サティのおすすめ(1997年版)


 目次

猫本

『オール・イズ・ロンリネス』柏枝真郷 光風社出版 1997,9 \1300+税

『ネコ的な遺伝子』久美沙織文 目羅健嗣絵 ぶんか社 1997,7 \1200+税

『エルマーのぼうけん』ルース・スタイルス・ガネットさく ルース・クリスマン・ガネットえ
 わたなべしげおやく 福音館書店

『敵は海賊・A級の敵』神林長平著 早川書房 1997,7 \600+税

ゲームソフト『ザ・コンビニ ANOTHER WORLD』マスターピース \7800.-

『猫の毛帖』 槙 夢民著 宙出版 1996.9 \650.-

『シッポがともだち 1』 桜沢エリカ著 集英社 1997.1 \600.-

『遊興一匹 迷い猫あずかってます』 金井美恵子著 新潮社 1996.9 \400.-

『こっちむいてよジジ』 小倉一郎監修 心交社 1996.12 \1200.-

『トラ吉のたからもの』 高林聡子作 末崎茂樹絵 ひくまの出版 1997.1 \1133.-

『猫たちの聖夜』 アキフ・ピリンチ著 池田香代子訳 早川書房 1994 \1800.-

猫本以外

『リトル・トリー』フォレスト・カーター めるくまーる \1800
『ふたりの老女』ヴェルマ・ウォーリス 草思社 1995 \1600
『今日は死ぬのにもってこいの日』ナンシー・ウッド めるくまーる 1995 \1751

『嗤う伊右衛門』京極夏彦 中央公論社 1997,6 \1900+税

『ドラゴンといっしょ』花形みつる 河出書房新社 1997,8 \950+税


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1997年10月27日(月)

『リトル・トリー』フォレスト・カーター めるくまーる \1800
『ふたりの老女』ヴェルマ・ウォーリス 草思社 1995 \1600
『今日は死ぬのにもってこいの日』ナンシー・ウッド めるくまーる 1995 \1751

 最近、北アメリカ先住民の本を意識して読んでいる。その文化や精神世界は私にとってやっぱり同じ人間だよねと安堵させる一面もあるがある面はとても新鮮である。アジアのそれはどこの国も多かれ少なかれ中国という大国の影響を受けてきたと思われるのでなんとなくわかる。もっともこの「なんとなくわかる」が曲者で真の理解を妨げているかもしれないのだが。
 北アメリカというかけ離れた地域で生活していた人々の考え方を知ることで自分自身を見つめ直すことができるのではないだろうか。
 『リトル・トリー』は著者の自伝的小説で、両親を失ったインディアン(本文中にそう書いてある。時代的な表記だろうか)の少年が祖父母の元にひきとられ成長していく物語である。インディアンの山の掟とその生き方は、質素だがとても豊かに感じられる。
 『ふたりの老女』はアメリカ先住民の血を引く著者がその母親から聞いた伝承を小説化した物である。一種の姥捨てなのだろうか、飢饉の年に部族の者に置き去りにされたふたりの老女の毅然とした生き方に心打たれる。
 ナンシー・ウッドはアメリカ先住民ではないが、その一部族と長期間にわたって親交があり、そこで見聞きした彼らの精神世界を長い詩にまとめた。奥行きのある言葉である。

1997年9月8日(月)

『嗤う伊右衛門』京極夏彦 中央公論社 1997,6 \1900+税

 伊右衛門といえば四谷怪談だそうだが、ものを知らない私はタイトルを見ただけでは解らなかった。ただ、京極夏彦という名前とおどろおどろしい装丁、挿し絵を見て怪談話だろうなとは思った。
 そして、四谷怪談と聞いて読み始めたわけだが、四谷怪談ってこういう話だったっけと首を傾げながらも読みすすめることになった。たぶん、これは夏になれば怪談話として出てくるあの四谷怪談と同じものではないだろう。京極夏彦氏の描くところのお岩と伊右衛門の物語なのである。
 物語は暗い。
 何の罪科のない幼女や赤ん坊までもばたばたと死ぬし、どこまでも救われない人間の情念やその情念の生んだ人間関係やがどろどろと描かれている。だのに引き込まれてしまって、最後まで一気に読んでしまった。
 読み終わっての感想はむしろさわやかである。台風の暴風雨の一夜が明けた後、ぽっかりと雲一つない青空の広がる朝のような気分である。
 何度も繰り返すが、話は四谷怪談である。それで、こういう物語に紡げるというのは著者の力量であろう。いや、面白かった。

1997年9月1日(月)

『ドラゴンといっしょ』花形みつる 河出書房新社 1997,8 \950+税

 かあさんが亡くなって半年、学校の勉強にもバンドにもなんとなくやる気がなくなって早く帰ってきたボクは、小学一年生の弟がたった一人で時間を過ごしていることに気がついてしまう。弟はポチと名付けたドラゴンと一緒にいるというのだが、ボクにはもちろんポチの姿は見えない。
 リストラの嵐の吹き荒れる会社で仕事に追われる会社員の父、亡くなった母とドラゴンのいる家を夢見ていた弟。では、「自慢の息子だ」「お兄ちゃんだから、あなたはしっかりしているから我慢してね」と言われ続けていたボクはどこへ行ったらいいのだろう。
 そして、それでも弟の存在は弟なのだ。
 「家族」をテーマにしたちょっと切ない物語である。
 私は、この本を読んでみるまで著者の花形みつるという方の本を読まず嫌いしていた。ペンネームは某野球漫画を思わせるし、今まで出ていた本のタイトルや装丁も好みではなかったからである。が、kの物語はじっくり読ませてもらった。他の作品も読んでみたいと思っている。

1997年8月22日(金)

『オール・イズ・ロンリネス』柏枝真郷 光風社出版 1997,9 \1300+税

 デスペラード(ならず者)というあだ名の私立探偵クラークが、牧師の頼みでホームレスの男ジョエルの猫を探すことになる。ジョエルが会社の重役の地位と伝統ある住宅街の家、そして妻を捨てて一匹の猫だけを連れてホームレスになったのは何故か?
 猫が重要なポイントになっている推理小説であり、ジョエルという一人の男の中でもカエサルの象徴するところは大きい。
 ところで、この作品は、「DESPERADO」シリーズ第二部である。
 主人公のクラークとその助手であり同性の恋人でもあるアンソニー、その他アンソニーの恋敵ダニエルや刑事のロブなど第一部でおなじみになった登場人物と再会できてうれしかった。

1997年8月18日(月)

『ネコ的な遺伝子』久美沙織文 目羅健嗣絵 ぶんか社 1997,7 \1200+税

 うちのサティは、以前、目羅健嗣さんに絵に描いていただいたことがある。
 個展のためにいろいろなモデルの猫をさがしていらっしゃるときだったと記憶している。もちろん、モデルと言ってもアトリエまでサティを連れて行くわけにはいかないので、何枚かの写真を送って描いていただいたのだ。
 個展が終わって我が家に届けられた絵は、残念なことにサティとは少し違う猫のように見えた。が、同封されてあったサティの写真とはそっくりなのである! 写真に写っているサティはまだ生まれて半年にも満たない子猫である。写真を送って、描いていただいて、個展が終わってうちに届くまでの数ヶ月の間に随分大きくなっていたのである。
 特に元々野良猫で母猫にも「育たない子」として見捨てられかけていたサティは、目と耳ばかりが大きくて骨格が浮き出てしまっているような子猫だった。それでも私にとっては可愛い子猫だったのだ。(今はもっと可愛いけど)
 写真では気がつかなかったそのことを絵を見て初めて認識できたのである。絵はときに多くのことを物語ってくれている。

1997年7月31日(木)

『エルマーのぼうけん』ルース・スタイルス・ガネットさく ルース・クリスマン・ガネットえ
 わたなべしげおやく 福音館書店

 今、アニメ映画が公開されている児童文学の名作です。幼い頃、夢中になって読んだという方も少なくないのでは?
 この物語の主人公エルマー少年が旅に出るきっかけが、実は猫です。年とったのら猫からどうぶつ島で囚われの生活をおくるかわいそうなりゅうの話を聞いて助けに行こうと決心するのです。エルマーの冒険は猫の運んできた冒険なのです。
 年とったのら猫は、猫に理解のないお母さんに追い出されてしまいますが・・・続編『エルマーとりゅう』では、その猫のその後もでてきます。
 映画の方は、エルマーが私のイメージと少し違いました。
 あと、原作では準備のところで冒険に持っていくものをぼうつきキャンディーだの輪ゴムだの、こんなもの何に使うんだろうと思うようなものまでいちいち数をあげてあったのが、省略されていたのが残念でした。後で、それらのものを使う場面で、なるほどと思うのが面白かったのですが・・・

1997年7月22日

『敵は海賊・A級の敵』神林長平著 早川書房 1997,7 \600+税

 今週のおすすめは『敵は海賊・A級の敵』です。黒猫もとい黒猫型宇宙人アプロの大活躍するシリーズの最新刊です。
 底なしの食欲を持つアプロを逆に「食っちまう」敵があらわれるとは宇宙は広かった? それともヒヨちゃんはやっぱり強かったということでしょうか?
 新しく登場した海賊課の一級刑事セレスタンもマイペースでがんばっていました。実際にそばにこんな人がいたら・・・ちょっと考えてしまいますが、応援したくなるキャラクターです。

1997年3月31日

(注)今週は本じゃありません。パソコンのゲームソフトです。

『ザ・コンビニ ANOTHER WORLD』マスターピース \7800.-

 ここしばらく、このゲームにハマっています。 ある村でコンビニを経営して、チェーン店を作っていくというシミュレーションゲームです。
 この「ANOTHER WORLD」では普通の世界ではなく、猫の世界、RPGの世界、近未来の核戦争後の世界があります。
 猫の世界では、店員も客も猫の世界でねこじゃらしだの猫缶だのお刺身だのを商います。
 RPGの世界は、ファンタジーRPGゲームの「お買い物」の部分だけを取り上げたようなもので、魔法の薬だの伝説の剣だのを売り買いします。「パーティ組まなきゃ」とか「ダンジョンで迷ったらどうしよう」とか余計なことをいっさい考えずにお買い物を心ゆくまで楽しめます(笑)。
 今のところ、猫の世界だけしかやっていません。というのもうちの機械だとゲームの一日が10分以上かかるのです。ペンティアムなんて入ってないものですから・・・ま、その分、ほのぼのと猫たちがみゃあみゃあ鳴きながらお買い物しているのを眺めています。

1997年2月19日

『猫の毛帖』 槙 夢民著 宙出版 1996.9 \650.-

 先週に引き続き猫漫画である。私は最近この世界に足を踏み入れたので今まで知らなかったのだが、どうやらこの分野は古典的名作たる『ファッツマイケル』をはじめかなりの作品群があるようである。
 これもその一冊、作者の飼い猫「きゃめ」と今は亡き「おむ」との愛あふれる生活が可愛い絵になっている。タイトルは例の老舗雑誌『猫の手帳』からきているのだろう。猫が出てきて可愛い漫画を読みたい人に是非オススメ。
 でも、うちのサティだってかわいいもん!
 チビラも最近可愛くなってきたし・・・そう、野良猫と飼い猫じゃ目が違うのである。チビラも最初姿を現した頃は、子猫のくせにすがめたようなきつい目をしていた。それが、我が家のお嬢様となってからは、ぱっちりした穏やかな目つきに変わりつつある。サティの方はさらにその大きな目に表情らしきものも読みとれるのである。

1997年2月11日

『シッポがともだち 1』 桜沢エリカ著 集英社 1997.1 \600.-

 雑誌に掲載されていたのが87年からだから猫漫画としては古くからあるのではないかと思う。だから、知っている人はとっくに知っていたのだろう。でも私が猫を飼い始めたのが最近のことなので、知ったのもつい最近4巻が出てからであった。4巻があるということは、1巻も2巻も3巻もあるはずなのだが、近所の書店にはどこにも置いてなかった。それで残念に思っていたら文庫版で出た。2、3巻も続けて出てくれたらうれしい。
 内容は、猫を飼っている著者の日常のヒトコマみたいな漫画である。実際の愛猫をモデルにしているのであろうか、うんうんとうなづけて楽しい。コレを書きながら、つい読み返してしまった。 

1997年2月3日

『遊興一匹 迷い猫あずかってます』 金井美恵子著 新潮社 1996.9 \400.-

 この本は平成五年に出版された同名の本に加筆、文庫化されたものである。
 単行本の時は図書館で借りて読んだのだが、今回この機会にと購入した。
 タイトルの「迷い猫」トラの子猫は、金井氏がポスターを作ったりして飼い主を探すが結局見つからず、トラーという名前をつけてもらい、そのまま金井家の猫となる。
 トラーというのは、A.A.ミルンの『クマのプーさん』(正確には『プー横丁にたった家』両方とも岩波書店刊)の登場人物からとられたらしい。『クマのプーさん』の世界はミルンの息子クリストファー・ロビンを中心にプーさんらぬいぐるみに生命を吹き込んだゆったりした物語なのだが、このトラーという登場人物だけは、その時間の流れにそぐわない元気の良さである。 私は、子どもの頃、トラーがどうしても好きになれなかった。
 が、トラーはぬいぐるみの世界に入り込んだ生きた子猫ではないかという金井氏の洞察を読んで、納得すると同時に私の記憶の中のトラーとも和解することができた。
 他にも甘えびのエピソードなど、猫エッセイとしても楽しい。

1997年1月28日

『こっちむいてよジジ』 小倉一郎監修 心交社 1996.12 \1200.-

世の中に写真の撮り方の本はたくさんありますし、猫の写真の本もたくさんあります。だけど、猫の写真の撮り方の本は珍しいのじゃないかしら?
 これは、その珍しい猫の写真の撮り方の本です。
 猫を飼っていて愛猫の写真を撮りまくっている人、あるいは、飼ってはいないけど街や旅行先で猫を見かけるとついレンズを向けてしまう人にオススメです。
 解説を読むとなるほどと納得できるし、何より被写体がもちろん全て猫なのでプロやアマチュアの方の写真を見ているだけでも楽しいのです。そして、私もがんばってうちの猫の写真を撮ろうという気にさせてくれるのがうれしいですね。
 でもうちの猫がリラックスして本当に可愛いときってカメラは間に合わないものなのです。そういうときは自分の記憶の中にとどめておくしかないのでしょう。

1997年1月20日

『トラ吉のたからもの』 高林聡子作 末崎茂樹絵 ひくまの出版 1997.1 \1133.-

 庭の散歩から帰ったトラ吉が大事なしっぽをなくしたと泣くので、「わたし」はたらこのおにぎりをお弁当に持って一緒に探しに行ってやることにする。少女と猫の捜査隊は、すぐに脱線してしまう・・・はたして、トラ吉の宝物のしっぽは見つかるのだろうか。
 擬人化されている猫のトラ吉が猫らしさを残していて楽しく読めます。第4回「遠鉄ストア童話大賞」受賞作品だそうです。作者が中学二年生のお嬢さんだと聞いて、私はびっくりしました。

1997年1月15日

『猫たちの聖夜』 アキフ・ピリンチ著 池田香代子訳 早川書房 1994 \1800.-

 連続殺人事件と言うと本やテレビの中のことだと思っている。
 それでなくては、殺人鬼がうろつきまわるスリラーやホラー小説を読んだり、食事時のテレビのワイドショー番組で「今、殺人の現場に来ています」などというレポートを見たりしても平気であるわけがない。ちまたにあふれる『なんとか殺人事件』という本の多いこと驚くばかりである。殺人というのは、自分とは全く無関係な世界の話だと思うから、恐ろしさを感じないのだ。
 ところで、この本に出てくるのは殺人ではなく、殺猫である。被害者は猫、猫の連続殺害事件なのだ。連続殺人ならば大事件である。
 でも猫なら?
 最近、阪神地区で猫の大量失踪事件が新聞で報道されたり、また背中に吹き矢の刺さった「矢猫」が保護されたりしている。決してありえないことではない。
 主人公は若い雄猫のフランシス。この界隈に最近、頼りにならない飼い主のグスタフと引っ越してきた。その新居で同族の死骸を発見する。
 読み進めて行くうちに猫であるフランシスにすっかり感情移入してしまった。
 そして、猫の殺害事件だからこそ、よりありえる話として、恐ろしさを感じた。

 続編『猫たちの森』 アキフ・ピリンチ著 池田香代子訳 早川書房 1996,12 \1900も出た。こちらは、図書館で借りようと予約しているのでまだ読んでいない。楽しみである。


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maher@sannet.ne.jp  4/13/98