相生市の中学校統合計画「凍結」の顛末
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 相生市は、2003年春の開校を目指して推進していた相生と双葉の両中学校の統合計画を、昨年11月に、「当分の間、凍結する」と発表しました。

 この決定は、筆者も含め、多くの市民が「唐突」で「異例」と感じました。何か裏があるのではないかと、憶測や風聞が流れました。そこで、この件に関する情報を集めてみました。といっても、公式情報として、「相生市議会だより」の抜粋と、裏情報として、筆者が耳にした「風聞」を並べただけのことです。「火のないところに煙はたたぬ」とは申しますが、風聞は風聞です。信憑性の判断は読者御自身でお願いします。

 異論、反論、勘違いのご指摘などは大歓迎です。メールまたは掲示板でお知らせ下さい。

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「相生市議会だより」第55号(平成13年2月15日)抜粋

[問]

 9月議会では、実施計画の見直しも十分検討しながら、統合を進めていくと回答されたが、この度の統合凍結という提案にはとまどいを感じる。方針転換の詳細と統合の機運の高まりをどのように形成するのか。また、今後の適正配置の進め方について確認いたします。

[答]

 相生幼・小・中PTA会長より統合推進の回答を受け、最終の地域合意を得ようとしたところ、教育委員会の進める中規模校のメリットが理解されず、通学手段の条件整備に不満意向が強く、一挙に反対の気運の高まりを感じた。これからは、地域と連携した学校運営が必要で、反対の感情をひきずったままでは、好ましい学校運営にはつながらない。結局は、統合問題は、時期尚早と判断し、凍結しました。今後は、地域の方々のワークショップによる話し合いを積み重ね、気運が高まるのを期待しております。今後の適正配置の進め方については、4中学校を2中学校に再編整備していくという審議会の答申は尊重し、PTA保護者、住民の意見を聞き、柔軟な対応ができるようそれを視野に入れて、学校配置については再検討も可としたいということで、進めていきたいと思います。

[問]

 学校の統合についてですが、現在県立高校の統合問題もあります。少子化、地域間格差などを考えても、中学校の統合は必要であり、取り組み方に問題はなかったのか。

[答]

 統合問題についての取り組みを2002年の教育課程の変更などと並行していけば、市民の方も納得していただけると考え、啓発運動を進めてきました。しかし、力不足といいましょうか、認識してもらえず、話し合いが反対運動に発展し、最後には子供を巻き込むと判断したので、しばらく時間をおき、市民の方の認識が変わるまで凍結と決めました。

[問]

 相生中学校と双葉中学校の統合凍結との結論は、唐突すぎて理解し難いところがある。この際、問題点を明らかにし、今後の行政運営にいかさなければならない。そこで、これまでに統合に要した経費の総額とその内訳の主なものをお聞かせいただきたい。

[答]

 基本計画と(仮称)相生東中学校校舎改築工事設計委託を併せて、これまでに要した経費は、合計2350万円になります。

[問]

 これほどな重要課題が、これほどいとも簡単に凍結、あるいは挫折したという例は、目にしたことも耳にしたこともない。特に、相生市は、過去小学校の統合問題に関して、むしろ旗まで立った経緯があり、この種の問題の難しさは、十分心得て取り組まれたはずです。当初より、根強い反対意見があり、それがたまたまこの9月に山場、正念場を迎えて反対意見がでてきたにすぎず、「事態の急変」と言われる理由にあたらないのではないか。今日の事態に至った原因の一つには、関係者の見通しの甘さと対応のまずさがあったとこう言わざるを得ない。このことが、今教育行政のみならず、今後の市の行う事業に影響を与えないためにも、この際、責任の所在を明らかにして、けじめをつけていただく、そうした必要があると思うがどうか。

[答]

 今年の9月に入り、状況が急変し、住民合意が得られず、校舎設計委託料において非常に多額な調査費を費やした結果になり、ざんきにたえない。誠に申し訳なく思っています。しかし、立場の違いはあっても、子供の将来を考え、市民の方々と真剣に議論が交わされたことは、時が経つにつれ必ず意義が理解されるのではないかと確信しています。

 

総務常任委員会の審査から

 平成12年11月1日と11月28日に委員会が開催されました。

 相生中学校と双葉中学校の統合について、最終合意を得るために、地元説明会を実施したところ、相生地区の上町、北町、南町連合自治会では、幼稚園、小中学校PTAが、了承するのであれば、自治会も了承するので、各PTAの再確認をしてほしいとの条件が課せられたため、再確認をしたところ、相生小PTAは、「統合を推進してほしい。」相生中PTAと幼稚園PTAは、「意見をまとめられない。」という回答がありました。

 次に、鰯浜自治会と野瀬自治会との説明会では、両地区とも、幼稚園、小中学校の保護者全員一致により統合に反対するとの意見が示されました。反対理由としては、相生中学校は、小規模校だが頑張っているので、中規模校にするメリットが理解できない。中規模校の状況がいい状態ではなく、安心して子供を行かせることができない。通学の安全と利便性が確保できない。統合するなら全ての中学校を対象に同時にするべきである、などが主な理由でした。

 教育委員会としては、教育論で住民合意を得ようとしたが、中規模校のメリットが理解されず、条件整備への不満等もあり、統合反対の機運の高まりを感じ、「反対感情を残したまま統合することは、地域と連携した好ましい学校運営につながらない。」と判断し、現時点での統合計画は、凍結することにしたとの報告がありました。

 委員より、当分の間、凍結するとあるが、何年くらいなのかという質問に対し、年数は限定しておらず、気運が高まったときと考えている、との答弁がありました。

 また、委員からの要望として、統合する際は、校舎の改築という形ではなく、新たな場所で、建設することも考えてほしい。今回の凍結に対し、賛成していた人に、適切な対応をしてほしい。統合について、前向きに検討する姿勢を持ってほしい。今後は、生徒が自由に学校を選択していけるように考えてほしい。那波、矢野川中学校を含めた教育施設の整備をじっくり考えて進めてほしい、以上の要望がありました。

 委員会としては、今後の統合問題について、「審議会の答申は、尊重する。ただし、学校配置については、再検討も可とする。住民の要望が高まり、機が熟す時期を待つ」との結論を了承しました。

 

風 聞

■ 「アジアドラゴンボート選手権大会」と天秤に掛けた

 相生港の埋め立てや諫早湾の干拓事業を見るまでもなく、役人が一度やりだしたことを、住民の反対だけでやめるはずがない。役人の方に、何か「凍結」せざるをえない裏事情があったに違いない。

 中学校統合計画の凍結は、アジアドラゴンボート選手権大会が相生市で開催されることが決まった直後に発表された。国際的なドラゴンボート選手権大会を開くには相当な費用が要る。今の相生市にそんな財源があるのかな?と思っていた矢先に、中学校統合計画先送りのニュースが流れた。中学校統合計画は、ドラゴンボート選手権大会の費用捻出のために、先送りされたのだろう。

 中学校統合計画では新中学校(仮称:相生東中学校)の開校が2003年4月。設計だけで2350万円かかった改築工事やその他の準備を、当然2002年度中にする必要がある。アジアドラゴンボート選手権大会の開催は2002年7月。この2つを同時にできる金や人手が相生市にあるだろうか?

■ 相生中学校跡地の買い手に逃げられた

 中学校統合計画では、相生中が双葉中に吸収合併され、相生中の敷地や校舎が空く。これを売却(又は賃貸?)すれば統合費用は捻出できる。

 有力な買い手として、老人介護事業を始める相生市農協に期待していたが、農協は介護保険法の施行(2000年4月)にあわせて、早々と野瀬(相生中の目と鼻の先)に老人介護施設を作ってしまった。相生看護学校を移すという話もあるが、実習病院から遠くなり不便。現時点では、跡地利用のメドがつかないので、吸収合併は財政的にマイナス要因になる。

■ 相生港の埋め立てや市長選のシコリが影響

 相生港の埋め立ては、地元(相生地区)の根強い反対にもかかわらず強行された。また2000年6月の相生市長選では、相生地区出身の宮崎氏は、当初優勢といわれながら、新人の谷口現市長に敗れた。その上での中学校の「吸収合併」案であり、相生(おお)地区住民の間では被害者意識が高まり、それが行政に対する「反感」に転化したのだろう。

 谷口市長も「市長選のシコリ」を意識していると聞く。行政側は、「反対するのは自由だけれど、あなたたちが置いてけぼりにされるだけですよ」と脅しているつもりもあるのだろう。

■ 中規模校のメリットに疑問

 教育長は「中規模校のメリットが理解されなかった」と言っているらしいが、理解されないのは当然だ。現実に、小規模校の相生中学よりも、中規模校の双葉中学の方が「荒れている」ことをみんな知っている。学習効果云々以前に、「イジメ」を受けずに学校へ行けることの方が誰だって大事だ。中規模校化推進の本当の狙いは、合理化(経費の節減)と管理強化(画一化)ではないのか。



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