旭隧道(吉野屋隧道)


 また栄町で恐縮だが、この町の北東部・吉野屋地区の山奥に、上記のような名前のトンネルがある。栄町のホームページによると、このトンネルの正式な名前は「旭隧道」といい、開通は1954年とのことである。『はぢめさんのお部屋』というホームページでこのトンネルの存在を知り、是非とも行ってみたいと思い、ある日栄町へ車を走らせた。

 吉野屋の集落に入って、山奥へと続く道を分け入る。道は細くなり、路面もコンクリート舗装からダートになっていく。そんな感じの山道を進むと、この「旭隧道」が姿を現す。

 トンネルの前は、車を何台か停められる感じの空き地があり、その脇に隧道の入口が、ぽっかりと開いている。左の画像は、この隧道の山奥側の入口であるが、集落側の入口も同じようなものである。

 

 さて、隧道の中へ入ってみよう。隧道は車のすれ違いが出来ない程度の幅なので、最初に対向車の有無を見て、ライトをハイビームにし、長くクラクションを鳴らして、反対側に「今入るぞ!」という意思表示をする。入って50mくらいでゆるくカーブしているので、これは絶対忘れないように。

 そのカーブを過ぎると、突如として、このトンネルが素掘りの、土剥き出しの状態に豹変する。このトンネルは、カーブのところから出口まではほぼまっすぐに進んでいるが、出口が見えないので少々心細くなる。おまけに、下には水がたまっており、天井からも水がぽたぽたと滴り落ちてくる。
 そればかりではない。この素掘り区間では、ところによって幅が狭くなったりするから、気が抜けない。天井は十分あるが、右の画像をご覧頂ければおわかりのように、幅が一定でないのである。

 

 このトンネル、実は、所によって素掘りのままの区間と、コンクリートの巻き立てに改築されたところがあるが、中間の一部だけが改修されていたりと、奇妙である。恐らく予算の都合であろうが、中間の少しの区間だけが立派になっているのを見ると、不思議に思えるであろう。

 左の画像が、その素掘りの区間と改修された区間の境目で撮影したものであるが、幅や高さが明らかに広くなっていることにお気づきかと思う。また、停まっている軽自動車に御注目頂きたい。この車でやってきたのであるが、壁面と車の間がそんなに余裕がない、というのが分かる。つまり、すれ違いはおろか、軽自動車までなら問題なく通行できるが、普通車だとどうかな、という狭さなのである。普通車でも小さいやつなら、ギリギリ通れるかも知れないが……。
 ちなみに、5月頃に撮影したのであるが、このトンネルは意外と車が通っていた。もちろん軽自動車ばかりで、恐らく山菜を採りに来たのであろう。1回目に来た時は、続行の車もあったから。

 トンネルを抜けるには、数分掛かる。このトンネルの長さは、800mくらいあると言われており、狭いからスピードを落とす必要があることとあいまって、余計長く感じられる。

 では、この先には、一体何があるのだろうか。林道は未舗装状態のままさらに続き、坂も急になる。そして、しばらく行くと……なんと、人家が現れるのである。実際、この道路に沿って電線が張ってあったし、さらにその建物の周囲にブルドーザーなど複数の車両が停まっていた。しかも、人がいる。
 実は、この建物は、『法正院郷』とかいう施設なのだそうである。名前からして、恐らく宗教絡みなのかもしれないが、私には分からない。ただ、ここに温泉があって、「法正院温泉」と呼ばれているらしい。詳しいことは分からないが……。
 なお、この脇には、『世界一神社』と称する神社もある。
 ここを過ぎると、道はさらに悪くなり、急な上り坂がしばらく続いた。とにかく凸凹が激しく、いい車で行くのはお薦めできない道であった。

 その坂を登りきると、立派な舗装道路が現れる。その手前には、ゴムのテープを張って通せんぼしてはいるが、そのまま突っ込んでも擦り抜けられるので、問題はない。画像に映っている看板には、「普通車の乗り入れは無理です」と書いてあった。確かに、普通車の乗り入れはお薦めできない。
 ※2013年6月に現地を確認した所、この出入口はバリケードで封鎖されて通行止めの看板が立ち、事実上の廃道状態になっています。「法正院郷入口」の看板は残っています。(2013年6月追記)
 この舗装路であるが、三条市・栄町と下田村を隔てる丘陵地帯を、南北に縦断する林道らしい。しかも、林道とは思えないほど整備状況は良好である。まずは南へ行ってみたのであるが、『里見台』で紹介した、県道駒込北方線との十字路へ辿りついた。その後、私はこの林道を北上し、途中から三条市吉田へ抜ける林道(多少狭いが、完全舗装されており快適に走行できる)で山を下った。

 もし、この画像を見て「行きたい!」「通ってみたい!」と思った方は、軽自動車で行くことをお勧めする。普通車の小型も通れるかもしれないが、ミラーをたたんでもギリギリとか、狭い区間で一部を土に擦るかもしれない。まあ、行く際は、当然ながら自分の判断と責任で楽しんでもらいたい。※吉野屋集落側の坑口に「崩落の危険あり 一般車の通行禁止」という看板が捨てられていましたが、忘れられているようです。
 ……と脅し文句を書いたが、山菜採りのシーズンには、結構利用されているようである。前述の通り、最初に行った際は続行車両があったし、トンネルの向こうにも10台以上の軽自動車が停まっていた。また、近所の子供達には、肝試しに使われているとか。

 なお、このトンネルが建設された理由は、吉野屋集落の住民がかつてから利用してきた奥地「田川郷」の資源を、より便利に開発・活用するため、というのが大きな目的だったという。詳しいことを、この程、『はぢめさんのお部屋』管理人・はぢめ様が調査された。調査の結果がこちらにあるので、御参照頂きたい。

追記:『法正院郷』ですが、2003年春現在、お住まいの方がおられます(地元では、有名な方だそうです)。ですので、早朝や夜間に、特にトンネルの先の神社などへ行かれるのは、くれぐれもお止め下さい。周りが静かですので、お住まいの方に迷惑が掛かります。

 2003年夏の様子は、こちらです。


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