2005年夏 東北の旅
5日目(飛島行き) 旅程はこちら
心配していた天気も、朝起きてみると晴れ間が覗き、次第に晴れてきた。これなら飛島への船旅は大丈夫か、と、そう思い、部屋を出る。泊まったホテルでは、1階で喫茶店をやっているが、ホテルのフロントはそっちのけで、用件があったらその喫茶店へ、という感じだった。その、ライダーの溜まり場みたいな感じのする昔風の喫茶店で、朝食にトーストセットを頂き、チェックアウトする。
酒田駅へ行って、駅前からゆざ交通のバスに乗車。庄内交通子会社のバスは、独自のカラーリングが目を惹くが、このゆざ交通も白い車体に鳥海山のイラストを大きく配し、目立つ(画像1)。
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| (画像1) | (画像2) |
駅から幾つか先の「山銀前」バス停で下車し、飛島航路の乗り場へと歩く。『海鮮市場』という鮮魚の販売施設とレストランのある建物に、酒田市の定期航路事務所と旅客ターミナルが同居している。海鮮市場がすでに営業していることと相まって、釣り客や観光客みたいなのが多数集まっているほか、脇では飛島へ運ぶ荷物や、乗客の手荷物の荷受を行っている。
ターミナルへ入り、乗船名簿を書いてから、酒田市観光物産協会から送られてきた宿泊施設と乗船便の予約はがきを共に差し出し、片道(往復は販売しない)乗船券を購入。そして、海鮮市場・ターミナルの海側にあるデッキテラスへ行って、しばらくボーっとその辺を眺める。最上川の河口から引っ込んでいて、川に並行して切り込んである感じだが、貨物船や大型クレーン、台船の姿がちらほら見える。
乗船が始まり、船内へ。船はたった223トンの双胴船『ニューとびしま』で、簡易な乗船ブリッジから船室へ入ると、5人掛け位の前向き座席が並んでいる(画像2)。また、船底には桟敷席が用意されているが、まあ外が見える方が良い。ちなみに、一般船室の上には特別室もあるが、たかだか1時間半の航路で、利用者はいるのか……。一般船室の前にはテレビがあって、丁度『WAKE UP!』を放映している。NHKでないのは意外かな。飛島中学校同窓会総会の手作り風ポスターも掲出されていて、さすがは小さな離島の足、という雰囲気だ。離島らしいといえば、衆議院選挙の飛島地区繰上げ投票実施(数日前)に伴うダイヤ変更の告知もあった。輸送手段が船しかないから、酒田市本土と同じ日に投開票を出来ない、という事だろう。
周りをざっと見回すと、釣り客・観光客・島への帰省客など、大体座席の半分くらいの入りだった。後部のデッキには出られない旨の掲示があるが、みんなお構い無しに出て外を眺めたり、タバコを吸っている。デッキには、釣り客のクーラーボックスなど大きな荷物の他、港で荷受していた小荷物を入れたコンテナが、備え付けのクレーンで積み込まれていた。デッキには郵便庫もあって、郵便物や『ゆうパック』はこちらとなる。
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| (画像3) | (画像4) |
『ニューとびしま』は、定時に出航。港を出て、最上川の河口へと向かう。河口近辺の海岸部には、風力発電用の大きな風車が数基立っているのが見える(画像3)。陸羽西線から見える旧立川町(庄内町)の風力発電風車もそうだが、この辺はそれだけ、風力発電に適した安定した強い風を得られる、ということか。それが余りにも行き過ぎて、4ヵ月後の『いなほ』脱線転覆事故を引き起こした訳ですか。
天気も良く、風もそんなにない中、茶色く濁る最上川の河口を離れて、日本海へと踏み出す。デッキで鳥海山でも眺めながら、長閑な船旅を……と、しばらくデッキをうろうろしていたら、河口を離れるにつれ、船が上下左右に大きく揺れ出す。小さい船なので、船の後ろは沈みそうな位下がるし、波飛沫が飛んでくる。
鳥海山がだんだん遠ざかり、船は海の真ん中へ。揺れも凄いし、と船室の席(自由席)へ戻ってテレビでも見るが、まっすぐ歩けない程の揺れ。で、こんな状態なので、とうとう船酔いになってしまった。朝食のバターやドレッシングが、負担になったのだろうか。酔い止めの薬など用意しておらず、当然事前に飲んでいない為、もはや我慢がならない。トイレには嘔吐用の流しが用意してあり、ここへ何度通っただろうか。回りのお客さんが「この兄ちゃん、大丈夫か!?」と思うほどの形相だったらしい。結局、朝食は全部吐いてしまったようで……。
そんな拷問のような苦しみ(藁)が1時間近く続き、ようやく飛島の姿が間近に。港へ入港する直前まで、船は揺れ続けた。港へ入るまでの時間が、何と長く感じられた事だろうか。港へ入って下船が近付くと、「助かった!!」という思いに駆られるばかりだった。
1時間半の船旅が終わり、ようやく飛島の勝浦港に到着。港には、「歓迎!○○屋」などのペナントなどを持った、島の旅館や民宿の方が出迎えに出ている。が、全部ではないらしく、私が泊まる民宿の方は見当たらない。
島にとっては、船の入港時間はまさに「お祭り」で、1日を通してこんなに多くの人が集まって、モノが動く時は、他にないと思う。船後部のデッキでは、釣り客が積んだクーラーボックスが続々降ろされる他、備え付けのクレーンで、例のコンテナが下ろされ開梱された(画像4)。また、島の郵便局の車が、郵便物や小包を受け取りに来ている。車や燃料のような大きなものは別の船を使うようだが、飛島の人達にとって、この船はまさに「生命線」と言える。コンテナから出された荷物は、主に生活物資のようで、箱には宛て先が書かれており、港前の道に並べられて各自取りに来るシステムになっている。そして中には、大手宅配便業者の荷物も。『ゆうパック』なら飛島でも配達してくれるようだが、民間業者のやつだと酒田港までで、飛島へは港で受付の他の荷物共々コンテナに入れられ、開梱後勝浦港の船着場前に並べられる。人が引けてから、まだ宅配荷物含め何個かが道端に放置プレイされていたが、みんな顔見知り?の小さな離島だからできる真似だろう。
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(画像5) |
この日泊まる民宿は、港から歩いてすぐ。玄関へ行き、例のはがきを見せて、部屋へと通される。他の宿泊客は、今日は台風の影響を気にしてかほとんどキャンセルしたとか。なので、ここの宿泊客は私だけとなった。他の宿では、釣り客やダイビング客のグループが入っていた所もあるようだが。
2階の10畳間(画像5)に通された。窓の外は通りだが、人通りが少ないので、セミの音ばかり。とっても長閑だ。船酔いでフラフラなのを見かねたのか、宿の女将さんからペットボトルのお茶を戴いた(本来お金を取られる様で、夕食時はちゃんと取られたが、サービスだったようで)。
船酔いがまだ取れないので、部屋の窓を開けて(クーラーが要らない、爽やかな感じの天気だった)、しばらく畳の上に横になった。1時間以上そうしていただろうか。ただ、手持ちのボーダフォンの携帯は、飛島に基地局があるようで、バリバリ入る。後で知人とメールをやり取りしたり、本を読んだりしていたが、それにしても静か。たった独りでがらんとした10畳間を占領し、何とも心地よい、上質なお昼寝タイムだった。
1時間程横になって回復し、そろそろ動き出そうか、と思い、下へ。観光物産協会などで遊覧船の話を仕入れていて、詳しくは各宿へ、という話だったので、宿のおじさんに聞いてみたら、今日は波が高く出ない、とのこと。ただ、後で考えたのだが、遊覧船と言っても、実態は「漁船の間合運用」。1,500円とかで乗れるとはいえ、実態は漁船の乗り合いみたいなものだから、私の状況を見かねてそう仰ったのではないか。とにかく、宿に着いた時、余程酷い形相だったようで……。