トリカブト(鳥兜)
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Last updated on 2007/12/24 


 名にし負う毒草です。保険金殺人に使われたりして、毒性ばかりが有名ですが、花の美しさもなかなかのものです。昔から観賞用や漢方薬の原料としても栽培されています。日本には20余種が野生していますが、変異が強くて種の区別はむつかしいそうです。

 下の写真は私が現在自宅で栽培しているトリカブトです。苗(塊根)は2004年春にホームセンターの園芸コーナーで買いました。店頭では「モンゴル原産」と表示されていました。暑さに弱いので、夏場は山かげの涼しい場所(相生市内)に移しています。

(写真はクリックすると大きくなります。)


2004/10/07


2004/10/05


2004/10/07


2004/10/07

 次は、1998年ごろ知人にもらって、2002年夏まで育てていたトリカブトです。知人は「園芸店で買った」と言っていました。原産地や種類は分かりません。上述のモンゴル産とは別種のようです。一時は40株以上に増えていたのですが、2002年に暑さ対策に失敗し、全滅させてしまいました。詳しくはこちらのページを見てください。 → トリカブト栽培記録

 


2000/11/03


2000/11/03


2001/10/25


2001/10/25

 トリカブトの解毒剤は未だに発見されておらず、現在でも、致死量以上を口にすると助かる見込みはほとんどありません。但し野生品は、種類や産地によって毒性に大きな差があります。エゾトリカブトやオクトリカブト、ヤマトリカブトなどは毒性が強いといわれています。同じヤマトリカブトでも、東京の高尾山には毒成分がほとんど無いものがあります。西日本に広く分布しているサンヨウブシなども毒性が弱いといわれています。新潟県に住むあるおばあさんは、トリカブトで自殺しようとしましたが、死にきれずに救急車を呼び、「どうして死ねないんでしょう」と言ったという、笑えない話もあります(植松 黎 『毒草を食べてみた』より)。

 碩学を謳われた日本最後の博物学者、東京帝大の白井光太郎博士は、老年になって体力の衰えを補うため「天雄散」を愛用し、壮年をしのぐ元気さでしたが、昭和7年5月30日、その配剤を誤って急死しました。「天雄散」の主剤の「天雄」は、子根(附子)を出さずに大きくなったトリカブトの母根(烏頭)のことで、白井博士は、手に入らない天雄の代わりに、烏頭を使っていました。この烏頭が野生品のため、有毒成分の含量が一定せず、思わぬ中毒を起こしたものと推測されています(朝日新聞社『世界の植物』より)。

 昭和58年山形県村山市では、山菜のニリンソウの中にトリカブトの若葉が混じっていて、お浸しにして食べた3人が中毒し、そのうちの1人が死亡するという事故がありました。ニリンソウはトリカブトと同じキンポウゲ科に属し、細い切れ込みのある若葉は互いによく似ているので、充分注意する必要があります。トリカブトの葉は、根に比べると毒の含有率が低いといわれていますが、それでもこのような致死的な事故が起こります(前出の『毒草を食べてみた』より)。

 トリカブトの毒性の見分け方ですが、熱心な研究者は根をかじってみるそうです。アコニチン類(毒成分)が含まれてる場合は、舌に触れただけでピリッとした衝撃が口内に走り、痛いような熱いような、どうしようもないしびれが数時間も残ります。毒性のほとんど無い場合は、苦いだけで、それも何か甘いものでも食べればすぐ消えてしまいます(前出の『毒草を食べてみた』より)。「味だけみてすぐ吐き出せば心配ない」そうですが、筆者にはとても試してみる勇気(?)はありません。『毒草の雑学(一戸良行著)』には、「塊根を割ってみて、赤褐色に変色するほど毒性が強い」と書いてあります。この方法ではダメなのでしょうか?

 漢方では、減毒加工した塊根(附子)を、新陳代謝機能の回復や強心、鎮痛、利尿、冷え症治療などの目的で使います。三和生薬という会社では、トリカブトを大量栽培して減毒加工し、リウマチ薬や育毛剤などを作っているそうです。

【関連ページ】   トリカブトの葉を好んで食べていた青虫の写真です。 → トリカブト食う虫


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