小千谷発電所までトンネルによって送水されます。このため、この区間の信濃川本流は流量が激減。深刻な河川環境の破壊を引き起こしていました。

堰堤上の通路

ダムの堰堤上には通路が設けられています。幅は普通車一台が何とか通行できる程度です。

取水口

ダム上の通路から、取水口を見ます。

流路には格子が填められていて、流木やゴミなどを選り分けて、水だけを通過させる構造になっているようです。

閉鎖されている水門部分

閉鎖されている水門を覗き込んでみました。

高さがあるので、結構、怖いです(笑)。閉鎖されてはいても、多少は水は流れているようです。

水門の開閉機構

水門はワイヤで引き上げられることで開閉するようです。

上を見上げたとき、機械室の床が鉄骨に板張りだったのを見たときには唖然としました。さすがに歴史のある施設だなぁ…。

堰堤上より下流を望む

水門から吐き出された水は、轟音を立てて泡立ちながら下流へと流れ落ちていきます。

下流にある赤い橋が、先刻までダムを見ていた宮中橋です。

宮中ダムの魚道

ダムの右岸には魚道が設けられています。

でも、魚道があっても、肝心の本流に水がなければ意味はない訳で…。

水利権を示す看板

ダムの傍らには、水利権を示す看板が立てられていました。

許可期限や水利使用の目的、取水量といった項目にはガムテープが貼られています。ここに再び数字が書き入れられる日は来るのでしょうか? そして、どんな数字が入ることになるのでしょうか?

ダムの右岸を歩いて宮中橋に戻る頃には、空に晴れ間が見えていました。春の陽光に輝く水面はとても眩しく、美しく思いました。

宮中橋より宮中ダムを望む

JR東日本によると、信濃川発電所の停止による電力の不足分は、買電によって補うとされています。しかし、東京電力も新潟県中越沖地震での柏崎刈羽原発の停止によって、電力の安定供給に不安を抱えたままです。

いつまでも発電を止めておけるものでもないでしょうが、かといって以前のように信濃川の流れがやせ細るような状況が再現するのは好ましいことではありません。

JR東日本と地元の双方がお互いを尊重し、両者が納得するような解決策を模索してほしいものだと思います。