オケラ(朮)
Since 2003/10/24


 
 2003年10月19日、何十年ぶりかでオケラの花を見ました。場所は天下台山(兵庫県相生市)の頂上北側です。双葉中学の生徒だったころ、この草が薬になることを知って、ひそかに栽培を試みたことがあります。当時は土井ヶ谷(双葉中前)の青池から大岩へ登る山道にたくさん生えていました。それらを掘り集めたところまでは覚えていますが、どういう結末になったかは思い出せません。あの山道はたぶん、通る人が無くなって消えているでしょう。 

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 漢方ではオケラの根茎を白朮(びゃくじゅつ)といい、健胃整腸に用います。別にホソバオケラの根茎を蒼朮(そうじゅつ)と呼びます。水野瑞夫氏監修の「日本薬草全書」は、白朮の調製法を次のように記しています。

  オケラの根茎を秋末に掘り取り、茎を切り、水洗し、細根を除いて、2〜3日陽乾する。さらに風通しの良い棚に並べて手で折れるようになるまで陰乾する。充分乾燥させた後、異物が入らないように密閉容器に入れて冷所で保存する。 

 北村四郎氏は1975年11月発行の週刊朝日百科「世界の植物(1)」で、オケラを次のように紹介しています。

  食べておいしい野草のひとつで、長野県の里謡で「山でうまいのはオケラにトトキ(ツリガネニンジン)、里でうまいのはウリ、ナスビ」とうたわれ、「嫁に食わすのも惜しゅうござる」と続く。4月か5月ごろ、柔らかい若芽がまだ白い綿毛に包まれているところを摘みとってあえものやおひたしにするが、くせがない味で好まれる。

 オケラ属の地下茎も特有の芳香をもち、健胃、かぜの予防などの薬効があり、平安時代から、1年の邪気を払う元旦の屠蘇(とそ)に使われている。屠蘇はふつう紅絹の三角袋に、このオケラのほかにサンショウ、ボウフウ、キキョウ、ミカンやニッケイの皮などを入れる。また焚蒼(たきそう)といって、京都では梅雨のころオケラの地下茎を倉庫などでいぶした。湿気を払い、衣服や和本などのかびを防ぐ効果があるので、大原女(おはらめ)が京都付近の山野のオケラを採って売り歩いた。

(中略) 祇園の八坂神社では大晦日(おおみおか)の夜、社前で火をたき、この中にオケラをくべる行事が続いている。この火を火縄につけて持ち帰り、雑煮(ぞうに)の種火(たねび)とするが、これをおけら参りという。人びとが火縄を振りながら町を歩く姿が奇妙でもあり面白い。

(中略) 本州、四国、九州、朝鮮半島、中国東北部に分布する。中国名は関蒼朮といい、やや乾いた草原に生える多年草で、地下茎は長さ5から8センチ、直径1.5から3センチ、多数の丈夫な根がある。茎の高さ30センチから1メートル、堅くて上部で分枝してその先にアザミの花に似た頭花をつける。

 雌雄異株で、花は9月から10月、白または薄い紅色。雄株の頭花の小花はすべて筒状。雄しべは5つ雌しべの花柱は先がふくれ、短く2裂する。雌株の小花では雄しべの退化した葯(やく)があるだけで花粉はできない。雌しべの花柱は短く、三角形でそりかえる。花床の剛毛は分裂しない。頭花の直径は2から2.5センチ。総苞の直下に2列に魚の骨のような苞葉(ほうよう)があり、形が面白いのでドライウラワーに利用されている。 (中略) 果実は円柱形で毛を密生し、羽状の冠毛がある。 』

 

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