デフレへの処方箋ミス
Since 2012/12/20 


 16日の衆院選で自民党(安倍総裁)が大勝した。それを受けて外為市場では円安傾向に弾みがつき、株式市場の日経平均は急上昇している。

 安倍総裁が唱えるいわゆるアベノミックス。日銀法の改正も視野に入れた大胆な金融緩和により円安やインフレを達成して、輸出を伸ばしデフレを克服する、という経済政策に期待が膨らんでいるからのようだ。

 しかし、円安になった分だけ賃金(人件費)を上げていては製品の輸出競争力は改善しない。庶民にとっては、賃金は据え置きなのにインフレで物価だけが上昇する、一段と住みにくい世の中になるのではないかと心配になる。

 お隣の韓国は自国通貨安を背景に輸出を大幅に伸ばしたが、その結果として、一部の大企業が大きな利益を得たが、一般庶民の生活は苦しく、自殺者も多いと伝えられる。アベノミックスの行く末はそのような国ではないのか?。

 昨日の朝日新聞(経済気象台)に、これらの疑問に応えるかのような記事があった。一読して、これは書き留めておいた方が良いと思った。下にその全文を保存する。
 
 


デフレへの処方箋ミス
( 朝日新聞 2012/12/19 「経済気象台」より)

 間違った診断のもとに処方箋(しょほうせん)を書いても病気は治らない。今日の日本では思い切った金融緩和策によってデフレ退治をしようという対処法が書かれているが、これはデフレの正体を誤診したもので、有害無益だ。

 まずデフレの正体を正しくとらえなければならない。日本のデフレは1998年あたりから始まった。以来14年間で消費者物価は都合3.6%の下落にとどまり安定していたのに対し、資本や労働という生産要素の価格を示すGDPデフレーターは17%下落している。

 この間、資本の取り分である経常利益は63%増加したのに対し、労働の取り分、雇用者報酬が12%も減少したのが大きい。この間、輸出は円高でも25%拡大したのに対し、国内民間需要は9%減少した。

 この現象は、一般に言われているデフレのスパイラルではない。グローバル化の中で企業が競争力を確保するために人件費を圧縮し、これが消費など個人需要の大きな減退をもたらしたと考えられる。

 つまり、金融緩和が不十分で流動性が足りず、円高でデフレになったのではない。グローバル化に対処するために大幅な賃金カットを進めたところにデフレの正体がある。

 そこへ日銀がマネーを追加し、円安に誘導しても、グローバル化の中でこのアンバランスが改善しない限り、デフレは解消しない。それどころか、マネーを大量供給して円の価値を下げ、インフレで金利が上昇すれば、国債を保有する金融機関が危機に陥り、国民はコスト高で困窮するだけだ。    (


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