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豊郷小学校旧校舎群訪問

2011年1月10日、TVアニメ「けいおん!」の舞台のモデルとなったと言われる滋賀県犬上郡豊郷町の豊郷小学校旧校舎群を訪問しました。

前日より、小惑星探査機「はやぶさ」の再突入カプセル一般公開を見学するために福井を訪れていましたので、この日はホテルで朝食を食べた後、JRの特急「しらさぎ」で米原まで移動。快速で彦根へ。そこから近江鉄道に乗り換えて豊郷駅を目指しました。

豊郷駅は無人駅(Wikipediaの豊郷駅の項によると、平日朝のみ駅員が配置されているとのこと)ですが、コミュニティハウスが併設されているとのことで、なかなか立派な外観です。

待合室の扉には旧校舎群への案内が掲示されています。

案内図以外にも色々と掲示物がありますので、見学に行かれる方はじっくり見て行っても楽しいと思いますよ。

出口を出た所には、ウサギ形の椅子(?)が。

ウサギの反対側には亀が。これはやはり、旧校舎群の階段の意匠をもとにしての採用なのでしょうか?

駅を出て旧校舎群を目指します。私は県道542号線まで出てから右折しましたが、この通りは比較的車の往来も多く、安全性を考えるなら案内図のつうがくろの道順で行く方が無難かと思います。

いわゆる聖地巡礼の観光客向けに、街中のあちこちには「けいおん!」関連のポスターが貼られていました。地域の活性化に、それなりに貢献しているようです。

小路のところに立っている、子供の飛び出しへの注意を喚起する看板も、ここでは「けいおん!」仕様になっていたり(笑)。

私が見つけた範囲だと、の5人。

ニュースや現地を訪問した方のBlogだと、HTTのメンバーをはじめ主要キャラは全て看板になっているそうなので、巡礼された方は探してみてくだされ。

そんなこんなで、駅から10分ほども歩いたところで旧校舎群に到着。

おお、まさに桜高ですな〜。

ちなみに、開館時間は平日8時30分〜17時、土日は9時〜17時30分だそうです。周囲は住宅地ですし、くれぐれも迷惑になるような時間帯に訪問しないように致しましょう。その他、見学にあたっての注意事項をBlog「今日の部室」さんが掲載されているので、訪問前に目を通しておくと良いでしょう。

校門から入り、正面の玄関に向かって歩いて行って、まず目に入るのが右手側にある銅像。

アニメ版「けいおん!」ではたびたびコスプレさせられた銅像が登場していましたが、ちゃんとモデルがあったんですねぇ。

ちなみにこの銅像、私財を寄付して豊郷小学校の建設に尽力された古川鉄治郎氏のもので、その額たるや60万円(当時の物価で数十億円相当)に及んだとのこと。これは氏の財産の三分の二に達する額だったそうで、昔の資産家の高潔さが伺えます。

それでは正面の玄関から校内に入っていきます。ちなみに校内は土足禁止なので、玄関でスリッパに履き替えます。階段などは少々滑りやすいので、気をつけましょう。

玄関を入って、メインの廊下が左右に広がっています。入ってすぐの部屋は展示室には、豊郷小学校の沿革についてパネルや模型で説明されていますので、目を通しておくと良いでしょう。

また、訪問者用の記帳ノートやパンフレットなども置かれています。

建物の一階は町立図書館や、シルバー人材センター、子育て支援センターなどとして活用されているようです。平日の日などはファン以外の一般の方の利用も多いでしょうから、節度ある見学を心がけたいものです。

そんなこんなで廊下を歩いて行くと、見覚えのある階段が視野に入ってきました。

手すりにはウサギとカメの寓話をモチーフにした飾りが。この飾り、「けいおん!」の作中でも印象的でしたね〜。

ウサギとカメ、階段の下から競争開始。

先行して油断したウサギは眠り込んでしまう。

その間にもカメは黙々と進む。

勝利を手にしたのはカメだった。

長年にわたり、多くの生徒が手を触れてきたのでしょう。像の表面は滑らかになり、階段の手すりにも細かな傷が多く残っています。

しかし、それが傷みではなく、年月を経てきた風格と見えるのは、素材のもつ重厚さ故でしょう。同時に、豊郷の住民の手厚い維持管理という面も大きいのではないかと思えます。

さて、二階に上がってみましょう。

板張りの廊下は長く伸びており、多数の教室が並んでいます。

外が薄曇りということもあって、差し込んでくる日差しは穏やかで、黒光りする木材には暖かみを感じられます。

昭和生まれの私ですが、母校の廊下はタイルや塩ビばかりで、こうした板張りの廊下で過ごした思い出はありません。良いなぁ…。

教室の入り口には学級名のプレートが。冠されているのは先生の名前でしょうか?

建設当時の様子にしつらえた教室もあるとのことで、恐らくここがそうなんでしょうね。

出入り口の床には、ドアの可動範囲を示すペイントが。

職人さんか用務員さんが刷毛でもって描いたんでしょうねぇ。ムラも良い趣です。

さて、「けいおん!」で軽音部の部室になっている音楽準備室は三階。

校舎の外観写真からも判るように、メインの校舎は二階建てで、三階部分は正面玄関のところの一部だけです。

入り口で頂いたパンフレットの平面図を見ると、三階は唱歌室と会議室とされています。どうやら、この会議室をアニメの設定では音楽準備室に見立てているようです。

階段を上って三階に向かいます。

ここが部室のモデルになった扉かと思うと感慨もひとしお。

…なんか変なものが鎮座していますが、どうやら三次元世界にも唯ちゃんみたいな人がいるようです(笑)。

中はご覧のように。有志によって「けいおん!」の部室の様子が再現されているようです。

第二期後半のオープニングで、唯がマイク代わりにしていた筆箱とか、梓が使っていたマグカップ(どうやら、手作りで再現したようです)とかまで用意されています。

長椅子に置かれているのは、第二期後半のオープニングで唯たちが持っていたフリップですね。床には内履きまで置かれていました。

ここの部屋の黒板はフリーに書き込みしても良いようで、すっかりカオスな状態に。

巡礼ノートも置かれていましたので、訪問の記念に一筆書きこんでいきましょう。

会議室と歌唱室のステージの間には、ちょっとした部屋があり(第二期2話で登場した物置ですな)食器棚にティーセットやキャラのサインなんかが置かれていました。

ちょ、三浦茜(爆)。

それっぽいグッズに混じって、こんなのまで置かれているから油断がなりません(笑)。

部室の見学が終わった後は二階の廊下を突き当たりまで歩き、校舎右翼側の階段で一階まで降ります。

階段下は当時の売店(購買?)があった模様。また、大規模改修工事でエレベータも設置されたようです。

階段からさらに南側に進んだ所は昇降口になっているようですが、ここで思わぬサプライズ。

唐突に、ケースに入った古い機械が展示されています。

画像を見て、「プンポルロケンコ」とは何ぞや? とか言わないでね(笑)。右から左に読んで「コンケロルポンプ」と読むのが正しいのです。

解説のパネルを見ると、豊郷近郊で灌漑用に使われていた古いポンプとのこと。ボイラー式の蒸気揚水ポンプのようです。これが日本で最初の動力による地下水利用に使われたポンプとのこと。貴重な産業遺産です。思わぬものが見られました。

さて、校舎も堪能しましたし、玄関から一度外に出て、次は講堂を見学しました。

「けいおん!」の劇中だと、文化祭のライブ等で印象に残っている建物です。

この時間は雲が出てきて、時折粉雪もちらつく有様。ただ、幸いなことに本格的な雪にはならず、交通機関等の問題はありませんでした。寒かったですけどね〜。

講堂の中は天井も高く、非常に立派なつくりです。

床は正面のステージに向かって僅かに傾斜が付けられており、後ろの席からでもステージを見ることができるよう工夫されています。

ただ、スリッパだと滑りやすいので、見学のさいは注意した方が良いかと思います。

最近の学校のように、体育館に設置されているステージに比べると、やや小さめでしょうか。

講堂として使うぶんには必要十分でしょうけど、第二期19話のように演劇に使うには少々手狭かもしれませんね。

入り口側には、何と二階席まで設けられています。

階段を上がって、二階席を見学。

こちらの床はスロープではなく、階段状に。下とは違ってステージを見下ろす位置ですので、こうした配置にする必要があるのでしょうね。

二階席からステージを見下ろします。本当に立派な講堂です。

豊郷の人たちが、この校舎に誇りと愛着を持っていることが理解できる気がしました。

講堂の見学を終えると、校舎左翼にある酬徳記念館を見学。

こちらは観光案内所とグッズ類の売店になっているほか、休日にはカフェにもなっています。来訪者も多かったので館内での撮影は遠慮したのですが、こちらも天井が高い立派な建物でした。

時間は11時半。お昼には少々早かったのですが、朝からの行動でお腹も減っていましたし、カフェで軽く食事をしていくことに。

限定販売されているらしいゴールデンチョコパンが売り切れていたのは残念でしたが、ホットケーキのセットを注文。売店で食券を買って、奥のカウンターで注文する形式です。

ドリンクは数種類から選べますので、私はホットコーヒーに。トッピングもブルーベリーとメープルから選べるようです。室内は暖房が効いていて暖か。外が寒かっただけに、ほっこりできました。

他にも、カレーや卵かけご飯、ジャム付きトースト(第二期1話で唯がくわえて走っていたアレですな)といったメニューがあるようです。

う〜む、次に訪れたときには是非ともゴールデンチョコパンに挑んでみたいものです。

売店では色々とグッズも売っていたのですが、身軽さを重視して小型のカバン(しかも、容積の七割程度はカメラ機材に食われています)での旅行ですのであまり大きな物も買えず、記念にウサギとカメのストラップを買ってみました。表面の光沢といい、塗装の具合といい、なかなか良くできたストラップだと思います。

さて、そんなこんなで時間は12時をまわって、そろそろ帰りの電車の時刻が気になってきたので、駅に向かうことにしました。

一時は保存か解体かを巡って争われたことも記憶にあたらしい豊郷小学校旧校舎群ですが、これだけ立派な建築物が次世代への遺産として残されたことは喜ぶべきことでしょう。

人気アニメーションの舞台のモデルとなり、こうして多くの人が訪れるようになったことは想定外だったでしょうが、そうしたファンも迎え入れてくれた豊郷の人たちへの敬意と感謝も忘れるべきではないと考えます。

「けいおん!」のファンがアニメ作品を通じてこの建築物に思い入れを持っているのと同様、豊郷の人たちにはこの建物が幼い日の思い出の聖地になっているのです。

一部の心ないファン、落書きや機材の無断使用といったマナー違反の行為が、そうした人たちの思いを傷つけることは想像に難くありません。

貴重な交流の場が閉ざされることがないよう、見学する側の我々も、十分な配慮と、節度ある行動が必要かと思います。

文化財としても、アニメ作品のファンとしても楽しむことができた素晴らしい場所でした。この日は荷物を減らすために、高倍率ズームレンズ(14-150mm)しか持っていなかったのは残念です。機会があれば、次は超広角レンズやマクロレンズを持って、是非ともまた訪れたいと思いました。