後進に道を譲ろう
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 「身体が動く限り仕事をすること」は一般には美徳と考えられています。しかしこれにも裏があります。見方によっては、「年寄りがいつまでも働くことは、当人のわがままであって、むしろ反社会的行為だ」ともいえます。

 ろれつも怪しい長老代議士や、時代遅れの経営判断で従業員を混乱させる老醜経営者などはもちろんですが、一般の中高年勤労者も、給料だけよけいに取って、若手の邪魔ばかりしていないでしょうか。早めに引退して後進に道を譲った方が、よほど世のため、職場のためではないでしょうか。近年、定年延長や再雇用制度のおかげで、60歳を過ぎてもサラリーマンをしておられるかたが増えていますが、その一方で、定職につかずにブラブラしている20代、30代も目立ちます。この状態はどこかおかしいと思います。

 3月24日の日本経済新聞に、大石亜希子さんが「若年層の失業問題こそ深刻」と題して書いておられました。その言わんとするところは、中高年の雇用維持のあおりで若年層の失業が増加 → 犯罪が増加し勤労者の質が低下 → 日本が衰退 の流れをくい止めるために、これからは中高年よりも若年層の雇用機会を増やす政策が必要だということです。その通りだと思います。 (新聞記事の原文は下欄に添付しています。)

 「そこで我々(団塊世代)も、早めに退職して、後進に道を譲ろうではありませんか」と申しあげると、「老後の生活をどうするんだ」という罵声が聞こえてきそうです。確かにそれを心配する向きもあるでしょう。でも一方で、預金通帳の数字が増えるのが楽しみで(減るのが不安で)、あるいは職場以外に生活の場が無いので、ハタ迷惑も考えず、漫然と居座っている人もあるのではないでしょうか。

 また、持ち家を換金すれば悠々自適に暮らせる人も少なくないのではないでしょうか。お金はあの世まで持っていけません。自分で稼いだお金は自分で使い切りましょう。そうすると消費も盛り上がり、景気も良くなります。ゆめゆめ子や孫に残そうなどとは考えないことです。資産を残すと、子供がそれをアテにして自助努力を怠ったり、骨肉の争いの元になったりします。五十を過ぎたら稼ぐ計画より、使う計画を立てようじゃあありませんか。

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若年層の失業問題こそ深刻
国立社会保障・人口問題研究室長 大石 亜希子

 日本の若年男性(15〜24歳)の失業率は1999年から10%を越える水準で高止まりしており、一向に改善の兆しがない。生計を担う中高年と比較して若年層の失業問題は軽視されがちであるが、経済社会への影響という点ではボディーブローのように効いてくる深刻な問題だ。

 第1に、最も訓練効率の高い若年期に仕事を通じて充分な職業技能を身につけられなかった者は、その後も技能レベルを改善できず、失業状態や低賃金職に滞留する可能性が高い。結果として若年期の雇用機会の格差が中年以降まで持ち越され、社会全体の所得格差が拡大する。

 第2に、労働の質は国の経済成長を左右する要因である。若年失業は次代の日本経済を担う労働力に対する人的資本投資が少ないことを意味し、長期的には労働の質の低下が経済成長の鈍化を招く。

 第3に、日本でも若年失業と犯罪発生率には明白な関係がある。就業機会に恵まれなかったり、仕事から得られる報酬が低かったりした場合、若者は短絡的に窃盗などの犯罪行為に走りやすい。

 若年失業が発生するのは、過剰雇用を抱えた企業が新規採用を極端に抑制しているためである。現時点では中高年の雇用維持コストを若年層が集中的に負担しているわけだ。しかしそのコストもいずれは所得格差の拡大や経済成長の鈍化、犯罪増加といった形ですべての世代に跳ね返る。雇用面でも世代間で構造改革の痛み分けは避けられない。

 雇用保険や厚生年金など従来型の社会保障制度は正規雇用に基盤を置いているため、中高年の生活保障を優先しがちだ。だが、長期的な観点から若年層の正規就業機会を増やす方向での雇用確保に政策のウエートを移す時期を迎えたといえよう。

日本経済新聞「シンクタンクの視線」(2001年3月24日)より



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